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俺が神官少女で神官少女が触手で(7)

「や、やめ、やめろ!!」  触手が俺の股間を這い回る。目で見るだけでも気色悪かった動きが、俺の肌の上を舐めるように移動していく。  いや、実際に舐めているんだ。 (おいしい、おいしい! わたしの身体から出てるもの全部おいしい!!)  触手が摂取してるのは、俺の小便だけじゃない。俺の下半身全体を撫で回すようにして、汗も舐め取っている。そして俺の顔にも触手は伸ばされ、俺の目からついこぼれてしまう涙や垂れてしまう鼻水や涎までも、一滴たりとも取りこぼすまいとするように、啜る音が聞こえそうなほどに吸いついていた。  俺自身が食われるとしてもおかしくない勢いだった。  何より、感覚が最悪だ。何十匹何百匹ものねっとりと湿った軟体動物が、俺の体表を蹂躙していくみたい。この手の生き物はガキの頃から好きではなかったが、こんなの発狂ものだろう。  ――って、なんでこんなこと冷静に考えていられるんだ?  グロテスクな触手に大量に絡みつかれ捕食の危険すら感じている。常人ならたちまち狂いそうな状況にある。しかし、俺の心はなぜか正気を失うには至らなかった。  ふと、快い香りを感じる。それは、俺の鼻の近くを蠢いている触手から漂ってくるようだった。 (トゥクファ、この匂いはどうした?) (え……よくわかりません。わたしの身体から出てるみたいですけど、自分で意識して出しているわけじゃありません)  俺の体液やら何やらを入念に吸収しながらも、トゥクファはそんな返事をした。相手も最初の興奮は去り、冷静さを取り戻したような気がする。  状況は相変わらずなのに、徐々に俺はこの状態を当然のものとして受け入れつつあった。触手が放つ芳香が関係していそう――肉食生物が獲物を惹きつけたりおとなしくさせたりする匂いとかを連想する――だが、俺にもトゥクファにもどうにもならないことだし、まあ、食われでもしない限りは悪い話でもない。  そうなると、今度はもう少し卑近なことが気になってくる。  具体的には、何もない股間。  ――俺、女なんだな。トゥクファの身体なんだな。  この身体で初めて尿を出した時にちらと思ったことを、改めて思う。今は触手が何本も股間に貼りついてぐねぐねと動きまくり、股間の形を否応なしにイメージさせるからなおさらだ。  股間に限った話じゃない。尻も、手足も、胸も、顔も、全部がトゥクファのもの。元に戻るまでは、俺はこの身体で女として生きていくしかない。  触手にまとわりつかれながら、そんなことばかり考えていた。 「……気は済んだか?」  尿が出終わってからも、触手は執拗に俺の股間をまさぐっていた。それでも、汗やら何やらが引いた腕や顔から離れた後、名残惜しそうではあるが股間からも離れていく。 (は、はい……。見苦しい姿をすみませんでした) 「いや、それはしかたなかったんだろ。気に……ならないと言ったら嘘だけど、気にしないようにする」  そこまで言って、思いつく。 「トゥクファの飢えや渇きは、今どうなってる?」 (……落ち着いていますね。さっきまでより快適です) 「なら、その問題は解決したのか。一歩前進ではあるな」  俺が生還するためにどうするか、俺の飢えや渇きはこの先どうするか、といった問題はまったくもって未解決だが。  ともあれ下半身に服を着ようと思っていたところ。 (あ……)  不意に、触手から強い匂いが立ち昇った。  さっきまでとはまた違う……異様なまでに甘い、と同時に果汁を思わせるかぐわしい香り。 (そ、その、ジクーブ、今度はわたしが、その、用を足したくなってしまって……)  言いながら、俺の目の前にあった触手の一つから穴が開いて盛り上がるものがある。  ……何か、『俺』のチンポを思わせる存在がせり上がってきた。 (も、もう駄目……)  その声とともに、チンポのようなものが膨れていく。もうすぐその先から触手の尿的なものが流れ出すのだろう。 「うまそうだ……」  言いながら。  俺はそのチンポにしゃぶりついていた。 (ジ、ジクーブ?!) (ああ、やっぱり……トゥクファのおしっこ、おいしい……) (そ、そんな言い方しないでください!)  抗議はされるが撤回する気にもなれない。それくらい、俺はこのチンポから溢れる汁に魅了されていた。  甘みが強く、それでいて酸味も適度に効いていて、ほのかな塩味もいい隠し味になっている。  ほどよく温かく、スープのようにぐいぐい飲める。のど越しも爽やかだ。  地上の酒場でよく飲む安いエールどころか、たまに稼げた時に手を出してみる上等なワインやサケよりもさらにうまい。 (さっきのトゥクファもこんな風に感じていたのか? 病みつきになりそうだ……) (一緒にしないでくださいと言いたいところですが、否定もしきれません……。で、でも、こんなのおかしいですよ……)  それはそうだ。相手の小便を飲み合う関係なんてマニアックすぎる。でも、トゥクファなんて触手生物なんて不思議な存在になっているんだし今さらだろう。 (ハチミツってのは、花の蜜だけでなくハチの唾液やら何やらも混じってるそうだぞ。そんなもんだと考えればいいんだ) (ああ、燕の巣が唾液でできているのと同じですか) (変なことを知ってるな)  心の中で話し合いながら、俺はトゥクファから出るものを一滴も残さず飲み干そうとしていく。  が、それが終わるより早く別の変化が起きた。 (あれ、またおしっこしたくなってきた) (の、飲ませてください!)  食いつき気味にトゥクファが言い、俺の股間に別の触手を這わせてきた。 (まあ、いいけどさ)  二度目になると抵抗は薄れる。  互いに相手の小便を飲む、飲ませる。それがいつ終わるともなく続いていた。 (俺、だんだん自分のおしっこを飲んでる気がしてきた) (わたしもです……)  こんなに飲めるはずないよなというペースで飲み続ける。こんなペースで出るわけないだろうという勢いで小便が出続ける。触手が何か関係しているのかもしれないが、仮にそうだとしても止められない。  飲尿も排尿も止まらないまま、俺は徐々に眠気に囚われていく (トゥクファ……) (…………)  相手も同じなのか返事は得られず、俺は眠りに陥ってしまう。  そして夢を見た。


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