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夏ゞ2号
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悪魔地雷(クリスマスEND)

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悪魔地雷の番外編その②


乱立するビルの間を人々が白い息を吐きながら足早に行き交っている。


クリスマス間近の街…の暗闇、ビルの狭間から人々を眺めるサンキュバス怪人が居た。


悪魔地雷だ。


悪魔地雷は運よく電子頭脳が焼け残ったため再生怪人として再び地上にやってきたのだ。


だが、悪魔地雷は躊躇していた。

憎きバクサンジャーの抹殺の任務を負って送り出されたものの、己の武器である地雷がピンクには全く効かないと知ったからだ。


このままバクサンジャーに挑んだところでまた撃破されるに違いない。


己の自爆機能をもってしても、一人も倒せないかもしれない。


折角復活したのに犬死はしたくない。


だがサンキュバスは戦果もなく戻ることは許さないだろう。


悪魔地雷の肩が小刻みに震える。


寒さで震えているのか、死への恐怖で震えているのか、帰る場所がない淋しさで震えているのか、はたまたその全てか。

悪魔地雷はよくわからなかった。




 『あ、あの…寒くないんですか?』


突如後ろから声をかけられた悪魔地雷は振り向いて固まってしまった。


 『うッ…!?』


人間は驚いたのか、顔を真っ赤にして背けつつ続けた。


 『だ、大丈夫ですか?お姉さん、風邪ひきませんか?』


若い人間だ…だがヒーローの類ではなさそうだ。


「な、な…え、えっと……え?」


悪魔地雷が動揺するのも無理はなかった。

サンキュバス怪人を見た人間は普通は逃げるのだ。

サンキュバスはありとあらゆる破壊工作を公然とやってのけている。

ニュースでも取り上げられているし、ヒーロー達は一般の人間に”サンキュバスを見たら逃げろ”と頻繁に啓発している。

角と尻尾が生え、独特の露出の多い格好をした明らかなサンキュバス怪人に声をかけるなどありえない。


 『あの…よければこれ、羽織ってください』


その人間は自分の着ていたコートを脱いで差し出してきた。

悪魔地雷は自然と受け取ってしまった。


 『またどこかで会ったら返してください、では』


人間はそそくさと立ち去ろうとする。


「待って…!!」


 『え…?』


悪魔地雷は人間の腕を掴み呼び止めたものの、なぜ自分が呼び止めたのかわからなかった。

必死に何か適切な言葉を探すが口から出てこない。

その様子をただ黙って人間は見守った。


「あ、あの…!…ちょ…ちょっと一緒にさ、散歩とか…」


悪魔地雷は顔を赤くして必死に言葉を紡いだ。


 『コートを羽織ってください…そ、その…目のやり場に困るんです…』











人影の少ない川沿いの道を悪魔地雷と人間が歩く。

ビル街ではなくなり住宅が目立つ場所まで来ていた。

その間、全く言葉を交わさなかったが悪魔地雷は不思議と安心感に包まれていた。


突如人間が口を開いた。


 『随分歩きましたね…どこに向かてるんですか?』


「…う、うぅ…と、特にどこってわけじゃないけど…」


悪魔地雷は本能的に人通りの少ない道を選んで歩いていた。

コートを着て尻尾と服が隠れたとはいえ、角は隠せないからだ。


気がつけば全く土地勘のない場所に来てしまっていた。


 『あの…ずっと聞きたかったんですけど…』


「ん…?」


 『なんであんな寒そうな格好をしていたんですか?』


「…え、えっと…」


悪魔地雷は返答に苦慮した。サンキュバスをこの人間は知らないのか?

その答えは自身がサンキュバス怪人であるからに違いないのだが、

不思議と目の前の人間に自身の正体を知られたくなかった。


 『何か事情があるんですね、無理に答えなくても大丈夫ですよ』


「…う、うん」


 『あ…』


人間が何かに気づいた。

悪魔地雷は急に寒気に襲われた。

ひょっとしてサンキュバスとバレたのか。


 『僕の家、もうすぐそこですね』


「…へ?」


 『いやぁ、同じ方向に住んでるのかなーって…黙ってましたけど…』


「こ、この辺に住んでるんだ…そ、そっか…」


 『寄ってきます?一人暮らしなんでお茶ぐらいしかないですけど…』


「…うん」





人間の家はまるで悪魔博士の研究室の様な狭さだった。

手術台を何とか二つ置ける程度の広さの部屋に、寝床と机があるだけの簡素なものであった。

人間が台所でお茶を準備しているのを寝床に腰かけ眺めていると、机の上の新聞に気づく。




手に取って開くと一面にサンキュバスの悪事の記事が載っていた。



「…なんだ、知ってない訳ないよね…」



ぼそっと言った声に二人分のコップを持ってきた人間が反応する。


 『…え?』


「私たちの事…知ってたんでしょ?」


人間に新聞を広げて見せる。


 『お姉さんってサンキュバス…なんですか?っぽいですけど、違うかなって思ってましたけど…』


「違うかなって…」


悪魔地雷は若干呆れつつコートを脱ぎ、人間にグイッと顔を寄せる。


 『あ、あの…目のやり場に困るので…』



「触ってみ?この角、本物だから」


顔を真っ赤にする人間の手を掴み角に触らせる。



 『えっ…あっ…やっぱりほ、本物…?おでこから生えてる…?!』


「はぁ…君、下手したら襲われたり殺されてたかもしれないんだよ?」


 『あ、でもお姉さん襲ったり殺したりしないんですね?』


「………はぁー」


人間の反応にあきれ返った悪魔地雷は寝床にごろんと倒れ込む。




「そりゃそうだけど!君を殺したいとか思わないけど!!!」


悪魔地雷は不思議な感覚に陥っていた。

殺人兵器であるはずの自分が目の前の人間を殺したくないという感情を持ってしまっていることが理解できない。




「で、こんな可愛い女の子連れ込んで何もしないってことないよね?」


 『…え?』


「…はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


悪魔地雷の巨大なため息が部屋に響く。



キョトンとした、全くもってそんなつもりはないという返答。

人間が性的な魅力的を強く感じるように造形された自負を持つ悪魔地雷にとってそれは屈辱的な反応であった。



ただ顔を真っ赤にして…目を泳がせて…。



まるで恥ずかしがっているような…。



―それはまるで…


「目のやり場に困るって…そういうこと?」




起き上がった悪魔地雷は人間の肩をがっちりつかむ。



「ねぇ?私って君には…えっちに見えるってことだよね?」


 『それは…そうですけど…でも、そういうつもりじゃ…』


「じゃぁなんで声かけてきたの!?ヤりたくないの!?」


 『だって…寒そうだったから…震えてたし、お姉さんみたいな可愛い人が震えて困っているようだったら…暖かくしてあげたいですよ』


「か、可愛い…ってさ、サンキュバスだよ!?怖い怪人だよ!?」


 『可愛いですよ!!お姉さんが何であろうと!!…サンキュバスだろうと寒い思いはしてほしくないなって思ったんです!!!!』


「もう…バカぁ!!優しすぎるってもう!!!好きぃ!!!!!」


悪魔地雷は耳まで真っ赤にして衝動のままに人間に抱きついた。







互いの心臓の音が響く。






「ね、ねぇ…その…ここに置いてくれない?」


 『…僕は学生で…そ、そのあんまり贅沢とかできないですけど…』


「そんなのどうでもいいの…サンキュバスのロボット怪人でも構わない?」


 『か、構わないですけど…』


「わ…私はその…地雷で…地雷のサンキュバスだから…おへそのピン抜いて殴ったらあなたも死んじゃうぐらいの爆発起きるんだけど…もうサンキュバスとかどうでもよくて…」


「その…こ、こんな気持ちになったの初めてで…あ、…でも普通の人間の君じゃピン抜けないから多分安全なんだけど…」



顔を真っ赤にした悪魔地雷は衝動のままに口から言葉を吐いていく。



「私だってそれなりに強いから…君を守れると思うから…役に立てるように頑張るから…」


 『わかりましたよ、地雷さん…』


「でも嫉妬深くて…浮気とか許せないと思うし、でも君は人間だから…機械の私なんかより人間とつがいになった方が幸せだと思うんだけど…そ、それにバクサンジャーに見つかったらきっと私は殺されて…君を巻き込まないようにに離れるけど…でも…あぁあぁ…うぅぅぅぅ!!!!!」


 『わかりましたって、でも見つかっても一緒に居ましょう。』


「一緒に!?で、でも何されるか…そ、それに私は人間より力が強いから君を怪我させちゃったり…したら―——


 『わかりましたって!!!』


人間の腕が悪魔地雷の細い腰をぎゅっと包むとようやく言葉が収まった。


「……いい…の?」


 『地雷さん、あなたが悪い怪人だとかじゃないってのはわかりました。それで充分ですから。万一見つかってもヒーローの人たちだって私が説得しますから!』



悪魔地雷は改めて人間に向き直ると自身の角に手をかけた。



「角折るから!!!一生添い遂げるから!!!覚悟決めて角折る!!!」


 『折らなくていいですから…!!角も可愛いですから!!!そのままを受け入れます!!!』



慌てて人間に制止されたのであった。









数時間後——




空になった二人分の食器が机の上に並んでいる。


 『地雷さん料理上手なんですね。美味しかったです』


「ふふふ…そりゃぁ人間を垂らしこむために造られてるから!!」


悪魔地雷は誇らしげに寝床の上で尻尾をゆらゆらと振る。



「…本当に受け入れてくれるんだよね?」


 『はい』


返答を聞く悪魔地雷は衣装を脱ぎだした。


 『…!?』


「じゃぁ…私にも食べさせて欲しいな♡…人間の食事だけじゃダメなの」


 『た、食べるって…』


「最低でも数日に一回は貰わないと…動けなくなっちゃう…」


一その姿に息をのむ。



「じゃぁ、こっち来て♡」































習作の副産物。


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