気づくと私は支え無しで自立していた。 どうなっているのか分からないが、私は台の上に乗せられて飾られていた。 眼下には正装をした多くの人々がいた。 もう撮影が始まっているのだろうかと思っていると急に暗くなった。 そしてすぐ近くにスポットライトが照らされた。 声を上げようとするが口が開かない。 私はビニールテープミイラ女のままなのだろう。 スポットライトが当たった辺りから声が聞こえてくる。 「本日は【2人の刑事】大ヒットを祝しお集まり頂きありがとうございます」 「映画の大ヒットを祝して、マネキン人形役でで出演頂いた生田 小夜さんには人柱ならぬ銅像になって頂きたいと思います、生田さんにはすでに劇中と同じビニールテープミイラ女になって頂いております」 そんな司会者の声が聞こえてきた後、私にスポットライトが当てられた。 “えっ!なになに?どういう事?” 私の思考は全く追いつかない。 「それでは粘土アーティストの重田さんに銅像を作って頂きましょう!」 そんな声のあと、私の台座のすぐ近くに1人の男性が現れた。 重田と呼ばれるその男性は、銅像に使う粘土が速乾性であることやビニールテープミイラ女の形をそのまま活かすことを説明するとすぐに私に粘土をくっつけて銅像を作り始めた。 足下で作業をしていたと思ったのだがみるみるうちに体にまで粘土をくっつけて私を銅像にしていく。 目と鼻の位置は事前に聞いていたのだろう。 そこだけはしっかりと確保したまま、重田は私の全身を粘土で覆い銅像の下地を作ってしまった。 「見事に白い銅像が出来上がりました!あとは着色するだけですね」 そんな司会者の言葉に合わせるように、私の周りにはペンキが飛び散らないようにビニールシートでスタッフが囲いを作り始めた。 “えっ!えっ!えっ!” 動揺する私の頭の上でクレーンのような機械音が聞こえてきたかと思うと、司会者がカウントダウンを始める。 「3、2、1、どうぞ!(銅像)」 上から大量の銅色のペンキが降り注ぐ。 周りで悲鳴や盛り上がる声の中、私の視界は銅一色となったので、目に入らないように目を閉じ息を止めた。 いつまでもドバドバと降り注ぐ銅色のペンキが止まるのを待つしかなかった。 “苦しい、助けて!” 私にはそう心の中で思うことしかできなかった。 ようやく、降り注ぐペンキは止まったが、視界は完全に塞がれてしまったていた。 もうこれ以上息を止められなくなった私は呼吸したのだが、シンナーの強烈な臭いが体の中に入ってきた。 それでも呼吸しなければ死んでしまうので、強烈な臭いに耐えて呼吸を続ける。 そんな私の耳に司会者のハッキリとではないが、こんな声が聞こえてきた。 「銅像ですが色まで銅というのはイマイチですね、金色にしましょう!」 そんな司会者の声のあと、頭上でまたクレーンが動き出した。 程なくしてまたカウントダウンが始まる。 “待って待って!” 私は心の中で呟き、必死にシンナー混じりの空気を吸い込む。 咽せ返しそうそうになるのを抑えた時、金色のペンキが頭上から降り注ぐ。 『ドバドバ』 音を立てて降り注ぐ金色のペンキ。 先ほども長かったが、今回はさらに長い。 私が息を止めていられなくなってもなおも降り注ぐ金色のペンキ。 “もうダメだ!” 私はそう思って呼吸することを諦めた。 つづく