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第1章 第二話

第1章 目覚めの草原 第二話「静かな丘の看板」  草原を歩くと、風が毛並みに絡んだ。  どこまでも続く金色の大地は、見渡す限り生き物の気配がない。  ──それでも、進まなきゃ。  足元の石を踏むたび、カチャ、と音が鳴る。  イタチ獣人のドロシーは、耳を伏せながらそっと歩みを進めた。  すると、丘の上に何かが立っているのが見えた。  近づいていくと、それは木製の古びた立て看板だった。  板は風雨にさらされて灰色に変色しており、文字の一部は欠けている。  けれど、中央にはまだ読める金色の文字が残っていた。  「ようこそ オズへ」  ──オズ?  聞いたことのない地名。でも、不思議と懐かしい響きがした。  ドロシーは看板に手を触れた。  冷たい木の感触。だが、誰かがここにこれを立てたという事実が、彼の胸をほんの少しだけ軽くした。  「……誰か、いるんだろうか」  風が吹いた。  草原の向こうから、かすかに鐘の音のようなものが聞こえた気がした。  ドロシーは振り返らずに、歩き出した。  ──まだひとり。けれど、もう、完全な孤独ではない気がした。


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