1週間の介護実習を終えた翌日。 そういえば私はシリコンスーツを着たまま彼に抱きついて眠ったことに気づいたのは目を覚ました私の視界が肌色だったから。 3日目にシリコンスーツを着て眠った翌日、肌色で満たされたハッキリしない視界に驚いたが、その後は一日中この視界の中、彼の介護をしていたのですっかり慣れてしまった。 人の順応性には驚かされた。 ただ今日はいつもより濃い肌色の景色。 しかも視界がハッキリしないというレベルではなく、全く見えない。 私は彼との別れを惜しんでいっぱい泣いたので目がおかしくなったのかと思い、手で目を擦ろうとして異常に気づいた。 手が使えないのだ。 腕を動かそうとしたが、背中で腕を組んだ状態で全く動かせない。 それに足も女の子座りのまま、仰向けで寝かされている。 足を伸ばそうとするが全く伸びない。 “助けて!” そう叫ぼうとしたが、口の中を固いチューブが占めており言葉が話せなかった。 頭の中に浮かんできたのは、昨日まで私が介護していた彼の姿。 つまり、今は私が要介護スーツを着せられているのだと理解した。 その時、男性の声が聞こえてきた。 「今日から1週間お世話をさせて頂きます五十嵐 京介(いがらしきょうすけ)です、赤城 葉月さん、よろしくお願いします」 “なんで私の名前を知っているの?” そう思った私はあることを思い出していた。 この介護実習は2人1組で行うことになっていたのだが、もう1人が来なかった。 もう1人は体調不良なのか、途中で辞退したのだと勝手に思い込んでいた。 2人で介護するはずが1人で介護することになり大変だと思った。 だが、今になれば分かる。 2人1組というのは介護する側と介護される側の2人で1組ということだっだのだ。 その証拠に昨日まで介護していた彼は私の名前を知っていた。 まさかとは思ったがおそらく間違いないだろう。 そして、これから1週間は私が彼に介護される側になったのだ。 つづく