内容:挿絵入り本編+登場人物プロフィール
【本編】
はじまりは、ある裏アカウントの投稿だった。
『男と戦って押さえ込んでみたい。必死に抵抗してるのに全然敵わなくて悔し泣きするところを眺めてたい。想像するだけで興奮する。』
投稿したのは『さき』というフォロワー数600人ほどの裏垢女子のアカウント。
それを、引用する形で拡散したのがフォロワー数3万人超えの裏垢男子『ときヤ』だった。
『ときヤ』―本名、時安涼雅はS系裏垢男子として活動している。
女性と一夜を共にし、Sっ気満載の攻めでM女性を満足させる。
実際の行為の動画を有料サイトに公開したり、男性向けに裏垢で女性と出会う方法をまとめた情報商材を販売して生計を立てている。
ちなみに実質の収入は平均して月に20万前後。
裏垢男子としては稼げている部類だし、生活もできるが、贅沢はできないし貯蓄も十分には作れないなかなか厳しい状況。
それでも、女性とのワンナイトで稼げるなんて夢のような日々を手放すなんてあり得ない。
生活がギリギリでも裏垢男子専業を貫いていた。
しかし、そうは言っても飽きは来てしまう。
贅沢な悩みと言われればそれまでだが、いつものSM、テンプレのような言葉責め、代わり映えのしないアフターケア...。
もはや仕事となり、ルーティン化しつつある裏垢男子としての日々に少しばかり退屈していた。
そんな時、たまたまSNSに流れてきたのが『さき』の投稿だった。
『男と戦って押さえ込んでみたい。』
そんな『さき』の性的欲求は、今まで涼雅が相手にしていた女達とは真逆のS女の物だった。
(やば......萌えるわ...)
―男に勝てると思ってる強気なS女を男の力で分からせたい―
そんなS男としての衝動が心の底から湧き上がってくる。
気がついた時には、涼雅は『さき』の投稿にメッセージを添えて拡散していた。
『こういう強気な女の子、一番分からせたい。』
『さき』のプロフィール欄には、『格闘したい』『#ミックスファイト』『#キャットファイト』など書かれている。
涼雅が相手にしたことのない、かなりニッチな性癖を持つ女なのが分かる。
(あー、やっちゃったか??)
涼雅の経験からすると、ニッチな性癖の裏垢女子は、行き場のない欲求をSNSに求め、過度な注目は嫌う。
フォロワー3万人を超える涼雅による投稿の拡散は『さき』に警戒心を与えてしまったかも知れないと後悔したが、そんな心配をよそに、『さき』からすぐにDMが来た。
『なに?私と戦いたいの?』
それも、かなり乗り気だ。
(お、まじか!)
すぐにDMを返した。
『めっちゃ上から目線じゃんw さきちゃんが戦いたいって言ってるから拡散してあげたんだけど』
『別に拡散して欲しいなんて頼んでないですよ。で、戦いたいなら戦ってあげますけど?』
(なんだこいつ、なんかやけに腹立つ言い方してくるな。)
あくまで涼雅が戦いたがってるという前提で話を進めたがる『さき』。
マイナーな性癖ゆえに、素直に『戦ってほしい』と伝えるのが恥ずかしいのかもしれない。
(それもそうか)
格闘プレイなんて、経験人数1,000人超えの涼雅ですらしたことがない。そんなあまりにもマイナーな性癖を受け止めてくれる相手なんてなかなかいないだろう。
それが女なら尚更だ。
ほんの僅かなやりとりでも、このチャンスを逃したくないという意志を感じた。
『まあ、女の力じゃ、男の俺には敵わないことをその身をもって知ることになると思う。心の準備だけしてきといて。』
その後、場所をトークアプリに移し、実際に会う日時、集合場所を決めてお互いの顔写真を交換した。
(やば、興奮する...。)
男を押さえ込みたいと息巻く『さき』が自分の攻めでM堕ちする姿を想像し、かつて無い興奮に、涼雅は胸を躍らせた。
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ホテル「ゼニス・カシオペヤ」
そのスイートルームには、キングサイズのベッド2つを連結させた縦2m×横3.6mの巨大ベッドがある。
部屋の広さも52畳と、かなり広い。
戦うにはうってつけのラブホテルだ。
そして、経験人数1,000人超えの涼雅にとって、『さき』の望むプレイができそうな部屋を押さえるのはそう難しいことではなかった。
涼雅の目の前には、このスイートルームの真ん中で事務服を脱いでいる『さき』の姿があった。
(まじでかわいいな...)
裏垢活動は美人局や悪徳業者など、常に危険がつきまとう。
そのため、涼雅は必ずトークアプリに移動し、お互いの顔写真を交換するようにしている。
今の時代、自撮りを可愛く自然に加工できてしまうため、あらかじめ貰っていた顔写真と実物があまりにも違うなんて当たり前。
しかし、『さき』は写真通りの美女だった。
(こんな可愛い子が男の俺と戦うとか、まじか)
涼雅も服を脱ぎパンツ一丁になると、小型の三脚にスマホを固定し、ベッド全体が見えるように設置した。
「俺、裏垢男子やってんの知ってるよね?動画とって、SNSにあげてもいい?もちろん顔にはボカシ入れるから。」
それに対して『さき』は一瞬考えるような仕草。
「ん〜⋯⋯良いけど。でも、その代わり、もし私が勝ったら、その動画、私のアカウントで投稿してもいい?」
「え⋯?」
「だめ?」
「あ、いや、全然いいよ?」
とても格闘とは無縁に見える美女から「もし私が勝ったら」なんて条件を入れられたことに一瞬困惑する涼雅だが、受け入れた。
(まあ、そのぐらい強気な方がM堕ちさせ甲斐があるか)
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『さき』―本名、黒崎真緒。
普通に高校を卒業し、普通に短大を卒業し、普通に病院の医療事務として働いている。
そんな彼女には一つだけ、"普通"とはほんの少しズレた欲求があった。
それが格闘に対する性的な欲求だ。
小学校に上がった頃から、誰かと戦う妄想をしながら机の角に股間を擦り付けるのが気持ちよかった。
しかし、周りにそんなことをしている子はおらず、なんとなく他の人には秘密にしておかないといけないことなのだろうと思っていた。
そんな真緒は中学に上がり、初めての彼氏ができた。
彼氏とお家デートをした際に、勇気を出して口にしてみた。
「ねぇ⋯⋯取っ組み合い、してみない?」
その彼氏は苦笑いしつつも受け入れてくれた。
取っ組み合いは、真緒が彼氏を組み伏せる形で決着した。
男に勝った優越感と、長年抱えていた格闘に対する性的欲求が抑えられず、真緒は無理矢理彼氏の顔面に座り込むと自身の股間を押し付けて、オナニーをしてしまった。
取っ組み合いで彼女に負けて組み伏せられ、挙句の果てに顔面でオナニーをされてしまったことがよほどの屈辱だったのか、その日のうちに真緒は振られてしまった。
(これは、駄目なことなんだ⋯⋯)
"普通"になれるように、真緒は自らの欲求に蓋をした。
高校、短大では普通に勉強して、普通に男性と付き合って、普通にセックスをした。
味のなくなったガムを噛み続けるような日々だった⋯。
短大卒業を目前にしたある日、真緒は偶然とあるSNSアカウントを見つける。
(『ののか』⋯⋯踏み活⋯⋯?)
それはSNS上で知り合った男性と出会い、男性の顔を踏んで自身の欲求を満たす裏垢女子の物だった。
(こんなのがあるんだ。)
それが真緒が裏垢を作ったきっかけだった。
他の人に言うのがはばかられるような性癖を、裏垢でなら開示できる。
裏垢同士なら、出会ってプレイすることもできる。
そこからは自身の性癖をSNS上で吐露する日々が始まった。
それだけで心が軽くなった。
フォロワーは少しずつ増え600人までいった。
フォロワーが増えるごとに送られてくるDMも増えていった。
『もっと詳しくお話してみたいです。』
『僕と戦いませんか?お返事待ってます!』
『29歳、170cm/53kg 都内です。戦いたいです。』
みんな真緒との格闘プレイを希望していた。
(私も、戦いたい⋯⋯けど⋯)
欲求は抑えきれないほどあったが、やはり怖かった。
相手が集団だったり、話とは違う人が来たり、はたまた何かの宗教勧誘だったり、とにかく相手の素性があまり分からず、届いたDMを返すに返せなかった。
そんな時だった。『ときヤ』から引用されたのは。
(フォロワー3万!?しかも、色んな女の子の感想コメントがある。)
ある程度素性も割れていて裏垢男子としての実績もある『ときヤ』と戦うのは真緒にとって魅力的だった。
気がついたら『ときヤ』にDMを送っていた。
メッセージのやり取りからホテルの手配まで、『ときヤ』は全てがスムーズだった。
そして今、ホテルのスウィートルームで三脚を立て、スマホカメラをセッティングしている『ときヤ』を見ている。
(顔も良いし、良い体。私、この人に勝てるかな⋯?)
仕事として裏垢男子をやっている『ときヤ』の容姿は磨き抜かれていた。
程よく引き締まった男の体に緊張しつつも、だからこそ興奮した。
(もし鍛えた男性に勝てたら⋯⋯やば、興奮する⋯。)
「俺、裏垢男子やってんの知ってるよね?動画とって、SNSにあげてもいい?もちろん顔にはボカシ入れるから。」
それに対して真緒は一瞬考える。
(やっぱ、そうだよね。動画SNSに上がるんだ。)
「ん〜⋯⋯良いけど。でも、その代わり、もし私が勝ったら、その動画、私のアカウントで投稿してもいい?」
「え⋯?」
「だめ?」
「あ、いや、全然いいよ?」
今まで蓋をしていた性癖と遂に向き合うこととなり、真緒は緊張の面持ちで涼雅と向かい合った。
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いよいよ二人の戦いが始まった。
大きなベッドの上でお互いに下着姿のまま、膝立ちで向かい合う。
当然と言えば当然かも知れないが、まず主導権を握ったのは涼雅の方だった。
涼雅は真緒に組み付くと押し倒した。
「きゃっ!」
馬乗りになった状態で、真緒の頬を両方から挟むように片手で掴む。
「可愛い顔してんな〜。グチャグチャに泣かせてやりたくなるような。」
そんな涼雅をキッと睨みつけ、手足をバタつかせ脱出を試みる真緒。
「おお、おお、暴れてんじゃねぇよ」
それに対して、涼雅は余裕そうな表情で真緒の腹部に再度体重をかけて座る。
「あぐっ⋯⋯!」
苦しそうな表情を浮かべる真緒。
女が男にマウントポジションを取られてしまえば、女の真緒が抜け出すことはまず不可能。
「いきなり負けちゃってるけど?こっからどうやって俺の事押さえ込んでくれんの?」
涼雅はそのまま真緒の首を両手で掴み、絞めていくと真緒の顔がみるみるうちに紅潮していく。
「あっ⋯⋯かはっ⋯⋯」
体をくねらせて苦しそうな顔をする真緒に、涼雅はニヤリとイヤらしい笑みを浮かべる。
「良い顔してるじゃん。ねぇ、許してください『ときヤ』様って言えよ。」
格闘技経験など一切無い涼雅だが、これまで1,000人を超える女性とSMプレイを行っており、首絞めにおいては相手が失神しないギリギリの力加減をよく心得ている。
しかし、真緒も勝つ気でここに来ている。
反撃をしないわけがない。
真緒は腰をくねらせ、足をバタつかせながら体のポジションをズラすと、ボディシザースの要領で両脚で涼雅の横腹を挟み込んだ。
「ぐあっ⋯!(くそ、油断したっ⋯)」
柔らかく厚い皮下脂肪を纏った女の太ももの筋肉が、涼雅の腹部にめり込んでいく。
「あっ⋯⋯あぐぅ」
内臓を直接圧迫される苦しさに、自然と口の端から涎が溢れ出す。
しかし、涼雅も首絞めをやめない。
お互いの絞め技がぶつかり合う。
女に負ける訳にはいかない。
つい先ほどまでは真緒を虐める目的で、失神してしまわないように首絞めの力加減には気をつけていたが、こうなるとそんなことを気にしている余裕はない。
両手にグッと力を加え、真緒の首を更に強く絞める。
「っ⋯⋯!んぐっ」
いっそう苦しそうな顔をする真緒。
「っおいおい⋯⋯っ⋯もう、やばいんじゃないのか?」
焦りからか、真緒にギブアップを促そうとする涼雅。
しかし、真緒のボディシザースは威力を増す。
「⋯⋯っぐあああ!」
「ふっ⋯⋯んんっ!」
お互い全力の絞め合い。
そして、これを制したのは、真緒の方だった。
「⋯っっくっそぉ!」
太もも絞めに堪えきれなくなった涼雅は、首絞めを解くと真緒の太ももを掴んで腹の周りにゆとりを作ろうとする。
しかし、首絞めから解放された真緒の太ももの威力は更に増す!
両腕で涼雅の体を引き寄せ、顔面を自分の胸に埋める。
そして涼雅の腕の力では抑えきれない万力のような太もも絞めが、涼雅の腹部を強烈にプレスする。
「っ⋯!!!っ!!⋯っ!!!」
あまりに強い絞め上げに声すら出すことができない。
「ほらっ⋯⋯ほらぁっ!⋯っ苦しい、よね⋯ギブアップって言ったらっ⋯⋯優しく⋯⋯虐めてあげる⋯けどっ?」
無駄毛のないスベスベでムチムチとした女の太ももがジワジワと涼雅の腹筋を破壊していく。
「っ⋯⋯っ!!⋯っぐぶっ⋯⋯!っ⋯⋯」
もはや反撃は不可能。
(くそっ⋯⋯苦しいっ⋯⋯身動きも⋯取れないっ)
普段は女の体を押さえつけ、力と言葉で支配している涼雅。
しかし今、その女に体の自由を奪われ、苦しめられている。
これまで感じたことのない屈辱感。
それなのに不思議となぜかその屈辱感を不快に感じない自分に気づく。
それが何故なのかは分からない。
ただ、ここで真緒はボディシザースから涼雅を解放。
足の太ももで絞め上げる際に使う内転筋の限界が来たのだ。
男の腹筋を破壊してしまうほどの全力の太もも絞めは、体力消費が激しく、長時間続けることはかなり難しい。
しかし、真緒は足の筋肉が疲労してしまっているということを決して涼雅に悟らせない。
「⋯⋯っはぁ、はぁ、はぁ、はぁ⋯⋯もう、限界だったかな?⋯はぁ、はぁ、はぁ⋯⋯手加減してあげる。っほら、解放してあげたから仕掛けて来なさいよ。」
息を切らせながらも、体力的な問題ではなくあくまで手加減で解放したのだと、精神的にマウントを取る。
涼雅の潜在意識の中に、真緒に負けたという事実を強くすり込むためだ。
一方、涼雅の方は内臓を押し潰された苦しみでうずくまる。
(何が手加減だよ。クソッ⋯クソッ!⋯ああ、吐き気やべぇ。)
息切れと嗚咽が混ざった情けない声が漏れ出す。
「ほらっ、まだ始まったばっかりだよ?これで負けちゃう?」
「っはぁっ⋯⋯!っはぁっ⋯⋯!まだっ、こんなんで終わるわけねぇだろっ!」
涼雅は真緒をギロっと睨みつけると、苛立ちに任せ真緒に再び組み付く。しかし、最初に涼雅が真緒を押し倒した時とは違っていた。
「なっ⋯」
真緒は涼雅の頭を脇に抱え込むようにして、涼雅のタックルを完全に受けとめたのだ。
そのまま真緒は前側に倒れ込むと、うつ伏せ状態のフロントチョークで涼雅の首を絞め上げる。
「はぁ⋯はぁ⋯ほら、苦しいんじゃない?このままあたしに落とされちゃっていいの?」
真緒が小馬鹿にするように問いかける。
女を押さえつけ、その柔らかい体を舐め回し、時には目隠しや手錠を使って支配欲を満たしてきた。
しかし今、体を支配されてしまっているのは涼雅の方。
足をバタつかせ、首を絞めている真緒の腕に手をかけ、必死に脱出を試みるも、まるで抜け出すことができない。
「はあっ、はあっ、はあっ⋯はぁっ⋯⋯はぁ⋯⋯っ⋯はひゅぅ⋯⋯はひゅぅ⋯⋯⋯」
真緒は格闘家ではないため、フロントチョークの極りが甘い。
しかし、その分、程よく鍛えられた腕と柔らかい皮下脂肪が時間をかけてじわりじわりと涼雅の喉仏を潰していく。
(くそっ⋯苦しい⋯⋯)
時間経過とともに喉の痛みは強まり、同時に呼吸も浅くなっていく。
しかし、スリーパーホールドのように頸動脈が締まるわけではないため、意識を失うことはない。
ただひたすらに苦痛を味わい続ける。
苦痛から抜け出すには力づくでこの体勢から抜け出すしかないが、まだ先ほどのボディシザースのダメージが抜けきっていないためそれができない。
これまで味わったことのない屈辱感。
しかし、1,000人以上の女性経験の中でもかなり可愛い部類に入る美女に、その艶めかしい体を押し付けられれば、涼雅のアソコが反応しない訳が無い。
女に優位を取られているにも関わらず、涼雅のパンツはテントを張ってしまっていた。
(は?⋯⋯なんでだよ⋯⋯?俺は、コイツの喘ぐ所が、泣き叫ぶ所が見たかったのに。こんなの⋯⋯全然趣味じゃないのに⋯⋯)
涼雅の異変に気がついた真緒は僅かに口角を上げる。
「あら?もしかして気持ちよくなってきちゃった?惨めだね。力で負けて組み敷かれて⋯。男の力、見せてくれるんじゃなかったの?」
「⋯⋯っぎっ⋯!っかはっ!!」
何かしら声を発そうとしても、真緒の腕の筋肉が涼雅の声帯を潰している。
「ふふ。分かってる?私の許可無しに喋れるなんて無いんだよ?」
「⋯っ!⋯⋯!(やばいっ⋯呼吸がっ!)」
チョークを極められ約2分。一般的に息を止めていられる限界時間。
あまりの苦しさに体をバタつかせ、必死に抵抗する涼雅だが、ここまでのダメージと低酸素によるスタミナ切れで、真緒の体をビクとも動かせない。
「大丈夫?そんな力で。それで女の子をどうやって虐めるの?もしかして、今まで『ときヤ』くんに虐められてきた子達も、性癖の為にわざと負けてあげてただけで、本気で戦ったら貴方より強いんじゃない?」
「⋯っ⋯⋯⋯⋯っ⋯⋯⋯げはっ⋯」
ただでさえ、呼吸困難な状態で無理に体をバタつかせると急速に体力を消耗する。
涼雅はバタつかせることすらも難しくなり、徐々に意識が遠のいていく。
「⋯⋯⋯⋯」
そしてそのタイミングで真緒は涼雅を解放した。
「⋯⋯っっゲホッ!⋯っかはっゴホッ⋯ゲホッ!」
急に呼吸を許された反動で激しく咳き込む涼雅。
「はーい、よく頑張りました〜。ねぇ、もうどっちが強いか、勝負ついちゃってそうだけど、どうする?まだやる?」
「かはっ⋯⋯げほっ⋯⋯。やるに⋯決まってんだろっ⋯⋯!まだ⋯⋯負けてないっ⋯!」
「ふーん、頑張るね。じゃあ、これならどう?」
そう言って真緒は手四つを要求した。
ここで真正面での力勝負となる。
普通の力勝負なら男の涼雅の方に分があるはずだが、なんとここでも真緒が押す展開となる。
「⋯っ!⋯⋯っくっそ⋯っ⋯⋯⋯っ!」
「⋯っどうしたのっ?⋯はぁ、はぁ⋯⋯力比べだよっ?⋯⋯またっ⋯私に負けちゃう?」
手四つは腕の力を比べているように見えるが実際はそれたけではない。
相手に押し倒されないよう、姿勢を維持するための腹筋や腰の筋肉、地面に踏ん張るための下半身の筋肉、それら全ての力を比べている。
このベッド上での手四つ対決は、膝立ちで行っており、そもそも下半身の踏ん張りは効きづらい。
その上、太もも絞めによって涼雅の腹筋は疲弊し、チョークによる酸欠で姿勢を維持することが難しくなっていた。
姿勢を支える筋肉の多くが制限されてしまっている涼雅と、まだ十分に余力がある真緒。
いくら男女で戦っているとはいえ、この状況で勝つのは簡単ではない。
しかし、それをよく理解できていない涼雅は心理的に更に追い詰められていく。
(⋯⋯っなんで、こんなに強いんだよ⋯⋯!?⋯負けんのか、俺?⋯⋯力で、女に⋯⋯)
「はぁ⋯⋯はぁ⋯⋯はぁ、はぁ、はぁっ」
焦りで呼吸が荒くなる。
そんな涼雅を横目で見ながら、じっくりと力をかけ続ける真緒。
「はぁ、はぁっ⋯ねぇ、本当に私にっ⋯勝てない?」
「⋯⋯っるせぇなっ⋯⋯こっ⋯から、だろっ!」
真緒からの問いかけに言い返す涼雅。
しかし、今回のそれは先ほどまでの煽りとはまた異なる、純粋な疑問から来たものだった。
大人の男女が本気で戦って男に勝つのはまず不可能。
いくらS寄りの性癖を持っているとはいえ、それは覆しようのない事実。
そして、今戦っているのは虐めることが大好きで、自分が優位に立っていたい裏垢男子『ときヤ』だ。
性癖としても、そして彼自身の活動を考えても、ここでわざと負けるメリットが何一つ無い。
(まさか、本当に私に勝てないの?)
そう思った時、遂に涼雅の姿勢が立て直し不可能なところまで崩れる。
「っ⋯⋯っぁあああっ!」
なんと真緒はS男の涼雅に手四つ対決で勝利してしまったのだ。
「はぁ⋯⋯はぁ⋯⋯はぁ⋯⋯」
「はあっ、はあっ、げほっげほっ⋯はあっ、はあっ、はあっ」
力比べを終え、お互い息を切らしている状態。
その様子から、もう涼雅の限界が近いのが分かる。
しかし真緒はまだ物足りないのか、今度はのしかかった状態のまま、涼雅の頭を両腕で抱くようにして自分の胸を押し付けるブレストスムーザー。
「っ!?!!!?」
柔らかな胸が涼雅の顔面の凹凸に合わせて形を変え、ピッタリと隙間という隙間を埋めてしまう。
更に両脚で涼雅の腕ごと体を挟み込むことで、両腕の自由も奪ってしまう。
唯一自由なのは下半身。足で踏ん張り、必死に腰をあげてブリッジ気味にブレストスムーザーから抜け出そうとするが、もう真緒の体を押し返す力はない。
「大丈夫?そんなに股間突き上げて。もしかして私に勝てずに勃起しちゃってるところ、フォロワーさんたちに見てほしいの?」
一方の真緒は、相手を虐める快楽を楽しむように、頬を赤らめながら容赦なくグイグイと胸を押し付ける。
(アッ⋯⋯ヤバい。興奮する⋯⋯)
自分の力で男性の体を支配している快感が体中を駆け巡る。
「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ、あぁんっ!はあっはあっはあっ」
涼雅の体に擦り付けるように体を動かし、息を荒げていく真緒。
荒々しい雌の本能に突き動かされるままにブレストスムーザーをこれでもかと続ける。
そのうち呼吸ができず酸欠状態の涼雅の手足がビクンビクンと痙攣を始めた。
「はあっ、はあっ、はあっ、っどうしたの!?もう限界っ!?」
真緒の胸にやられ、反撃できなくなってしまった涼雅に問いただすが、痙攣するのみでそれ以上の反応がない。
「あっ⋯⋯」
涼雅の体の異変に気づき、ブレストスムーザーから涼雅を解放する真緒。
「ふがっ!?っぶ、っ⋯⋯っはぁ、っはぁ!っはぁ!っはぁ!」
意識を失いかけていた瞬間に胸から解放され、呼吸を荒げる涼雅。
「ねぇ、大丈夫?今おっぱいで意識飛んじゃって無かった??」
(⋯っくっそ⋯⋯なんでなんだよ⋯⋯俺、この女に勝てないのかよ⋯⋯)
「だんまり??沈黙は同意と同じだよ?負け、認める?」
「っ⋯⋯⋯!」
「はぁ⋯強がっちゃって。なら、これでどう?」
真緒は涼雅の首元に腕を回すと、スリーパーホールドの体勢。
「ほら、気持ちよくなってきたんじゃない?」
「うぐっ⋯」
涼雅はここまでの戦いのダメージが大きく、真緒のスリーパーホールドを振りほどくことができない。
ここで、真緒は無理矢理パンツを脱がせると足の指を開いて勃起した涼雅のムスコを器用に掴む。
「っあっ⋯ぐ」
「あら、こんなに大きくさせちゃって。そんなに女に負けるのがうれしいの?」
「あっ⋯⋯⋯ちがっ⋯んぐっ!?!」
口を開いた途端、真緒が涼雅の首を強く絞め上げる。
「え〜?いま"違う"って言おうとした?こんなに気持ち良さそうなのに、何が違うんだろ?」
そう良いながら足先を優しく上下に動かしていく。
「⋯⋯っ!⋯!⋯⋯っあぁっ⋯⋯っ⋯⋯!」
スリーパーホールドによる苦しみと、足コキによる快楽が涼雅を同時に襲い、脳をバグらせる。
「ほら、"きもちい"って、正直に白状しちゃったら?」
ビクンっっ!
真緒の吐息が耳をくすぐり、体が反応する。
(⋯⋯嫌だ⋯⋯⋯イキたくない⋯⋯⋯。女と戦って負けて、挙句こんなところを動画に収められるなんて⋯⋯)
涼雅のムスコの先っぽからは、すでに我慢汁が溢れ出して、滑沢した亀頭を真緒の足趾がにゅるんにゅるんと舐め回す。
「悔しいね。でも抜け出せないね。それとも抜け出したくないのかな?」
「っっ⋯っっ!!!⋯っっ!!!っああ!」
「あ〜、苦しそう苦しそう!ほら、きもちぃですって、参りましたって言ってごらん?」
「っっっっ!!!!!⋯っ!!っがあっ⋯!!!」
死に物狂いで耐える涼雅。
しかし、どれだけ我慢しても真緒は足コキをやめることはない。
(ヤバいッッ⋯⋯もうッ限界ッッッ!!)
ギンギンに勃起した涼雅のムスコが暴発寸前を迎えたのを察した真緒。
ニヤリと笑うと、スンッと足コキをやめる。
「⋯っ!??⋯⋯っあへ⋯⋯?」
突然止まった足コキにマヌケ声を出す涼雅だが、すぐに更なる苦痛に身悶えする。
「ぬんんんんんっああああッ!!」
涼雅のムスコは依然として爆発寸前。
しかし真緒が足コキを止めたことで射精が許されない。
「ふふ。どうしたの?叫んじゃって。」
涼雅の耳元で囁く真緒。
耳元にあたる吐息が涼雅を更に苦しめる。
「ヌいてほしいんでしょ?ねぇ?上手に言えるかな?"僕の負けですヌいてください"って、ほら?」
(っ⋯⋯クソがッ⋯⋯⋯)
「せーの、はい。"僕の"?」
「ッ〜〜〜〜!ッ⋯⋯負けっ⋯⋯て⋯⋯⋯⋯」
「⋯⋯⋯は?ねぇ"僕の負けですヌいてください"でしょ?力関係分かってる?」
思うように復唱してくれない涼雅に、僅かにドスの効いた声で脅し、首絞めを強める真緒。
「っあっ⋯ぐぅっ⋯⋯」
「ほぉら。"僕の"?」
「⋯⋯⋯⋯ぼ⋯⋯っくの⋯⋯」
「"負けです"」
「負けっ⋯⋯⋯⋯です⋯⋯⋯」
「"ヌいてください"」
「ぬ⋯⋯⋯⋯僕のっ⋯負けですぅッ!っもう限界ですっ!!!ぬ、ヌいてくださいぃぃい!!!!」
"負けです"
その言葉を発したことで敗北が実感となり、胸の中でせき止められていた本心が溢れ出した。
それは百戦錬磨のS男『ときヤ』が一人の女にM堕ちさせられた瞬間だった。
それを聞いた真緒は満足げな表情を浮かべると、足コキを再開する。
「ふふ。認めちゃったねぇ、自分のこと女の子に負けて気持ちよくなっちゃう変態さんだって。強い女にこんな風にされて、どんな気分?」
これまで感じたことのない、屈辱にまみれた地獄のような快楽が体全体を包み込む。
「⋯っはぁっ⋯⋯はぁっ⋯へあッ⋯⋯アッ⋯⋯アッ⋯⋯⋯」
「気持ちよすぎて、『ときヤ』くんが今まで虐めてきた女の子みたいな声出ちゃってるよ?あ〜あ、これで『ときヤ』くんも、虐められる側だね。」
「⋯⋯⋯は⋯はひ。っ⋯⋯!っ!あっ!あ!ああ!イくっ!あっ⋯アっ!アッ!アッ!あぁぁああ!!⋯⋯⋯⋯⋯⋯っ!!!」
徐々に速くなる真緒の足コキに、ついに涼雅が限界を迎えた。
⋯⋯⋯⋯ッどぴゅっ⋯どぴゅっ⋯どくっどくっ⋯⋯
二人きりの部屋。
真緒の苛烈な攻めの後、一瞬流れた静寂の中、涼雅の精子が宙を舞い、ベッドに落ちる。
「あーあ、出しっちゃったね。女に負けて気持ちよくしてもらって、今どんな気分?」
「はあっ⋯⋯はあっ⋯⋯はあっ⋯⋯ぅ、嬉しかった⋯⋯です。」
「そう?良かったね。⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯でもね、一回イったくらいで勝手に満足されるの、ムカつくんだよね。」
「⋯⋯え?」
「こんなの、負け得だよね?このまま、まだ続けるから。」
「っ⋯⋯⋯⋯!?!」
涼雅の顔に恐怖の色があらわれる。
しかし、唇を噛み、口答えはしなかった。
自分よりも強い女の欲望を黙って受け入れるしかなかった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
真緒と涼雅が戦って数日。
『さき』のアカウントから1本の動画付きの投稿が上がった。
動画の内容はラブホテルの大きなベッドの上で、男女が裸同然の格好で戦い、最後には女が男を力で圧倒し、組み伏せてしまうというもの。
それぞれの顔にはボカシが入っているが、投稿の文面にはtokiYA_1048と、フォロワー数三万人超の裏垢男子『ときヤ』のアカウントIDが貼り付けられているため、戦っているのが『さき』と『ときヤ』であることは明白。
投稿についたコメントは様々だが、男フォロワーばかりを抱える『さき』のアカウントに初めてたくさんの女性からのコメントがついていた。
『なに?これ?』
『男の方ってあのときヤくん⋯?女の子に負けちゃったってこと⋯?』
『流石にヤラセだよね⋯?』
『マジならちょっと引くかも。』
そのほとんどが『ときヤ』が今まで虐めてきたであろう女や、『ときヤ』のことが大好きな女ファンからの落胆コメントだった。
そんな動画を、ある一人の青年が病院の待ち合いで見ていた。
スマホでSNSアプリを開いて、偶然その投稿が流てきたのだろう。
周りの人に見られているかもしれない公共の場にも関わらず、青年はその動画を閉じることができず、ムクムクと起き上がってくる股間をズボンのポケットに手を突っ込むフリをしてなんとか押さえつつ、食い入るように見つめていた。
「403番の方〜?」
唐突に青年の受付番号が呼ばれた。
青年の番になったのに会計にこないため、受付の女性が呼んだのだ。
青年はアソコを勃起させたまま唐突に立ち上がる。
「あっ⋯⋯」
収まらない勃起をポケットに突っ込んだ手で必死に押さえながら、尻を少し突き出した不格好な猫背で受付まで歩く。
「あの、大丈夫ですか?」
そんな青年の様子に受付の女性は心配そうな顔で聞く。
「あ、は、はい⋯⋯。大丈夫です。」
青年はすぐさま会計を済ますと、そそくさと受付を去っていった。
「黒崎真緒さん、国保連合会からお電話です。」
会計を終えた受付の女性を病院の別のスタッフが呼んだ。
「はい、今伺いますね。」
女性はにこやかな表情で答えた。
おわり
【キャラクタープロフィール】
ニカ
2025-01-12 16:25:32 +0000 UTCくろ
2025-01-11 16:02:38 +0000 UTC