SamuZai
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尿水聖水マイソロジー~尿意が世界を救う~

202X年、4月14日。 いくつもの問題を孕んではいても、それでもある程度は平和に暮らしていた地球の人々。 仲良しこよしではなくとも、少なくとも全面戦争などはここしばらく起きていない薄氷の平和。 その平和が、突如として破壊されようとしていた。 『NASAの発表によりますと、地球に向かって光速の99%で接近してくる物体が……』 24時間365日に渡って宇宙を研究しているアメリカの機関、NASAことアメリカ航空宇宙局が恐るべき事実を公表したのだ。 光速の99%で地球に落着しようとしている物体。その質量は推定でしかないものの、少なくとも大気圏で燃え尽きるようなレベルではないという。 落着時点でどれほどの質量が燃え尽きずに残っているかは不明だが、確かなことがひとつ。 光速の99%もの超速度で飛翔する物体が地上に落着すれば、その着弾地点に恐るべき被害が発生するということだ。 物体の材質などによって多少の変動はあるものの、物体が衝突した際の破壊力はおおむね質量と速度に比例する。 速度が極端に高い場合、質量がそれほどでなくともその威力はとてつもないものとなるのだ。 ことに今回は光速の99%という、質量ある物体が発揮し得る最大級の超高速である。予想し得る破壊の規模となると、それこそ数百キロにも及ぶ巨大なクレーターが発生しかねない。 少なくともそれが着弾した国にとてつもない被害をもたらすのだ。それはグローバルな現代社会において到底看過できない問題である。 国同士で輸出入し合い、相互に利益を得るのが現代の原則である。どこかの国が壊滅的な損害を被れば、そこと交流のある他の国にまで被害が及ぶことになるのは避けられない。 事は急を要する。NASAと米軍は迫る隕石を破壊すべく、デブリ破壊用衛星によるレーザー攻撃を試みた。しかし…… 光速の99%、というのは秒速3㎞という高速で飛行するスペースデブリと比較してもあまりに規格外。なにしろ光というのは秒速30万㎞にも及ぶため、単純に考えて通常デブリの10万倍近くも速いのだ。 デブリ破壊用衛星の照準システムというのはあくまで平均的なデブリを対象としたものであるため、ここまで速いものを捉えることなどできようもなかった。 また仮に命中させることができたとして、まだ発展途上にあるレーザー兵器で地球に落着するほど大質量の物体を破壊するのは難しいだろう。 ともかく米軍およびNASAによる迎撃は失敗。もはや地上への落着は避け得ないと、中継を見ている誰もが絶望した……その時だった。 「どうやら……少々本気を、出さねばならぬようだ」 中継衛星から送られるリアルタイム映像。それを見ている誰もが、驚愕した。 迫りくる大隕石。進路上にあるすべてをプラズマ化し、超高熱を纏い爆進するその前に、全身を金色に輝かす白髭の荘厳な老人が立ちはだかったのだから。 すべてがおかしすぎるその光景。宇宙服も着ずに宇宙で活動するこの老人。途轍もない破壊力の隕石を前に、たじろぐこともなく悠々と立ちはだかる老人。そもそも誰なのかさえ不明な老人が、秒速29万㎞で突進する隕石を両手で受け止め…… 「カァァァーーーーー!!!!!」 全長数㎞にも及ぶ隕石を、生身で破壊してのけたのだ。 何が何だか理解できずにいる地球人類。スマホの、パソコンの、テレビの前で固まる人間たちに、その心に、どこからともなく語り掛けてくる声が聴こえてきた。 その声を聴いた人間たちは直感した。この声の主が誰で、何者であるのかを。 『人の子よ……聴こえるか。恐れていた事態が起きてしまった。異界の邪神による侵攻が始まってしまったのだ』 『奴らは地球人類への攻撃として、無数の隕石を繰り出すだろう。しかしそれを破壊し、侵攻を防ぐための力は今使い果たしてしまった……』 『故にお主たちに頼みたい。我が力の源で、聖水で我が盃を満たすのだ。さすれば我が力は蘇り、それに応じた神力を発揮できるであろう』 この声の主。それはたった今しがた隕石を破壊した老人であり、それは恐らく……いや、確実に人間ではない。 人と似た姿をしていながら人間ではないもの。超常的な力を発揮するもの。それはすなわち、神と呼ばれるもの。 その力の源を、然るべき場所に補充すること。それが人類の役目であり、その身を護る唯一の手段であるのだ。 『人の子よ、地球の命運は……青き星に生きる全ての者の命運はお主らの手に委ねられた。お主たちに覚悟あるならば、共に戦おう』 『我が名は尿神ユリネウス。人の子らよ、また会おう』 ________________ かくして地球人類と尿神ユリネウス対異界の邪神との戦いが始まった。 人間たちの心に響いてきた声、ユリネウスの声が伝えた通りその後も何度か隕石は地球に接近してきており、その質量は回を追うごとに増大していった。 その度に人間たちは「ユリネウスの盃」に彼の言う通りのものを集め、それを迎撃するための力を彼に預けていた。 その甲斐あって地球に迫る隕石は一度も落着することなく、都度3回に及ぶ地球侵攻はすべて退けられていた。しかし…… あと何回あるのかわからない地球侵攻の回数に加え、どんどん大きくなっていく隕石のサイズ。それは地球人類を恐怖させていた。 始めは数kmだったものが次は十数㎞、その次は数十、今回は百数十㎞に及ぶ巨大隕石となっていた。 光速の99%で迫りくる巨大隕石。そんなものが地球に到達すればどれほどの被害をもたらすだろうか。 また人類を悩ませるのはそれだけではない。我らが地球人の味方であるユリネウス。その力の源にも問題があったのだ。 今回も隕石を防ぐことができた地球人とユリネウス。この勝利の報せに対し、どことなく沈んだ雰囲気の地域があった。 それは四方を海に囲まれた国の、とある都市の人々。 商業施設と住宅ひしめくその街に、異彩を放つ建造物がひとつ。 優勝カップか何かを思わせる金色の容れ物に豪奢な装飾のそれは、おおよそ人の家くらいに大きなサイズをしていた。 ご丁寧に上まで登るための階段と、その外周をぐるりと囲うように設けられた足場が特徴的な「盃」 他でもない。ここにあるものこそがユリネウスの力の源、ユリネウスの盃だった。 「ねえ、また勝ったみたいだよ、ユリネウス」 「みたいねー……はあ、また我慢しなくちゃいけないのかぁ」 「まあ死ぬよりマシでしょ?しんどいけど」 盃を見ながら、物憂げに会話を交わす若い女性ふたり。彼女たちこそが「ユリネウスの盃」を満たし、地球を救った功労者の一人であるのだ。 ユリネウスの盃を聖水で満たすため、これが近くにある人々にはある情報が与えられていた。 次の隕石があと何日でやって来るのか。襲撃の周期の予想である。 ユリネウス曰く巨大な隕石をあれだけの高速度で打ち出すためには相応のエネルギーを要するため、次にエネルギーが溜まるまでの期間をある程度予測することができるというのだ。 その予測に従い、それまでに盃を聖水で満たす。それがこの地域に住まう人々の役目であるのだ。 しかしこの役目こそ、彼女たちを憂鬱にさせている原因であり…… 謎に包まれた「ユリネウスの盃」の中身。それの持つ性質が彼女たちを悩ませているのである。 【VS数百メートル級隕石】 前回の襲撃から一週間。次なる襲撃の期日を迎えた盃のある街では、異様な光景が広がっていた。 「ねえ終わったんなら早く降りてよ!!!!こっちはもう限界なんだからあっ!!!」 盃の前に立ち並ぶ人、人、人。数千人近くはいるだろう人々が皆、落ち着きのない様子で列に並んでいる。 人目も憚らず腰を左右に振り、もどかしげに太ももをさすり、人によってはそのままぎゅうと前を押さえつける。あからさまな尿意限界の有様を、この場にいる全ての人間が晒しているのだ。 しかもこの場にいるのは全員が若い女性であり、見る限り10代半ばから20代までという年齢層で構成されていた。 だが何よりも異様なのはその列の先……盃の上に上った女性たちのとっている行動である。 ぐるりと外周を囲う足場にびっしりと並ぶ女性たち。10人前後で盃を囲う女性たちは、配置に着くなり下着を降ろし…… 「ああ、やっとぉっ……!」 なんと盃に向かって、盛大に放尿を始めたのだ。 家くらいはある盃に向けて、どれだけ我慢していたのか全員が凄まじい勢いで黄金色の聖水を放っていく。 放たれたそれは徐々に底へ溜まっていき、溜まったそれは新しく注がれる小便とぶつかってじょぼじょぼと音を立てていた。 これこそ女性たちが憂鬱だった理由にして、謎に包まれたユリネウスの力の源の正体である。 ユリネウスの力の根源。それは若い女性の小水なのだ。 その小水で盃を満たすこと。そのサポートをすること。それこそが人類に託された役割なのである。 かくて数千に及ぶ女性たちのがんばりで盃は満たされ、今回も隕石は破壊された。 しかし戦いはこれで終わらない。次に現れた盃はこれまでよりもさらに大きくなっており、そのサイズはおおよそ学校に設置されているプール相当。それを満たすだけの水量となると数十万リットルという、人間の小水で満たすには多すぎる量となる。 次回はより多くの人を集めてかからねばならず、女性たちの負担も余儀ないだろう。 不安が皆を覆う中でも、ひとまず脅威は退けられた。次なる脅威への備えは今回の功労者である女性たちが休んでいる間に男たちが執り行うのだ。 ______________ 【VS小型衛星級隕石】 前回から2週間が経過する頃、巨大化した盃の前には通りを埋め尽くす人だかりができていた。 その人だかりはやはり大半が若年女性であり、男性はその列を捌くための警備としてしか確認できない。 傍から見れば女性向けアイドルユニットのライブでもあるかのようだが、そうではない。 それは列に並ぶ女性たちの様子を見れば一目瞭然であろう。 「ねえっ!!!ねえ早くしてよおおおおおぉっ!!!!もう限界なんだからあっ!!!」 口々に尿意を叫ぶ何人もの女性、あるいは少女たち。全員が股間を押さえている有様は、ある種壮観でさえあった。 前回からさらに容積を増した「ユリネウスの盃」。推定50万リットルのそれを満たすため集められたその数、実に40万人。 このために国家政府は国連の要請を受けて新法を設立し、万全の態勢で支援を行っていた。 その新法とはすなわち、対象女性のトイレを監視する法律である。 ユリネウスが示した「聖水」を生成することができるのは10代~20代の若い女性のみ。よってこの聖杯を満たすことのできる人数には自ずと限りが産まれる。 またこの聖水が持つエネルギーは1日もすると霧散するとのことで、前もって盃に溜めておくこともできない。そのため作られたのがこの法律である。 この街そのものを一時的にユリネウス対策特区とし、簡素な住宅施設を提供。そこに周辺市町村で暮らす対象年齢の女性を集め、聖水を生成してもらうというのだ。 しかしまだあまりにも時間が無さすぎるため、作ることができた住宅の戸数は少ない。そこに収容できる人数と必要な容量を計算した結果導き出された一人あたりの「必要放尿量」を満たすため、その排泄には制限が設けられる運びとなったのだ。 もちろんこれは人権上大きな問題を孕むものではあるが、しかし眼前に迫るのは全人類規模の危機。もはや手段を選んではいられなかった。 ことに人権意識の拡大を進める国連からの要請でもあるため、政府としても断りようがなかったことは言うまでもない。 最終的に国連参加国すべてからの経済支援を受け、極東の島国が当面のユリネウス対策を担う運びとなった。 今回もまた百人からの女性が盃を囲み、半日以上我慢した小水を解き放つ。その様子は金色のウォーターショーとでも言うべきもので、見ている分には壮観な景色だったろう。 本人たちにとってどうかは別の問題であるが。 「……もうこんなの、これっきりにしてよぉ……」 _____________ 【VS大型衛星級隕石】 前回襲撃を防いだ直後、地球人類の脳に恐るべき映像が送られてきた。 そこには木星の重力圏を外れて飛んでいくひとつの巨大衛星の姿…… 次なる攻撃の「弾」として装填された衛星、その名はエウロパ。月にも匹敵する巨体を誇る、木製の衛星の中でも指折りに大質量の衛星である。 不可思議に溢れる宇宙においても、あまりに想定外の行動。既存物理学の常識を超えて、勝手に木星レベルの重力を振り切って離れていくその姿は、次なる脅威をありありと指し示していた。 こんなものがぶつかれば、その破壊規模は考えるまでもない。 かつて数億数十億年前に起きたとされる、地球と比べて巨大な衛星「月」を形作った大事件。ジャイアントインパクトの再来。 衝突によって破砕された地球表面は岩盤ごとめくれ上がり、地球上にあまねく全ての生命は岩の下敷きになるか、降り注ぐマグマに焼き尽くされて死に絶えるだろう。 吹き上がった粉じんは数百数千年に渡って太陽光を遮り、暗黒の空からとどろく雷鳴が砕け散った地上を虚しく照らす地獄。それが目前に迫っている。 あるいはこれほど大質量の物体が光速の99%で射出されれば、その射線上にある他の惑星や……それこそ太陽でさえも無事でいられるかは保証しかねる。それほどの破壊的事態が迫っているのだ。 それに抗うためには、ユリネウスのもたらした盃を満たす他ない。今までと比べても格段に巨大なこの盃を。 おおよそ体育館なみの大きさになったこの盃を、若い女性の小水で。 「おっ……おね、おねが、おといれ……!おといれ、いかせて……!おねがいだから……!!おなか、はれつしちゃうぅ……!!」 人類史上最大の危機を前に、国家も世界も垣根を超えて結集する。 ……しかしやはり、期間が足りない。1日でこの器を満たすために必要なのはまず場所だ。 これだけの容積を満たそうと思うとそのためにはたくさんの対象の協力が必要となるが、しかしそれを捌くための時間は限られている。 例えばこの為に全世界から数億の若年女性を集めたとして、それだけの人数をどうやって体育館程度の盃に収容するのだろうか。 一度にできる人数には限りがあり、そこに殺到する人波を整理するのもやはり一筋縄ではいかない。人が多ければいいというものでもないのだ。 そのため今後もこの盃周辺に作り上げたこのためだけの集合住宅群を維持、および拡張することで現状に対応していくこととなった。 国連の支援を受け、前回の3倍規模になったユリネウス対策特区。そこに収容された女性たちの人数、およそ120万人。 しかしこれだけの人数を以てしてなお、今回の要求量は多すぎた。 前回と比較しても軽く6倍以上の要求量を満たすには、普通にしていては足りなすぎる。 それゆえ国家は苦渋の決断をせざるを得なかった。ここで暮らす女性たちに言い渡す我慢期間。これまでは長くとも半日程度だったそれを、大幅に増やすしかなかった。 数で補うことができない以上、質で補うしかない。すなわち一人あたりの我慢する量を増やすことで対処するしかないのだ。 そしてやってきた襲撃の日。盃前に集められた女性の数120万。その我慢期間、48時間超。 2日以上もの間尿意を耐え続けてきた女性たちの、解放の時。 「っっっあああああああぁ!!!!!はやグ!!!はやぐおぢっご!!!おしっこ!させてええええぇっ!!!!!」 日付が変わると同時、列の先頭に並ぶ女性たち100人が機動隊を突き飛ばして盃に殺到する。 ブッシュウウウゥゥゥウウウウウウウウウッッッッッ!!!!!!! 刹那、壮絶な放尿音が響き渡る。120万の人混みの中、尿意を叫ぶ声でひしめく中を切り裂いて響く少女たち100人からなるオシッコライブ。 機動隊の鼓膜を震わす壮絶な放尿音は、列に並ぶ女性たちの膀胱を切なく打ち貫いた。 もはや列もなにもあったものではない。暴徒化した女性たちが盃入り口に殺到する。 だが女性たちは知らない。知る余裕もない。これまで民間の警備員や、せいぜい地元の警官が捌く程度だったこの列になぜ「機動隊」がいるのかを。 米国より貸与された本物の自動小銃で武装した機動隊がなぜここにいるのかを、女性たちはこれから思い知ることになる。 ドガガガガガ!!!!! 「ひっ!!!?」 『申し訳ありませんが、列にお戻りください。列を乱すような行為はしないでください。どうかご協力をお願いいたします』 空に向けて放たれる本物の銃弾。耳をつんざく銃声が、女性たちに否が応でも恐怖を刻み込む。 もちろん本当に撃つつもりはない。だが上からは、あまりにも逸脱した行動をとる人がいた場合はやむなしとの命も受けている。 1人が暴走し、全員がそれに引きずられるようなことがあれば一大事だ。ここで仮に転倒でもして、ドミノのように連鎖的に倒れてしまえば…… 当人たちが怪我をするだけではない。もしも仮にその衝撃で大勢が失禁でもしようものなら、世界が破滅することになる。 それが恐怖で抑えつけることであろうと、個人の権利と世界の命運。簡単ではない苦悩の果てに決定された事項であるのだ。 恐らく世界が救われたなら、今のこの国の警察組織や政治のトップの首は総取り換えとなるだろう。それほどの重大事項なのだ。 ともかくこの威嚇射撃によって暴動はなんとか鎮圧され、ユリネウスの盃は薄黄色の聖水で満たされ世界の命運は今回も繋がるのだった。 _____________ 【VS亜光速サターン】 ついに恐れていた事態が起きてしまった。 前回は全力を発揮したユリネウスが発射前に破砕して事なきを得たエウロパ射出。しかし今回はそれをさらに大きく上回る脅威が産声を上げる。 太陽系第6惑星、土星。半径にして地球の9倍、質量にして95倍の巨大惑星である。 大半がガスで形成されているこの惑星だが、個体としての核も存在している。もしも仮に地球とこの惑星が衝突することがあれば…… 地球より遥かに大きな質量による重力に引き込まれ、地球は土星の一部となって消滅してしまうだろう。 あるいは亜光速で接近するその巨体は大きなプラズマ球となり、呑み込むまでもなく地球を消し飛ばしてしまうかもしれないが。 近づくだけで、その射線上にただ有るだけですべてを破壊しうる巨大な「弾丸」。そのもたらす影響はもはや地球規模にはとどまらず、太陽系全域レベルの危機といって差し支えない。 この大きな脅威に抗うべく突き付けられた人類への課題。それは過去最大のもので…… 『こちら上空からの中継です。ご覧いただけますでしょうか。空から見えますこの大きな盃、ぱっと見た感じでは外周部分が東京ドーム並で高さも……かなりありますね。10メートルくらいはあるでしょうか。かなり大きいです』 現れた次なる盃。そのサイズは東京ドームに匹敵し、その容積たるや……12億。 12億リットルもの小水でなければこれを満たしえない。単純に見て、1億人の女性を集めたとしても一人あたり12リットルも我慢してもらわなければならないのだ。 かかる事態に際し、とうとう国連はふたつの決定を下した。 この国と国交がある全ての国から、若い女性を派遣すべきと。そしてもうひとつ…… 最悪の事態を想定して生産していた「あるもの」の使用を解禁すると。 そしてその決定から一週間。前回襲撃から1ヶ月が過ぎ、とうとうその時がやって来た。 この日、東京は地獄となった。 「おねがいしますっっ!!!おねがいしますおねがいしますオネガイジマズウウウウウウッッッ!!!!!おしっこ!!おしっこさせてぇぇぇっっ!!!!おしっこしたいよおおおおおおおお!!!!」 「Pleaaaaaaaaaaase!!!!!!PISS!!PISS!!!PIIIIIISSSSSSSSS!!!!!」 「我想上厕所!!!!!!我想尿!!!!尿!!!!!」 国籍を問わず集められた女性たちによる大合唱。人体の限界を超えて溜め込まれた尿のもたらす苦痛に泣きわめく女性たちの、悲痛なおしっこ乞い。 その女性たちはみな下着を脱ぎ、露になった股間からあるものを引き抜こうとしていた。 それは薄ピンクの割れ目上部に位置する穴から生えた、紺色をした小さなプラグの持ち手。 紛れもなくこのプラグこそ、尿道に深々刺さるこれこそが国連の作り出した最終兵器であるのだ。 今回の攻撃以前、国家の首脳陣にユリネウスよりひとつの情報がもたらされた。 人間たちの頑張りによって彼の力はかなり戻ってきており、もうすぐ完全に復活する。 それに先駆けて、蘇ってきた力で女性たちにひとつの加護を与えた。 それは彼女たちの膀胱に与えた加護。どれだけ尿意を我慢しようと、それによって破裂してしまうことが決してないようにと神から施された加護である。 それにより女性たちの身体的影響を無視できるようになり、結果として1人10リットル超という無茶苦茶な我慢をも可能とした。 このプラグはそのために開発されたのだ。すなわち女性たちの尿道を塞ぎ、決して排泄できないようにする。 逆らえばその人のプラグが決して抜けないように設定を変えることもできるため、その存在自体が治安維持のための脅しとして成立するのだ。すなわち「オシッコがしたいのなら大人しく列に並べ」ということである。 AIおよびインターネット技術が発展した現代ならではの排泄管理と言え、膀胱内で傘のように広がることでどれだけ内圧が高まろうとも吸盤のごとく外壁に吸い付いたそれを外すためには、G7首脳全員の承認が必要となる。 そしてその端末は彼女らを見張る機動隊や米軍、および今回の戦いに参加した国すべての治安維持組織に委ねられている。 そのロックは彼女たちが順番を待ち終えて、足場に並んだ時初めて解除されるのだ。 そして今、今回選ばれた1億人が全員外周と……その上10階に及ぶ増設された足場に並び終えた。今こそ全員が尿意を解放する時である。 ブッシャアアアアアアアアアアアァァァァァーーーーーー!!!!!!!! 「んぎひぃぃぃぃぃいぃぃぃ!!!!?」 「AH……!!AAAAHHHHHHHHHHH~~~~~~……!!」 「快楽……!放尿快楽也……!!!」 上空100メートルから彼女たちの様子を見守る兵隊たち。そのプロペラがもたらす轟音をも貫いて、少女たちの盛大な噴射音は大空に響き渡った。 真っすぐ、真っすぐ伸び行く1億の長大な尿線。それはひとりひとりが10数メートルもの長い距離を飛ばし、ショーの演出であるかのように盛大な光景を演出する。 1フロアごと1000万人が並ぶ足場。それが10フロアで1億。 1000万が10段重ねになった壮大な水芸が、大きな器を金色の聖水で満たしていく。 音で、視界で、華やかに演出される1億人の一斉放尿ショー。それは彼女らの膀胱が空になる5分後まで繰り広げられ…… それと引き換えに満杯となった盃が、きっと事態を打破してくれると信じて女性たちはその場にくずおれた。 長い我慢による疲労とそこからの解放がもたらすエクスタシーでぐったりとする1億人を、機動隊らはひとりひとり丁寧に運び出していくのだった。 _______________ 【死闘 終結】 1億の女性たちが巨大な器をオシッコで満たした時、宇宙にいたユリネウスのもとに壮絶な神力が送り届けられた。 1億の若い女性が積み重ねた尿意、放出した全精力が尿神に力を与え…… その身は眩く金色の輝きを放ちだした。その輝きは人間ほどの身体から放たれるものとは思えず、今まさに放たれようとしている惑星をも凌駕して大きく大きく広がっていく。 否、これはただの輝きではない。この黄金色の輝きは、超巨大な輝く神の身体であるのだ。 『ついに……戻ったか。我が真力よ。……今こそ、暗雲振り払う時ぞ!』 『とくと刻むがよい!我が名は黄金の神、黄金神ユリネウスなり!!』 太陽と並ぶほど大きくなったユリネウスの身体はあっさりと土星を包み込み、金の光と共に元の公転軌道に戻していった。 そして彼は溢れるその力を以て、太陽系に加護をかける。 異界の邪神が攻め込んでこないよう、その力すべてをかけて。 『……これでしばらくは持ち堪えよう。異界の邪神がどれほどの力を持つかわからぬが、もしもまた危機迫ることあれば、共に戦おう』 『叶うならもう二度とこのようなことがないよう願うが、もしもまた危険が迫ったならば我を呼ぶがよい。我が名は尿神ユリネウス……人の尿ある限り、我はお主らの味方となろう』 かくして太陽系に、ひとときの平和が訪れた。 その平和がいつまで続くかはわからない。千年続くか、百年続くか、あるいはそれよりもっと短いかもしれない。 だがそれでも、その時はまた抗うことができる。人類が出会った神の力と、かかる脅威に際して団結した人間の力があれば。 曲がりなりにも今回、人間たちはしがらみを超えて協力することができた。この経験は決して無駄にはならないだろう。 「…………また攻めてきたら、私らががんばんなきゃいけないのかなぁ……」 「No problem! We're okay no matter!!」 「让我们一起尽力而为吧……」 「何言ってんのかわかんないけど……うん、そうだよね!みんな一緒だもんね!」 「みんなで力を合わせれば、きっとなんとかなるよね!」 国同士、人同士、曲がりなりにも手を取り合うことができた。きっとこれこそが、困難に立ち向かう最高の力なのだ。


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