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ごむらば
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14.結婚式というドラマ撮影【新婚生活】

結納の撮影の翌日、俺は真由の本当の両親に挨拶をした。 もちろん、ただお付き合いしているだけでなく結婚を前提としたお付き合いであることも伝えた。 その後、真由との距離がグッと縮まったのは言うまでもない。 そんな真由と最後の仕事になる新婚生活のシーンの撮影の連絡が入った。 今回は真由からではなく、スタッフからだったので間違いないだろう。 撮影場所は都心の賃貸マンションの一室。 それほど広くはないが、整理された綺麗な部屋だった。 スタッフが準備したようだが何故か生活感があった。 撮影は出勤前の朝食のシーン、仕事から帰宅しての夕食のシーン、そしてベッドシーンではなく夕食後リビングで幸せそうに戯れ合うシーンを撮影する。 朝食のシーンはエプロン姿の新妻であるウルトラウーマンがベッドで寝ている俺を起こすシーンから。 パジャマに着替えてベッドで横になると真由の匂いがした…ような気がした。 目を瞑って撮影がスタート。 くぐもった声で真由が俺を揺り起こす。 音声は後ほど差し替えるらしい。 実際に寝ていてウルトラウーマンの着ぐるみを着た真由に起こしてもらえたらどんなに幸せだろうと思いながら目を開く。 目の前にはウルトラウーマンの姿。 「おはよ!」 くぐもった真由の声に俺も返す。 「おはよ!」 「早く起きないと遅刻するよ!」 こんな幸せな朝なら、じっくりと味わって遅刻してもいいとさえ思ってしまう。 「そうだね、準備するよ」 そう言って体を起こすとウルトラウーマンにキスをした。 キスをしたまま少し抱き合った後、ウルトラウーマンがくぐもった声で言う。 「歯を磨いて朝ごはん食べて」 「うん、そうするよ」 俺はベッドから起きて次のシーンの準備のためスーツに着替える。 次のシーンはダイニングでの朝食シーン。 スラックスとワイシャツ姿で、エプロン姿のウルトラウーマンと向かい合って食事をする。 何気ない会話をして食事をした後、ネクタイをしているとウルトラウーマンがやって来て曲がったネクタイを直してくれた。 ジャケットを羽織るとウルトラウーマンに声を掛ける。 「行ってきます!」 そう声を掛けた後、玄関でお決まりのいってらっしゃいのキスをして俺は出掛けた。 もちろん、台本通りの芝居なのですぐに部屋へと戻る。 玄関で簡単にスタッフと打ち合わせをした後、再度部屋を出て帰宅シーンが始まった。 帰宅するとウルトラウーマンが走って玄関へ出迎えて抱きついてくる。 そして、お帰りなさいのキスをした後、カバンを渡してダイニングへ移動する。 ベランダから光が入らないように黒い幕が張られて夜になっていた。 「ごめんね、食事まだなんだ、先にお風呂入って!」 くぐもった声でそう言われて俺は着替えと簡単にシャワーを浴びる。 そうしている間に朝ごはんと夕ごはんをチェンジさせるのだろう。 先ほどまで演技したテーブルの上には朝ごはんが置かれたままだったから。 シャワーの後、再びパジャマへ着替えてダイニングに戻るとテーブルの上は夕ごはんに変わっていた。 「今日もお疲れ様!」 そんなくぐもった真由の声に応え、たわいもない会話のシーン。 そして、夕ごはんの後はパジャマに着替えたウルトラウーマンとダイニング横のソファーでテレビを見ながら戯れ合った。 これでウルトラウーマンとなった真由も見納めかと思うと少し寂しくなり、いつまでも戯れ合っていたと思った。 だが、まだ撮影は続くようでウルトラウーマンの真由だけが別室へ移動して準備を始めた。 あとはどんなシーンの撮影をするのだろうかと考えたが、真由の準備に手間取っているようでなかなか現れない。 だが、出てきたウルトラウーマンの姿でそれがすぐに分かった。 マタニティドレスを着たお腹の大きなウルトラウーマンだったから。 “なるほど、出産のシーンまで撮るのか” そう思いながらも簡単に打ち合わせをした後、撮影が始まる。 小さくくぐもった声で真由が言う。 「本当に私のお腹に赤ちゃんがいると思って介助してね」 俺は1つ大きく頷いて撮影が始まった。 臨月を迎えたウルトラウーマンを介助する俺、生まれそうになりドタバタ劇を演じた後、病院のセットへと移動する。 移動する前に大きなウルトラウーマンのお腹をさすって真由に聞いてみた。 「これって?」 そう言うと真由はマタニティドレスを捲り上げて、ウルトラウーマンのお腹を見せてくれた。 てっきり、単にマタニティドレスの下に詰め物をしているだけかと思ったのだが、そうではなくウルトラウーマンのお腹が大きくなっていた。 「妊婦仕様のウルトラウーマンに着替えたんだよ!」 「そうなんだ」 「予行演習だと思ってしっかりやってね」 そう言う、真由の声は楽しそうだった。 正直、ウルトラウーマンの着ぐるみに単に詰め物をしただけかと思ったが、それにしては綺麗にお腹が大きくなっていたのでそういうことかと理解した。 同時にこれから病院へ移動して俺がお腹をさするシーンや出産のシーンを撮影するのは明白だった。 賃貸マンションの部屋から移動する際、スタッフの手には通常のウルトラウーマンの着ぐるみも見られた。 つづく

14.結婚式というドラマ撮影【新婚生活】

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