SamuZai
茶

fanbox


幼なじみが俺で、俺が俺の妹で(8~13)

8【入学式】 「うん、似合ってるよ」  入学式前日の晩、俺は中学の制服であるセーラー服を着て、瑠璃に披露した。  なお、本来こういうことをする相手であるはずの両親は……今夜はどちらも泊まりがけで仕事をこなした後、徹夜になりそうだが中学へ直行するという話。どうか死なないで欲しい。 「すごく可愛いよ、『光莉』」  もしお兄ちゃんに言われてたら単なるお世辞と判断しただろうけど、瑠璃ちゃんに言ってもらえてると思うと一気にうれしくなる。あたしって可愛いんだ……って、いかん、『光莉』の感覚に呑まれかけてた。 「そ、それにしても、俺、セーラー服を着ることになるなんて思わなかったな。それに二年後元に戻ったらもう中学は卒業してるから、学ランはもう着なくなりそうだな」  照れ隠しに言うと、瑠璃も少ししんみりした顔になる。 「そうだね。逆にわたしは卒業までは学生服で過ごすんだよね」  在校生の始業式は今日だった。瑠璃は俺より一足早く、異性の制服で学校生活を始めたことになる。 「まあ、わたしの場合は普通にしてたら引っ越しちゃったから、どの道、このセーラー服はもう着れなかったわけだけど」  少しうらやましそうな顔をして、瑠璃は俺のセーラー服を見つめている。 「ところで、学校はどうだった?」  ちょっと気まずくて、俺は今さらながら瑠璃に訊いた。  夜になるまでこの質問をしなかったことに、我ながら驚く。午前中は瑠璃に勉強を教わらなくていいという気持ちから惰眠をむさぼってしまったり、午後は光莉のお友達の清美ちゃんから電話があって長話したりと、一応理由はあるけれど……。  俺、この先二年間の『俺』の生活については関心が薄くなってるのかも。たぶん、元に戻れば瑠璃が過ごした分の記憶が得られるから、という意識ゆえだけど、それにしたってちょっとどうかと思ってしまった。 「ええと、敏明くんや潔くんとまた同じクラスになれて……」  でも、瑠璃から色々教わっても、やっぱり関心は持ちきれなかった。明日から清美ちゃんと同じクラスになれるかどうかの方が、よほど重大な気がしてしまう。 「ところで」  さっきの俺と同じように、瑠璃が切り出した。 「もう光莉ちゃんには確認を取ってあるんだけど……みっくんは『光莉』として入りたい部活とかある?」 「ん? 別にないぞ」  記憶の中の『光莉』自身、中学から送られてきたプリントを見て部活の種類の少なさに呆れてた。片田舎のうちの中学は部活に力なんて入れてなくて、どこにでもあるような部活しかないんだよな。まあ、強制入部ということもないのはありがたくて、俺も帰宅部だ。そして瑠璃もそうだった。 「漫研とかあったら読む側専門で入りたいけど」 「ふふ、光莉ちゃんもおんなじこと言ってた」  でも、どうして瑠璃がこんな話を始めたんだろう? 「今日、帰りに担任の先生に声を掛けられたの。文芸部が、一人しかいない部員が卒業しちゃったんで、入ってくれないかって」 「へえ」 「わたしも初耳だったんだけど、うちの中学出身の文学者が大昔にいたみたいで……新任の校長先生が、その作家さんのファンみたいなの」 「つまり、文芸部が潰れるのはよろしくないって?」 「そう。だから先生もとりあえず暇そうなみっくんに声を掛けたんじゃないかな」 「って、今は瑠璃がその『暇そうなみっくん』だろうが。何かこう、しゃきっとしてたら目をつけられずに済んだんじゃないか?」 「どうかなあ? 『藤浦さんが転校してなかったら一番に声を掛けてたんだけど』って言われたよ」 「む? それなら『俺』も第二候補としてしっかりしてそうに見えた? ……いや、そんな流れなら自分で自分のこと『暇そうな』とか表現するなよ」  俺が突っ込むと瑠璃が笑う。いかん、すっかりからかわれてる。 「まあ、言いたいことはわかった。『光彦』が入るのはもう確定で、『妹』の俺も文芸部に入らないかってことだな?」 「うん。ちょっと部室に行ってみたんだけど、歴史が長いからか本はたくさんあったよ。最近はライトノベルが多めで、少しは予算が出るから新刊も買えるみたい」 「でも文芸部ってことは自分で何か書いたりするんじゃないか?」 「活動内容は確認したけれど、文化祭でどんなに薄くてもいいから部誌を出すのが最低限のノルマみたい。他には一ヶ月か二ヶ月に一度、壁新聞みたいな感じでレポートを出すとか」 「うーん……」 「一人で部活するのもちょっと味気ないから、みっくんと一緒にできるとうれしいな」  瑠璃にそこまで言われると……それに、部活が同じなら学校で瑠璃といる機会が増えるから、互いにサポートしやすくなるか……。 「しょ、しょうがないな。大して役に立たないと思うぞ」 「ううん、ありがとうみっくん!」  瑠璃は、『俺』の顔だけど満面の笑みを浮かべる。照れくさくて、俺はそっぽを向いた。 * 「それにしても、相変わらずでかいな……」  今夜も風呂へ一緒に入り、俺は瑠璃のチンポに手を伸ばす。 「そ、そうかな?」 「うん。『光莉』の手の小ささを差し引いても、俺が射精してた時よりでかい気がする。なんでだろうな?」 「そ、それは……」  何やら瑠璃がしどろもどろになっている。 「いや、女子が男子よりチンポでかくしてるとか言われてうれしいわけないよな。悪い」  俺たちはすっかりおかしな関係になってしまったとは言え、今のはちょっとデリカシーが足りなかった。 「ま、成長期だから大きくもなるのかもな」 「そ、そうだよ、きっとそう」  瑠璃は若干声を裏返らせ気味に言う。 「ほら、みっくん早く済ませちゃって」 「あれ、今夜はさっさとするの?」  まあ、気分の問題もあるか。俺はチンポをしごいていく。  それにしても、本当におかしな関係だと思う。俺は瑠璃が好きなのに、今は女になってしまって、男になった瑠璃の性欲処理のためせっせと手コキをしてるのだから。  これが逆で、自分自身のチンポを女の子の瑠璃に手コキしてもらったら、俺も興奮で勃起がさぞすごいことになるだろうに。 -------------------- 9【初めての生理】  入れ替わって半月ほどが過ぎた。  俺は『光莉』として二度目の中学一年生を始め、瑠璃は『俺』として中学二年生になり、二人で文芸部に所属している。学校生活は非常に順調だ。  ただ、その日の俺は最悪の気分で目を覚ました。 「ちょ、ちょっと、みっくん痛いよ……」  朝勃ちした瑠璃のチンポをしごく手つきも荒々しくなってしまい、瑠璃の苦痛を訴える声で我に返る。 「わ、悪い……」 「今朝はどうしたの?」 「始まっちまった……生理」 「あ……ごめんね、気づいてあげられなくて」 「しかたないよ。今の瑠璃は男だし」  言ってしまってから、これ嫌味だよなと気づいた。 「ご、ごめん」 「ううん」  なのに瑠璃は軽く受け流すように、俺の手を自分のチンポから外した。チンポは勃起していたが、射精しなければ収まらないほどいきり立ってはいなかったから、しばらくすれば鎮まるだろう。 「無理はしないで。わたしなら大丈夫だから。今日は休む?」 「……行く」  光莉は生理で休んだことなんてない。  それでも、学校でいつも通りに過ごすのはなかなかしんどかった。  男なのに生理になっているという現状がさらにつらくて、あたしは『光莉』の記憶に身を任せるようにしてやり過ごした。  あたしの生理は短いけど重いようだと、去年からの経験と周囲への情報収集で悟っていた。  一方、瑠璃ちゃんは短くて軽いみたいで、うらやましかった。『あたし』が瑠璃ちゃんになったのは、この気持ちもいくらかは関係していたのかも……などと、痛みでぼんやりした思考の中、少し考える。  そんな中、今日は保健の授業があって、性の違いなどについて教わった。去年もお兄ちゃんとして同じ授業を受けたはずだけど切実さが違う。あたしは苦痛の中でもどうにか意識をしゃんと保って授業を受けた。  今の身体について、少しだけわかったような気がした。  授業は乗りきったけど、部活に出る頃にはもう限界に近かった。  空き教室を利用した部室には、あたしと『お兄ちゃん』の瑠璃ちゃんしかいない。あたしは椅子に座り込むと机にぐったりもたれる。  と、じわじわ痛み続けるお腹を優しく撫でられる。 「……瑠璃ちゃん?」  いつの間にかあたしの隣に椅子を持ってきた瑠璃ちゃんが、あたしのお腹をいたわるように撫でてくれていた。 「気休めだけど……いい、かな? 嫌だったらやめるけど」 「ううん、続けて」  それだけ言ってから、「ありがと」と小さく付け足す。  誰かに見られたら変に思われちゃうかな、と頭の片隅で考える。でも、お兄ちゃんが妹の介抱をしてるってことだし、いいよね、とも思う。  あるいは、彼氏が彼女の……って、何考えてるんだろ、あたし。  頭の中で変なことが渦巻いてるあたしに、瑠璃ちゃんは声を掛けてくれた。 「初めては誰でも不安だよね」 「瑠璃ちゃんも?」 「もちろん」  微笑む瑠璃ちゃんは、お兄ちゃんの顔なのにすごく瑠璃ちゃんらしかった。  学校にいた時間帯が一番きつかったようで、帰宅した今も楽ではないけど「さっきまでに比べればマシ」という気持ちでどうにか意識を立て直せていた。  今日も風呂は休まなかった。  そもそもこういう時に風呂に入って大丈夫なのか不安ではあったが、記憶の中の光莉は風呂を休んでいないし、入る前に瑠璃に確認しても「おうちのお風呂だから、別に不潔じゃないし気にしなくていいよ」と言ってくれた。  瑠璃の「体をよく温めた方がいいかも」という言葉に従い、今日はまず、湯船に浸かる。入浴剤も相まって、血行が良くなり全身のこわばりがほぐれていくような気分になっていった。 「……女の子って、大変なんだな」 「そうなんだよ。みっくんもこれから二年間がんばってね」  一緒にお湯に浸かりながら瑠璃が笑う。 「逆に二年間、瑠璃は生理と無縁でいられるんだな……」 「うん。そう考えると気が楽。入れ替わってよかったかも」  思わず皮肉気味にこぼすが、瑠璃はすごく素直に肯いた。 「って、別に男の子になりたかったわけじゃないけどね」 「う、うん」  ひとまず肯きながら、俺は今の瑠璃の言葉からあれこれ考えてしまう。  今の俺は女で、今の瑠璃は男なんだなと、今さらながら意識してしまった。  今の俺の体の中には卵子があって、今の瑠璃の体の中には精子がある。瑠璃の精子が俺の中に入ってきて卵子と結合したら、俺が妊娠しちゃう。  セックスしたら、そんな風になりかねない。  入れ替わってからこれまで、あまり深く考えないようにしてきたこと。でも今日の生理は俺に、男女とか妊娠とか、そういうことを改めて教え込んでくるようだった。  男だった去年の夏から、俺は射精を覚えていた。大人の男になった気がしていた。でもそれは相手のいない一人遊びで、男と女の関係というのは、女という相手がいなくちゃ始まらない。  そして女になってわかったけれど、女は男に比べるとずいぶん力が弱い。スケベでバカな男が本気を出してしまったら、抵抗なんて難しいほどに。  俺たちは入れ替わっているんだし、普通の女と男とは違う。それに瑠璃はお兄ちゃんで、俺は妹なんだから、変なことにはなるわけないと言い聞かせる。  でも、それでも、ちょっとだけ……瑠璃を、『俺』を、怖いかもと思ってしまった。 「る、瑠璃。そろそろ抜こうぜ」 「え? もう少し浸かってからでよくない?」 「いいから」  まるっきり光莉が普段そうしていたような駄々をこねて、瑠璃を引っぱり出す。  瑠璃を座らせ、チンポを弄る。俺の手の中で、俺のものだったチンポが硬くなっていく。  瑠璃を怖がりたくない。だからこそ、俺は瑠璃のチンポをコントロールできると思いたかった。  気持ちよくなってもらう。持て余した性欲を、不意に俺に向けてこないように。  こんな変なことを考えるのは、きっと初めての生理で不安になっているからなんだ。慣れればもっと落ち着いて、このおかしな状況にまた順応できるんだ。  頭の片隅でそう考えつつも、俺は瑠璃を派手に射精させた。 -------------------- 10【先輩後輩】  もうじきゴールデンウイークという平日。  授業が終わって放課後になると、俺は清美ちゃんにバイバイしてから部活に出た。  部室である空き教室の隅には、最近段ボール箱が増えつつあった。旧部活の部費で買った本は部室だけでなく図書準備室の隅にも保管されているそうで、暇を見つけては瑠璃が箱を持ってくるみたいだ。  そして今、俺は初めて目にしたのだけれど、瑠璃が一箱抱えてやって来た。 「やっぱり本って重いね」 「俺も手伝おうか?」 「ありがと。でも大丈夫」  箱を床に置いて若干息を切らしている瑠璃に言うが、やんわり断られる。 「光莉ちゃんには重すぎるから。『わたし』でも無理だったと思う。みっくんの腕力だからできるんだよ」  小分けにすれば俺も手伝えるとは思うけど……どうも、瑠璃は男子の腕力を楽しんでいる節もある。そうなると、俺が無理に主張するのもおかしいかもしれない。 「時代を感じるね」 「時代っつーか、何が何やらさっぱりわからない」  箱には、どんな本が収められているかのリストも付いている。そのリストを見て瑠璃は感慨深げだけど、俺にとっては本のタイトルどころか作家の名前もろくに知らない。  読書家の瑠璃との差を感じるのはこんな時だ。 「生徒側だけで好き勝手買えるわけもないし、先生も介入して、リクエストの中から変でないもの・マシなものを選んで買ったはずなんだよね。それでも二十年も三十年も経つともう消え去っているような本がほとんど。それも、名作なのになぜか埋もれてしまったというよりは、流行っていたものが廃れたって印象だね」  わざわざ買おうとしたってことは、いい本だと思ったんだろう。後輩が読むのを期待したってこともあるだろう。……まあ、小遣いが足りないから部の金で買ってしまえという感覚もあったかもしれないが、その場合だって狙ってつまらないものを選んだはずはない。それなのに、今の俺たちにはピンとこない本が多くなるというのは不思議だしちょっと怖くもあった。 「妥協して間を取ったのがよくないってことか?」 「うーん……元のリクエストがどんなものかはわからないけど、それを素通ししてたらもっと悪い意味ですごいことになっていたかも。だからって、先生が選んだ後々まで残りそうな『いい本』ばかりを押しつけていても部員は素直に読む気になんてならなかっただろうし、難しいよね」  言いながらも、瑠璃は箱から一冊手に取った。 「まあ、どんな本も結局は読む当人の受け取り方一つだからね。気になったものは読んでみる。いいと思えたらラッキー。そんな感じでいいと思うよ」  言われて、俺もリストを見て気になったタイトルを箱から出してみる。女の子が描かれてはいるけれどあんまりエロい表紙ではないライトノベルで、男だった時の俺なら手に取らなかったかもしれない本。でも今は不思議と惹かれるものを感じた。  選んだ本は、意外とすらすら読めた。  部活を始めたばかりの頃は、すぐ読書に飽きていた。でもその時に瑠璃に読みやすい本を選んでもらったりしたことや、『光莉』が漫画を読み漁るオタクだったことが影響してか、次第に本を読むことに抵抗がなくなってきた。  読んでみると、表紙の女の子はヒロインじゃなくて主人公だった。特殊な立場にある彼女が、変わってしまった世界のあちこちを巡って様々な人たちに会う仕事を描いていく物語。ほのぼのした話が多いけど、時に悲しい話もあり、時に主人公がつらい決断を強いられる話もある。  夢中になって読んでいく。 「みっくん」  肩を叩かれて我に返る。 「時間だよ」  言われて外を見れば、もうかなり暗い。下校時刻が近づいていた。 「みっくんにとっての埋もれた名作、見つけられたみたいだね」  瑠璃の言葉に、素直に肯いた。 * 「みっくん、ちょっと元気ない?」  風呂に入って体を洗い合っていると、瑠璃に訊ねられた。 「わかっちゃうか」 「まあ、こうなってからずっと一緒にいるからね」  なぜか胸を張るように、瑠璃は言う。 「でも、どうしたの?」  問われて、俺は放課後の部活を終えた頃からぼんやり考えていたことを口にしてみた。 「俺、瑠璃にあれこれ教わってばかりだなあって。本も読んでないし、勉強も苦手だし、料理もやってこなかったし……」  今、俺は中一を繰り返しているけど、瑠璃は中二になっている。来年には俺も二年生だけど、瑠璃は先に三年生になっている。  勉強を教わる時は年下になったことをありがたく思ったけど、何て言うか、自分が瑠璃と対等でないことを最近は痛感させられてしまう。  それが今日、不意に大きく心の中で浮かび上がってしまったのだった。 「よく考えてみると、光莉の記憶にも教わってるんだよな。料理とか、勉強の習慣とかも……」  話していくうちに、自分が駄目な奴という気がしてくる。 「みっくんは周りの人を思いやれる素敵な男の子だよ。願いが叶うって時に、わたしや光莉ちゃんの願いを叶えてやってなんて言えないよ」 「ほんとだと思ってなかったからだし……今は、女の子だし」  瑠璃にすごく率直に褒められたのが照れくさくて、そんなことを口走る。 「うん。二年間女の子をがんばって、女の子の気持ちもしっかりわかるようになって、再来年にはもっと素敵な男の子になるの」 「できるかなあ?」 「大丈夫だよ」  不安になる俺を瑠璃は優しく抱き寄せて、そっと撫でてくれる。俺の強張った心を溶かしてくれるようだった。 「それにわたしだって、みっくんには色々教わってるもの。その、男の子としての過ごし方とか、体育の時の体の動かし方とか」 「あんなのは別に……『俺』の記憶を読めばいい話だし」 「そこで記憶があるからほっといていいや、ってならないのがみっくんの素敵なところなの」  こんな俺をそこまで褒めてくれる瑠璃こそ優しくて素敵だと思うけど、それをすんなり口に出せない自分が不甲斐ない。  ただ。 「それに、男の子として気持ちよくなるやり方とか……」  言いながら俺の手を取って自分のチンポに触らせる瑠璃は、ちょっと鼻の下が伸びたスケベな『俺』の顔になってしまっていて台無しだった。 「や、やるから、風呂出るぞ!」  向かい合ってやるのは、やっぱりいけない気がする。俺は水音を立ててそそくさと立ち上がった。  向かい合うのが嫌なのは、何より『俺』の絶頂顔なんて見たくないからだけど……もし万一、『俺』のそんな顔を見て、俺の気持ちが別に萎えなかったりしたら、それこそ大問題じゃないか。 -------------------- 11【じゃれ合い】 「暇だなあ」 「することないね」  俺がぼやくと瑠璃が同意して、困ったように笑った。  ゴールデンウイークの最終日。家には俺たち二人だけ。  昨日までは、父さんと母さんもいてのゴールデンウイークだった。俺と瑠璃は妹と兄として、時々言い争ったり仲良くおやつを食べたりと三月以前の関係を演じつつ、少し多めに出された宿題を二人一緒にそそくさと片づけて驚かれたり、前半はほとんど寝て過ごしていた両親の回復を待って近くの遊園地へ遊びに行ったりした。  ただ、今日になって両親はそれぞれの仕事でトラブルが発生して出勤していった。  ちょっとぜいたくな外食の予定が流れたのは残念だが、まあ別にいい。問題は、宿題も済ませてしまった俺たちにとっては完全に暇な一日が訪れてしまったことだった。 「みっくんゲームする?」 「んー、今はいいかな」  入れ替わり前によく遊んでいたRPGがあったが、光莉になってからは不思議とやる気が失せていた。最初は、『光彦』の部屋にゲーム機があって寝食忘れてみたいな遊び方ができなくなったからかと思っていたが、こんな絶好の機会が与えられても食指が動かない。ゲームについては特に好きでもない『光莉』の記憶に影響を受けているんだろうか(入れ替わる前のあいつのオタクとしての関心は、テレビで見られるアニメと古本屋で手軽に買えるメジャーな漫画に偏っていた。『瑠璃』の立場で東京にいて、今現在どうなっているかは想像できないが)。  そして『俺』になった瑠璃もゲームに嵌まりはしていない模様。「みっくんの代わりに進めちゃうのも気が引けて」というのはもっともな理由だし、別データを作って始めるわけでもないのは、途中まで進めていた『俺』の記憶があるからなのかも。瑠璃自身、ゲームに関しては光莉と同レベルの興味関心しかないし。 「借りてきた本が読み終わるのはちょっと予想外だったよね」 「面白過ぎた」  連休に入る前に、文芸部から昔の本を何冊も持ち帰っていた。しかし予想以上に面白くて読みやすくて、連休前半で読み終えてしまっていた。もっと歯応えがある本を選んでもよかったかもしれない。  まあ、「一日」とは書いたが、すでに昼下がり。食事の支度や片づけや洗濯や掃除をしていくうちに午前中は潰れ、もう少しすれば洗濯物の取り込みや夕食の支度や風呂になって、意外とあっさり今日も終わる。はっきり暇と言える残り時間は意外と少なさそうだ。  でもそう考えると、何かいつもと違ったこともしてみたくなる。  なので俺は。 「うーん、えいっ」 「ど、どうしたのみっくん?!」  居間のソファでくつろいでいた瑠璃に、とりあえず飛び掛かってみた。 「小さい頃はこんな風にやってたなって、『光莉』の記憶を思い出した。退屈な時はお兄ちゃんにじゃれつくと、けっこう暇が潰れるんだ」 「みっくん、『みっくん』の記憶だと、そういうことする光莉ちゃんのことかなりうざいと思ってたよ?」  瑠璃が『俺』の顔で困ったような表情になる。 「でも今は俺が妹だし」 「理不尽なのは、立場で態度を百八十度変えるみっくんなのか、それとも兄を暇潰しの道具としか思ってない光莉ちゃんなのか……」 「それにしても、男ってやっぱり女と違うんだなー」  何やら呟いている瑠璃を無視して、俺は『俺』の身体に密着して撫でさする。 「『俺』の身体でも筋肉が意外とがっしりついてるし、骨格からごついし」 「ちょ、ちょっと、くすぐったいよ、みっくん」 「それぐらい我慢しろよ、お兄ちゃんなんだから」 「妹ってこんなわがままなの?!」 「その通り。俺も昔はこの無法を耐えてきたんだ」 「負の連鎖は断ち切る努力をしようよ……」  言われても俺の動きは止まらない。  自分より「上」の存在を、困らせる楽しさ。単純なわがままとか甘えとかとはまたちょっと違うかもしれないような、結局同じなような。光莉の気持ちが、同じ立場になって初めてすごくよくわかった。 「胸がぺったんこなのも、女の立場からすると不思議だなー」  胸に触ると、瑠璃が「あんっ!」とちょっと女の子みたいな声を上げた。 「し、しかたないじゃない。男子は別にお乳が出ないんだから、大きくなる必要なんてないの」 「でも乳首はついてるんだよな」  服越しにちょっと盛り上がっている部分をつまむ。「んんっ!?」とさらに悲鳴みたいな声が出る。 「瑠璃って、カップいくつだった?」 「なんでそんなことまで訊いてくるの?!」 「気になったんだからしょうがないだろ。お兄ちゃんは妹の質問くらい簡単に答えるものなんだぞ」  俺が男の『俺』で瑠璃が女の『瑠璃』だったら、絶対しなかったはずの質問。でも今は、俺が女で瑠璃が男で、しかも俺たちは兄妹で、踏み込んでいけないラインがよくわからなくなっていた。 「……D」  けれどなぜだろう。自分から訊き出したことなのに、瑠璃の答えは俺をカチンとさせた。今しがたまでの妹による兄への甘えに、中一の女が中二の女に抱く感情が混じるのを自覚した。 「へ、へえ……すごいじゃない」 「別に、そんなにいいものじゃなかったよ。重いから体育は苦手になるし、じろじろ見られるし」  持てる者は持たざる者の気持ちなど理解していない。 「ふうん、じゃあ今は男の子になってすっきりした? お兄ちゃん」  あたしは自分の小さい胸を気にしているのに。そんな気持ちがどこからか湧いてきて、俺の判断を狂わせる。じゃれ合いやおふざけの範囲を超えてこれは行き過ぎかと踏みとどまるより先に口走ってしまった。  ふう、と瑠璃は一度大きくため息を吐く。  そして、俺の両肩を強い力で掴んで引き剥がすと、真剣なまなざしで見据える。単なる怒りや苛立ちだけでもない、こちらへの気遣いまでも窺えるような真面目な視線に、俺は思わず身を竦めていた。 「親しき中にも礼儀あり。節度はなるべく弁えようね」 「は、はい……ごめんなさいお兄ちゃん……」 「わかればいいよ。じゃ、洗濯物を取り込もうね」  手を離すと瑠璃は軽快に二階の物干し台へ向かう。でも俺は、その場にしばしへたり込んでしまった。  合流してからは、それまで通りにやっていけたと思う。でもさっきの瑠璃の言葉は、俺の心に楔のようにしっかり打ち込まれていた。  俺は妹としてのトラウマをお兄ちゃんの瑠璃に植えつけられ、光莉本人ほどわがままな妹として今後二年間を過ごすことはかなり難しくなったのだった。 -------------------- 12【かっこいいお兄ちゃん】  校庭で体育の授業を受けていると、みんなの視線が体育館の開け放たれた扉に向いている。でも、うちのクラスの男子は校庭の別の一角にいる。たしかこの時間は瑠璃のクラスも体育だったっけ。 「かっこいいよねー」 「うん」  盛り上がっているのは、長距離走をすでに終えてクールダウン中の子たち。体育館の中をちらちら見ながらはしゃいでいた。 「どうしたのー?」 「あ、光莉ちゃん」  清美ちゃんに訊いてみる。 「あの人、光莉ちゃんのお兄さんだよね?」  体育館の中では、『光彦』がバスケをしていた。相手をドリブルで抜き去り、軽やかにシュートを決める。ゲームが再開すると相手ボールを奪ってまた攻める。 「かっこいいなー」  清美ちゃんがうっとりしたように言い、周りの子たちもそれに同意していた。 * 「み、みっくんも見てたの? ちょっと恥ずかしいな」  お風呂で湯船に入りながら瑠璃に訊くと、当人は照れたように顔を赤くした。その照れくさがる表情には『瑠璃』が思いがけないことで褒められた時の面影がある。気づけるのは俺か光莉しかいないだろうけど。 「二ヶ月も経ってないのにずいぶんうまくなってたよな。俺よりもスポーツ得意になってないか?」  入れ替わった少し後、『俺』として体育の授業を初めて受けた瑠璃は「みっくんの身体ってやっぱり『わたし』の身体と勝手が違うね。慣れるのはちょっと大変そう」なんて言っていた。そもそも『瑠璃』もそんなに体育の成績がよかったわけじゃない。だからちょっと体育が得意なつもりでいた俺がアドバイスしたりもしたのに。 「修正して、調整して、慣れていった感じ。料理と同じかな」  そう言えば、最近は家で瑠璃が作ってくれる料理はぐんと上手になっていた。  成績だけでなく、スポーツもできて女子に評判で、それに料理もできてって、どんな完璧超人だよ。 「俺、二年後に元に戻った時、瑠璃みたいにかっこいい男子になれる自信ないよ……」  つい自分のことを考えてしまう。瑠璃がうまくやれていることを素直に喜べばいいのに、と口にした直後に後悔してしまった。 「大丈夫だよ」  そう言うと、瑠璃は俺をそっと抱き寄せる。妹を優しく扱う兄の手つき。俺が『俺』だった時は、照れくさくてあまり『光莉』にしてやれなかったこと。 「みっくんは普通にしていれば、それだけで優しいかっこいい男の子なんだから」 「そうかなぁ……」  励ましてもらうけど、気休めじゃないかな。 「それに……わたしの思考錯誤の記憶もこの身体には残るんだから、それを参考にすればいいんじゃない?」 「瑠璃におんぶにだっこみたいでやだなー」  評判を良くしてもらって、そのノウハウまで教わるようなものじゃないか。  ただ、『光莉』の身体は『お兄ちゃん』に抱っこしてもらうのがうれしいのか、沈んでいた気持ちは次第に上向きになってきた。  抱っこをやめて少し離れると、瑠璃は天井を見上げながら口にした。 「それに、かっこいいなんて言っても、男子の間じゃわたしちょっとからかわれてるし」 「い、いじめ?」 「とは違うと思うよ」  なぜか少しためらってから、瑠璃は言う。 「エッチな話、男子は好きでしょ? でもわたし、そういうのが全然わかんなくて」  あ。 「ごめんな。俺がそっちの方の記憶を全部読めなくしたから……」 「いいよ。わたし、本当は女の子だもの。別に知りたくないし」  瑠璃に嘘やごまかしの様子はない。 「それに、男子の話に付き合ってるうちに何となくはわかってきたし。もう少ししたらからかいも収まると思う」  瑠璃の言っていることは少し矛盾してる気がした。でも、立場を逆にすれば俺にも言えることか。男だから女子特有の知識なんて欲しくないけど、今は女子として暮らす中でその知識が必要だし場合によっては求めてしまう。  けど、大丈夫そうだとほっとすると同時に、俺は少しだけ嫌だなとも感じてしまう。  あの清楚でおとなしくて、賢いけど控えめな女の子の瑠璃が、男子の輪の中でエロ話に付き合わされる。からかわれずに済むように、時には自分からエロ話を切り出したりなんてことも、これからはあるかもしれない。  きれいな存在が汚れてしまう気がした。  今さら、ではある。入れ替わり初日に、瑠璃をいきなり手コキしたのは俺だ。あの時、女の子の瑠璃に男の射精という快感を教えて汚したのは俺だった。それからも、こうして性欲を処理してあげて、毎朝毎晩のように俺は瑠璃を男に近づけている。  ならこれは、俺の独占欲なんだろうか。  そもそも瑠璃が『俺』になったのは、俺が瑠璃や光莉の願いを叶えてと気楽に願ってしまったからでもあって……。 「みっくん、今さらどうにもならないこと考えちゃってない?」  話を聞いて考え込んでしまっていると、瑠璃にほっぺをちょんとつつかれた。 「わたしも自分が男の子になるなんて思ってなかったし、この前もちょっと話したように別に男の子になりたかったわけじゃないけど。なっちゃったものはなっちゃったんだし、戻れるのは再来年の四月なんだから、今はできるだけ楽しもうとしてるってこと」  俺は男だ。そしてナルシストでもない。  それでも俺を気遣ってか男になった今の自分の暮らしを肯定してくれる瑠璃の笑顔は、『俺』のものなのに『瑠璃』の時と同じように優しくて。  俺は胸の奥が温かく満たされていくような気分になれた。 「男子の体育って小学校の時の休み時間を思い出す感じで面白いし、男子のエッチな話も他の話もすぐ近くにあった知らない世界を覗くみたいで珍しいしね」 「そう、だな。俺も、清美ちゃんたちと一緒にいると、去年と同じ教室にいるのに全然違うところにいる気がする」 「こんなこと、異性になったわたしたち二人しか経験できないよね。光莉ちゃんは光莉ちゃんで、東京で楽しんでるんだろうけど」  今の自分だけでなく、今の俺をも支えてくれるような言葉。それでいて光莉についてもフォローするように付け足すところが瑠璃らしい。  俺は今度は自分から、瑠璃にもたれるように抱きついた。 「かっこいいなあ……お兄ちゃん」 -------------------- 13【可愛い妹】 「それより、『光莉ちゃん』こそうちのクラスとかで評判だよ?」  湯船の中で、会話は続く。 「え?」 「新入生に可愛い子がいるって。うちの妹って言ったら、清彦くんや敏明くんが紹介してくれだって。みっくんが良ければセッティングするけど、どう?」 「無理無理無理!!」  俺は首をぶんぶん横に振る。  なんで三月までバカ話やエロ話をしてたあいつらに可愛い後輩女子扱いされなきゃいけないんだ。そりゃ今の俺は可愛いとは思うけど、それは『光莉』が可愛いんであって。 「だよね」  俺の気持ちはわかっていると言わんばかりに瑠璃が肯く。すっかり瑠璃に見透かされているようで、ちょっと悔しい。 「でも、今のみっくん本当に可愛いよ?」  瑠璃に面と向かってそう言われると、ちょっとドキッとしてしまう。 「か、からかうなよ……『光莉』が可愛いだけじゃん」 「そうじゃなくて」  瑠璃は、どう説明するかちょっと思案するように、あごに軽くこぶしを添える。瑠璃本人の癖だけど、『俺』の身体でやっても意外と様になっていた。 「事情を知ってるわたしにしかわからないことだけど、光莉ちゃんの身体でみっくんががんばってる姿が可愛いなあって。そしてもしかしたら、周りの男子もそういうところを少しは感じ取ってるのかも」  俺は本当は男なのに……。  いや、男なのに女の身体だから可愛いと、そういう話を瑠璃はしているのか。何かちょっと上級者過ぎないか? けど、俺も今の瑠璃のことは、女なのに男の身体なのが不思議な魅力があるような気も……。いやいや、どこかおかしいぞ、この考え方。深く考えないようにしよう。  でも。 「可愛い、かあ」  瑠璃や光莉や他の女子が可愛いとは、男だった時にいつも思っていたけれど。自分がそう思われたり言われたりするのは、改めて意識すると不思議だなあと思う。  そして、自分があんまり拒絶感を覚えないことも。『光莉』として暮らしているうちに、その辺の感覚がかなり変わってしまっているのかもしれない。  ただ……その先については、あんまり変わってないのかなと自分で自分に安心するところもある。  今、瑠璃に清彦や敏明に紹介すると言われた時、あいつらにそういう目で見られるのは嫌だとすんなり思ったし、自分があいつらを全然そういう目で見ていないことにも気づいた。  俺が好きなのは、今でも瑠璃だ。『俺』の身体になっていようと、俺が『光莉』になっていようと。  こんなこと、本人には言えないけれど。  少しばかり話の方向を変えたくて、俺は口を開いた。 「それで、お兄ちゃんはあたしのことどう思ってるの?」 「え、そりゃもちろん、自慢の可愛い妹だよ」  口調を『光莉』にして訊いてみると、『俺』っぽい口調ですごくストレートな褒め言葉が返ってきた。  まっすぐ過ぎて、顔が熱くなる。赤くなっちゃってるかも、瑠璃にわかっちゃってるかも、と考えるとそれがさらに加熱させる。  これは、どういう理屈なんだろう。好きな瑠璃に言われてるから? 『妹』の身体が『兄』の褒め言葉に反応してるから? 「えっと……みっくん?」  戸惑うような、気遣うような、瑠璃の言葉。これ、絶対顔色の変化まで読み取られてるやつだ。 「そ、そろそろ抜くぞ」  大きな音を立てて、風呂から出た。  瑠璃を椅子に座らせて、後ろからそのチンポに手を伸ばす。  瑠璃はお兄ちゃんじゃないし、俺は可愛い妹じゃない。俺は瑠璃が好きな男子で、瑠璃は本当は女の子で、でも今は事情があって身体がおかしな入れ替わりになっているから、こうして俺は女の子のちっちゃな手で瑠璃のチンポをしごいている。頭までおかしくなりそうな状態だけど、これこそが俺たちが兄妹じゃない何よりの証拠。  だが、瑠璃の勃起は今夜は妙にでかかった。 「ど、どうしたんだよ、これ……」 「さ、さっき、みっくんが顔を赤くしているのが何かいつもより可愛く見えて……そのせいかも」  妹萌えってやつか?  そんな軽口は叩けなかった。これ以上、瑠璃に『光莉』を意識させてしまいたくないと思って、俺は今回もそそくさと瑠璃を射精させようとした。  なのにおかしなことを色々と考えてしまう。  瑠璃のチンポがでかくなったってことは、俺を意識したってことで。それってつまり、瑠璃が俺に異性としての魅力を感じたってことで。うれしいと思う反面、男の瑠璃に女として魅力を感じさせるってどうよとも思う。  と同時に、『妹』として『兄』にそんな目で見られたことにも複雑な気持ちになる。ちょっとだけ気持ち悪いと感じつつ、やったという感覚も湧いてくる。ただこれもやっぱり、瑠璃と俺だからであって、光莉が俺にそんな目で見られたと知ったら気持ち悪さ十割になるだろうな……いや、一分、いや一厘くらいはもしかしたら?  こんな入り組んだあれこれを考えてしまうのも、瑠璃と俺が兄妹になってしまっているからなんだよな。俺が『光莉』じゃなくてまた別の女子になってたら、今頃は……って、そしたらこんな風に一緒に風呂に入ることもそのたびに手コキすることもありえないし、そもそも入れ替わりなんてなければ俺と瑠璃は普通に男女として……って、こんなことにでもならなければ俺と瑠璃は距離を置いたまま離れ離れになっていたわけで……。 「あ……んっ!」  わけわからないことを考えているうちに、瑠璃のチンポから熱い精液が飛び出て、いくらかはドロドロと俺の手まで垂れてくる。 「ほら、洗うぞ」 「やっ、みっくん、射精した後は敏感になっちゃうんだから優しくしてよぉ」  瑠璃が可愛くしゃべる。でも『俺』の声だし、しゃべってる内容は、中二女子が本来知るはずのないような知識。  ……早く元に戻りたいと、改めて思った。


More Creators