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定晴ルート後:『晦日の夜』

ADV『異海』定晴ルート後のSSです。立ち絵はエッチなので入れてみました。

一部シナリオネタばれ有り。 ※18禁描写あり





年の瀬も越えて、もう大晦日。

高くなったスーパーマーケットの肉類や野菜を横目にスルーしながら家路へ急ぐ。

今日帰る家は自分のアパートではなく、定晴さんの『家』だ。



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定晴「おう、おかえり」

定晴「蕎麦買えたか?」

「ええ」

肉も魚も、おせちの準備も終わっている。ただ蕎麦だけはおいしいと評判の店へと予約していた。

慣れない雪道を歩いて、全国展開とはまた違った地域密着型の商店へとこまごまとしたものを買い出しに行った帰り。

預かっていた鍵を使って開けた扉の向こう側に定晴さんがいた。

定晴「おッ……冷えちまったな」

掌の冷たさを確かめるのも数秒、まだ外靴を履いたままの体が一段上へと持ち上げられる。

定晴「さッ、温まろうぜ」

暗い木造りの廊下の暗闇の向こうに、居間から漏れる光とテレビの音。

そうそう慣れ親しんだ場所でもないのに、どうしようもなく安心する。

「……ただいま」

抱きしめられた分厚い胸板の中で、そう呟いた。

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「……さて」

蕎麦は寒い勝手口に置いておいて、その他の野菜もその辺りに。

雪国は冷蔵庫要らずで助かる。

まずは年の瀬に向けての鍋料理だ。よく食べる定晴さんの為に肉も魚も用意してある。

昨年度はそれぞれ別の場所で過ごした大晦日、わくわくが止まらない。

慣れない台所、居間以外に明かりのつかない一階。二階に一つ部屋をあてがって貰っているけれど。

その向かいの部屋にはあまり長居できる気分ではない。

午前中には軽く窓を開けて風を通し、埃をはたいて窓を拭いて、静かにその部屋の空気を吸い込んだあと、引き戸を閉めた。

定晴「何か手伝うか?」

「ううん」

申し出てくれた手伝いを断って、彼には古びたテレビを眺めていて貰う事にする。

年末特有の撮り貯めバラエティから溢れる笑い声は何処かとおく、台所の窓から伝わる冷えた空気と静かな月の光。

時折通り過ぎる車の音に僅かに意識を向ける。

作業が進むとそれも包丁とまな板の奏でる音に掻き消されていくようだ。


定晴「なァ」

定晴「鍋まだか?」

後ろで引き戸が開いてテレビの笑い声が一段大きくなった。飯を所望する声と共に定晴さんの足音が近づく。

腹ペコなのは本当だろう、大食漢なのも知っている。

けれどもわざわざやって来たのはそれが目的ではないだろう。

するりと伸ばされた腕が、包丁の邪魔にならぬよう俺の背中を抱きしめる。

「もうちょっと」

定晴「早く食おうぜ、バラエティ飽きちまった」

「もう少しだよ」

いつもの姿を思えば、こんな甘えた言葉も面白くはあるのだが、存分に甘やかすことにする。

昨年はといえば、どこぞの国の重鎮とのニューイヤー・パーティの予定がねじ込まれたとかであえなく阻まれた二人きりの年末。

来年は二人きりにしてやるという泰生さんの言質を盾にようやく手にした時間なんだから。


「じゃあ鍋、持ってってもらおうかな」

定晴さんの地元は日本海はかの有名な漁港近く。そりゃあ豪勢な海の幸に溢れる場所だ。

本人が暇つぶしに獲って来たものをはじめ、近所から当然の様に流れてきた見事な海老や貝の類。

「それから大根をおろしておいてくれますか?」

定晴「おう」

あの剛腕だと数分ともたず大根は消えるだろう。勢いよくすり下ろされた大根は辛みも強いはずだ。少しは年越しそばように貰っておいて。

後は豪快に鍋につっこんでしまおう。みぞれ鍋だ。


定晴さんに鍵を渡された時は戸惑いもした、入ってみてその寂しさに驚きもした。

本人も殆ど帰れずに関東のやたら豪勢で広いマンションに軟禁されているとかいう現状だというから、思う所もあるのだろう。

でも、定晴さんの近くには心地よい安心感が満ちている。

冬の寒気が入り込んでくるこの古い家の中にも、静かな年の瀬が訪れようとしていた。


定晴「おッ……うめえ! やっぱり地元のこの味は忘れられんな」

「ええ、みぞれ鍋なんて一人ではやらないから心配だったけど……これはリピート確定ですね」

大きなこたつの上に天板をしき、料理を並べ、カセットコンロを設置した宴だ。

ほとんど丼のような大きさの椀にしこたま具をよそって定晴さんに差し出す。それで時間をかせぐと俺も鍋に手をつけた。

分厚い鱈の身からは旨味が零れだす。貝類と海老から染み出した出汁もたまらない。

「はふッ……これは最高だ」

定晴「うめェな」

そういって笑う定晴さんと半分に減った椀の中身を見て具を継ぎ足す。

定晴「あッおい、自分でできるって。何でもかんでも世話されちまうと……なんつうか、家主としてバツが悪いっていうか」

「でも定晴さんってそういう雰囲気あるよ」

「亭主関白……っていうんじゃないけど、やってあげたくなるし」

うまいうまい、とガツガツ豪快に食べてくれる姿は本当に心地よく、向けられる笑顔が今は独り占めだと思うと快感すら覚える。

「凪もこんな感じだった?」

定晴「そんなことねえよ」

昔から備えつけられているらしい神棚の上に飾られた彼の写真をチラと見て、それから定晴さんはバツが悪そうに笑う。

神棚に写真ってのも分からない。仏壇の無いこの家で適当と言えば適当なのかも。

写真の中で静かに笑う彼の顔は日焼けして逞しく、定晴さんに似て。俺には似ていない。

定晴「こうドカッ!とドバッ!と! ガツガツッ!と」

定晴「お互い仕事やら勉強やらあると、ホラ。せわしないっつうか」

定晴「それでも毎日作ってくれたけどな。俺も作ってたけど凪の方が作りたがってはいたな」

定晴「別に下手ってわけじゃねえぞ!? 知ってるだろ?」

定晴さんの腕についてはかつての島で何度も教えて貰ったものだ。その時のことをふと思い出してこちらも笑顔になる。


定晴「ホラ、カニ入れようぜ蟹」

定晴「でっけえのが手に入ったんだ」

「うおお」

タラバガニとは違う日本っぽさのある形の蟹がそのまま突っ込まれそうになるのを手で制して。

「蟹はもう少し後にしましょうよ、天ぷらが冷めるまではもうちょっとこのまま」

蟹を入れるのなら〆の雑炊を意識しなければ。出汁の中の具材を計算しつつ計画を立てる。

「それに、蟹食べると無口になっちゃうかもしれないから、勿体なくて」

定晴「がはは、静かなのもいいさ」

定晴「けど、話したいこともたくさんあるしな……おッ、紅白始まったぞ」

「うわ、紅白見るの何年ぶりかな」


去年のこの時間は確か、島で知り合ったみんなと東京で飲んでたんだった。

例のパーティ絡みで来られなかった定晴さんに酔っぱらったみんなの写真を送って恨まれたのを思い出す。

今年も同じように誘われたのを断ってこっちに来たんだっけ。

「お酒、開けましょうか」

定晴「おう、そうだな」

燗を用意していたのも暫く。定晴さんのペースが早いせいでじき冷たいまま飲むようになる。

俺も泥酔しないように節度を守りつつ、それでも定晴さんのペースに付き合うのは至難だ。

「結構飲んじゃったかも」

定晴「お、大丈夫か?」

気付くと雑炊も空になっている。結構食べたな。

定晴「鍋は俺が洗っとくぜ、そしたら裕、風呂入って来な」

「ええ、じゃあお先に」

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すすめられるまま風呂をいただく。

定晴さんの家の風呂は一度リフォームが入っている用で風呂場と水回りは比較的新しい。

大きい湯舟は定晴さんの体格を考慮して一番大きいのを頼んだんだろうな。

天井の明かりを見ながらぼうっとしていると水面に僅かに揺蕩うような感覚を味わえる程度には広い。

しばしぼうっとしているとガラリ、と脱衣所の扉が動く音がした。

定晴「鍋、終わったぜ。ちゃぶ台も片付けといた」

当然のように衣擦れの音が聞こえ、服がドサと投げられる音がする。



定晴「風呂、一緒はいろうぜ」

その声はわずかにしっとりとして、いつもの彼のような体育会な乱雑さではなく、恋人に対する声音だと分かる。

返事しないでいるとそのままガラリ、と扉が開いてガラリ、と閉まる。

定晴「ひィ、寒い寒い」

浴室の明るい光の下で、湯舟から見上げるその体は雄大で雄壮という他無く。

俺とは構造からして違う骨太の体がいつもよりなお雄大に見える。

見慣れたはずの巨大なそれの先端を頭上に頂きながらも、僅かに動いて場所を開けた。

ざば、と手桶の湯を被って入ってくる定晴さんと二人してお湯に浸かれるはずもなく、そのまま場所を占領され。

居場所が無くなった俺の体は定晴さんの肉体を陸地としてその上に抱かれるしかなくなる。


定晴「おお……あったけえ」

定晴「やっぱり新年の前には風呂使ってさっぱりしてえよな」

「……んッ」

当然のように背中にあたったその性器がむくむくと膨らみ、俺の脚の間から顔をだす。

定晴「ははッ」

定晴「お前の裸見てこうならない方が無理だって。なァ」

背中から抱きしめてきた腕が俺の股間に手を伸ばしむんず、と掴んで確かめる。

定晴「はは、お前だってそうだろ」

「ちょッ……、んッ、だ、駄目だって」

定晴「んなこといったって……するだろ? 今夜は」

「それに異存はないけど」

「……まだ蕎麦あるし、まだ早いよ」

準備だってしてないし。

定晴「そっかァ、じゃあもうしばらく我慢だなあ」

ざばあ、と湯船に横たわる定晴さんと溢れ出るお湯。洗い場の湯桶が船のように洪水の中を揺らいだ。

定晴「……ん」

顔を向けるように要求してくるその腕の動きに答え、彼の上に腹ばいになる。

「もう……」

腹とその無駄に大きい……いや、無駄ではないけど、その大きい胸の上を這いずるようにしてよじ登り

定晴「……んむ」

「……んッ」

口を開く。どちらが先にするかしばしの駆け引きのような逡巡があったのち、顔が斜めに交わされる。

唇と舌の細かな触れあいを愉しむのもそこそこに、その大きなぬめりが頬の内側を擦り上げる快感に陶酔する。

「ぶ、ァッ」

定晴「ん、ぉ……ッ、へへッ」

痛いほどに硬くなった性器が定晴さんの腹に擦れる。俺の尻の付近にも先程からその塊が押し付けられる。

定晴「……なァ」

「だめ」

んッ、とかやだ、とか曖昧に返していると問答無用に突っ込まれてくるその塊だ。

定晴「でもよ」

ニヤついた顔で挑発するように俺のそこを腹筋で擦り上げてくる。

「ちょッ…‥だめ」

定晴「そうか」


そういうと定晴さんは体を脱力させ、俺もその体に乗っかる。

定晴「……」

「……」

風呂の熱で火照った体がドクドクと脈打つ。それが少しずつ落ち着いて来ると。

定晴「……明日は、初詣でも行くか」

定晴さんがそんな事を言った。

定晴さんの地元を二人で歩くのは久々だな、神社なんてあったっけ、などと。

そんな事を考えながらも、頷いた。

定晴「先、上がってるな」

「……うん」

俺よりも長風呂が好きな定晴さんが、いつもにしたら鴉の行水のようなスピード感で体を洗い、出ていく。

シャワーで体の泡を流す間も、その胡座からは柱が生えたかのように剛直したそれが覗いていて。

誰も居なくなった風呂場の中で俺も、自分の秘所を確かめた。


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「さて……蕎麦の用意を、と」

紅白もフィナーレの様相だ、と。さほど興味もなくその様子だけを遠くに確かめながら蕎麦を茹でる準備をする。

器を揃え、かえしも温まった。あとは茹で上がった蕎麦をしめて――。

定晴「おい裕、紅白終わるぞ」

定晴「ちょっと来てみろよ」

作業の途中だが呼び出されたので顔をだす。

定晴「一緒に見ようぜ」

扉を開く。真正面の神棚にあった凪の写真は倒されていて。

定晴「ほら、ここ座れよ」

そういって定晴さんはこたつ布団をめくって俺を膝の上へと誘う。

定晴「今年は赤の勝ちかァ……やっぱ大御所がいなくなっちまったからなァ」

きっとそんな事はどうでもいいんだろう。

言われるままに素直に座ったそこは硬くて座り心地は悪く。座ってすぐに首筋に舌が張った。

「んッ……うあ、ッ」

定晴「んッ……」

執拗に舐ってくる舌先に震えながらも、上着の裾から入ってくる手先を受け入れる。

左手は的確に俺の乳首を擦り上げ、右手はやや乱暴に下履きの中へ。

「ちょッ……定晴さんッ、だ、めッて」

定晴「何が駄目だ、何も駄目じゃねえだろ」

低い声だが、嬉しそうに俺を問い詰める。

定晴「お前は俺の大事な相手で、俺はお前の大事な相手で」

定晴「風呂も入った、準備も済ませた、な、これ以上我慢できねえよ」

「年越し蕎麦とか、あるし」

「折角用意したのに」

定晴「後で食おうな、いっぱい運動したら腹も減るだろう」

朝になりそうだな。

「年越しそばってのは確か、年内に食べないと――」

定晴「悪い縁を切るってんだろ」

定晴「縁なんて切らなくていいさ、いい縁まで切れちまったらどうするんだ、それに――」

定晴「お前のここだって、切れちまったら大変だろ?」

ゴーン、と。煩悩を払うという荘厳な音がテレビから流れだす中、俺の体は後ろから押し倒される。

片手で部屋の片隅にのけられた炬燵から布団が引き出され、座布団に顔を埋めたまま、圧し掛かられる。

「……ッは……」

首だけを振り返らせるとスウェットの中は下着を履いていなかったらしい定晴さんのそれが跳ね上がる。

風呂の時とは逆で、背中側から定晴さんの体が俺を覆い尽くしてしまう。

炬燵布団の中で下半身が蠢き、熱は籠る一方だ。

執拗に絡みつく脚を、腕を、抵抗するでもなく受け入れるだけでもう汗だくだ。

「んッ……あッ!!」

首筋に、背中に繰り返される口づけと確かめるような指先に体が震える。座布団に顔を押し付けて声を殺した。

定晴「……行くぞ」

ぬるり、とそこに冷たいアレソレが塗りこまれると、指が入り込む。

「あ゛ッ」

一本、二本、そんなモノじゃ足りない。もうとっくに準備の済んでいるそこに、三本目が入って来てかき混ぜた。

定晴「大丈夫、だな」

膝立ちのままドスドスと敷物を踏み抜きながら体を密着させると、あてがわれたその熱が。

定晴「ん……ッ」

めりこんで。

「ふぐううううううッ!!!ァ、うううううううううッ!!!!」

定晴「お……ほ……ッ」

顔を埋めて耐える俺の背中に、これ以上ない程艶っぽい声の呻きが投げかけられる。

定晴「んあッ、お……ッあ……」

定晴「はい、ったァ」

「うあッ……!」

みぢり、と。

体の中を満たす圧倒的な熱と雄の概念に頭が降参する。

脳から溢れだす喜びと嬉しさ、淫蕩な本能。

埋め込まれた器官の目的と意思が、無理矢理脊髄に分からせられる。

「ァ、ァあ――」

定晴「裕」

定晴「愛してるぞ」

「んッ~~~~!!!! うううううッ!!!」

俺も愛しています、なんて囁く余裕はこのタイミングではない。

「うあッ……あああああッ!」

「はいッ゛……あ、つッ、さだは、るさ――」


ゴーン。と何度目かの鐘がなった。

いまのはテレビからだろうか、それとも近場からだろうか。

熱い。布団の内側に熱が籠る。上衣を脱がされ汗だくの肌におおわれて。

潰される度にカエルのような喘ぎを漏らす。

「うあッ、あ、さ、定晴さ――」

呼吸を吸う為にあげた顔。目の前。

脱ぎ捨てられた定晴さんのスウェットの下から凪の写真が半分此方を覗いている。

「ッ……!!!!!!」

定晴「どうした」

この馬鹿野郎。

呻きで抗議する俺の様子に定晴さんも気付いたようで、俺の頭の上にその手がのびる。

100均で買われたような安っぽさのある今風のシンプルな額を定晴さんが手に取って。

定晴「悪い凪、裕がやきもち焼いちまうから――」

そういう事じゃないし、俺のせいにするんじゃないこの男は!

定晴「はは、気にすんな」

定晴「俺は、今幸せだからよ。凪に見られたって構わねえけど――」

俺にも分かっている。この場にも、その先にも凪はもういない、だけど、こう、心の整理ってもんが。

定晴「ごめんな」

そういってスウェットの下に突っ込まれる写真立て。

定晴さんが腕を伸ばし、体を前に動かしたので、当然繋がっている俺の内側も奥深くまで貫かれる。

「あうッ゛! さ、だはる……ッ!」

定晴「悪い」

定晴「前からの方がよかったなァ、あと少ししたらな」

言葉を切るともう一度強く打ち付ける。また情けない喘ぎが漏れた。


テレビのアナウンサーが今年の出来事と来年の抱負を語る声が遠くに聞こえる。

遠くの鐘の音が響くのと同時にもう一度。ゆっくりと深く埋め込まれた。

「さ、だはるッ……凄、いッ!!」

「ああッ!!」

やけに緩慢に、それでも強く押し付けるように内側を抉ってくる。

定晴「そりゃあな、何日ぶりだ? 最近慌ただしいったらねえから……こっちだって」

もう一度、引いて、奥まで埋められたその熱に体が震える。

定晴「お前を、ぐちゃぐちゃにして、こんな風に……でもよ、ゆっくり、こう、じっくりと――」

また遠くで鐘が――。


「さ、だはるッ」

気付いた。気付いてしまった。

いくら何でも罰当たりというか馬鹿な思い付きと言うか――。

「か、ねッ。除夜の――」

定晴「ははッ、バレちまったか」

定晴「いや、ただの思い付きっつうか……思いのほか具合が」

ゴーン、と打ち鳴らされたその音と同時にぐちゅり、と定晴がねじ込まれ、奥を埋め尽くした。

「んア――!!」

定晴「いいもんで、な」

妙に緩慢だと思った行為はわざわざそれにタイミングを合わせて。

定晴「さ、前からがいいんだろ」

定晴「次の鐘がなる前に――……っと!」

ぐちゅり。

定晴「へへッ、だんだん早くなってきやがった」

定晴「俺も、もう我慢きかねえや」

定晴「バレちまったことだしな」

ぐるり、と抉られる体。覗き込まれた顔がにっかりと微笑んだ。

定晴「さ、今年も残り僅かだ」

定晴「よろしく頼むな? 裕」


定晴「へへッ、姫収め、か? それとも姫はじめ、かァ?」

もはやリズムもかなぐり捨ててただぐちゅぐちゅッ、と音を鳴らす。

定晴「どっちでも構わねえな。俺達はずうッ、とこんな風に繋がってこうぜ」

定晴「な、裕」

動きが止まる。休みなく喘がされていた口がひゅう、ひゅうと息を吸って。

ん? と何かを期待するように覗き込んでくるその顔を平手で引っぱたく。

定晴「ははは、痛ェ」

「も、う」

「言わなきゃ、だめ?」

定晴「おう」

「いい、で――うァ゛ッ!?」

言いかけた途端に鐘がなり、容赦なく一突きが入る」

定晴「がはは、悪い、で」

定晴「もう一回」

「……ッ!!!」

意地悪く繰り返す最愛の男に弄ばれて、弄ばれて、それでも。

――愛しくて、たまらない。

「……いいですよ、定晴さん」

「絶対に、離さないで――」

あの島を、あの時間を思い出す。

水の中で確かに温かかった掌、濡れたスーツ越しの肌。

昏い瞳の中に確かに宿った灯が今は煌々と燃え盛っているのを確かめると。

寂しさは喜びに、嬉しさは耐えがたい疼きに変わっていくのが分かる。



定晴「……」

定晴「ああ」

降りてきた肌が密着し、繋ぎ合わされた部分だけが何度も何度も揺らされる。

汗だくになった肌が密着し、ぬめって解けてしまわぬように懸命にしがみつく。

激しく揺さぶられる体は周りも認知できず、ただ与えられる感情と快感のままに俺は喘ぎ、叫んだ。

もう鐘の音も聞こえない。テレビもノイズですらない。

収束していく感覚が目の前の男の肌だけを捉え、何度も何度もその熱を確かめる。

定晴「おおッ……ぐおッ! おおおおッ!!!」

定晴「ああッ……いいぞッ、いいッ! 裕ッ! すげえッ……あッ!! うぐううッ!!!!」

年の瀬も年明けも胡乱にしたまま、俺と定晴さんは何度目かの絶頂を迎え、繰り返し。

定晴「うおッ! ぐはッ……! あーーーーーーッ……」

「うあ……ッ」

定晴「はッ……はァ……ッ」

「はあッ……は……」

抱き合ったまま泥のように炬燵布団にくるまった。



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定晴「初日の出、終わっちまったな」

「……」

夜明けはいつのことだったか。

つけたままの電灯に、窓から差し込む外の光が重なる。

定晴「初詣、行くか?」

「……」

定晴「わ、悪かったって……でも、なァ」

定晴「すンげェ……気持ち良かったよな」

「……」

「……うん」

この男と迎える朝は毎度そんな感じだ、もう慣れっこというもので。

定晴「あ~あッ、 腹減ったなァ。蕎麦、食うかァ」

「いや、無理」

定晴「ははッ、暫く休んでな」

定晴「蕎麦は俺がつくってやっから」


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風呂を浴びて。定晴さんの茹でてくれた蕎麦は少し伸びていて。

香り高く味は評判の通りだった。

定晴「どうだ、うまいか」

「うん、おいしい」

定晴「来年も、こういうんがいいなあ」

豪快に蕎麦を啜りながら定晴さんが笑う。

定晴「な、裕」

あれだけ好き放題やっておいて、その人懐こい笑顔で俺に同意を求めてくる。

そうですね、と言って傍に寄り添おうものなら。この肌寒く、どこか気持ちの引き締まる新年の空気も終わりを迎えるだろう。初詣は絶望的だ。

その前にまずは凪をスウェットの下から救出してやらないと。


定晴「おっと、何するつもりだ?」

立ち上がった俺を意地悪く捕まえた定晴さんが、再び俺を抱きすくめる。

姫はじめもしてえんだが、と馬鹿なことを囁くこの男に抱きしめられながら。


「……しょうがないですね」

そんな心にもないことをうそぶきながら、ため息をつく。

結局のところ。

この年の元日に「あけましておめでとう」は一言も発せられることがなかったのだった。


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