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ザ・ドッグトレーナー #59『3日目失敗ルート時の夕食』(⇔48,55,56、57)

#59 「姉様は償う必要などありませんわ! わたくしこそが今回の失敗の原因なのですから、わたくしがルルシア様の所へ行くべきです!」 「いいえ! あの場面でしっかりリサの限界を見極めきれなかった私の未熟さが失敗の原因よ! ルルシア様の所へ行くべきなのは間違いなく私の方!」  夕食の準備が整った席を挟んでエリナとソフィアが顔を突き合わせて言い合いをしている姿が視界に飛び込んでくる。  お互い“自分こそが今回の失敗の罰を背負うべきだ”と主張し譲らない様子。あなたは食堂へ入室すると、彼女達の言い合いの間に入る様にテーブルの端にある自分の席へと無言で着席をした。 「マスター! マスターからも言ってくださいまし! ルルシア様へのご奉仕は私が行くのが然るべきだと……」 「違うわ! 私こそルルシア様の所へ行くべきなのよ! マスターもそう思っていらっしゃるでしょう?」  まるで、人気のルルシア嬢を取り合っているかの様な言い合いに見えなくもないが……その実、ルルシア嬢の屋敷へ奉仕しに行くというのは、並の覚悟では務まらないという事実をお互い理解している筈だ。彼女の屋敷へ行くという事は……その日は彼女がご主人様であり、彼女が指示すればそれに従わなくてはならなくなる。  ルルシア嬢と犬猿の仲であるエリナを向かわせれば、彼女の恨みのこもった仕置きがエリナを襲う事になるだろう。逆に、嬢のお気に入りであるソフィアを向かわせても……似たような事態になるのは変わらない。なにせ……ルルシア嬢はお気に入りの女性に対しては偏愛とも言うべき歪んだ愛情を向ける方だと分かっているのだから……。 「私が行くべきです!!」 「いいえ、私が行くべきよ!」  それが分かっていながらも姉妹はお互いを庇い合うように自分が行くべきだと主張を繰り返す。差し出されればどういう仕置きを受けるか想像できているから……尚更相手を行かせられないと思っているのだ。  あなたはテーブルに肘をつき手を組んで、しばし二人の言い合いを無言で耳に入れていく。  思えばこの3日目の調教……この調教は姉妹に何の落ち度もなかった。  ソフィアはリサに対して必要十分なくすぐりの刺激を与えてくれていたし、エリナの性感責めも暴走する事無く指示通りの焦らしを彼女に与えていた。それじゃあどこに失敗の原因があったかと言われれば“指示を下した自分の判断が的確ではなかったのだ”と結論付けるしかない。  リサの限界を見誤り、間違った指示を出してしまった自分こそが本来は裁かれなければならない対象だと……今回の失敗を経て悟っている。  自分に制裁が与えられるならいくらでも受けて猛省しよう……と、頭の中では思っているが、ルルシア嬢はそれを望まないのは明らかだ。  彼女は姉妹のどちらかを差し出せと言って聞かないだろう。彼女の中では金や責任者の謝罪云々よりもマーガレット姉妹へ加える罰の方が遥かに魅力的だと感じているのだ。だから誰が調教を失敗させたかなど彼女には関係ない……失敗した対価を姉妹に支払わせたいと強く思っているのだから。 「……マスター?」  自分では償う事が出来ないこのもどかしさ。姉妹はあなたのその思いを汲み取っているからこそ、自分こそが行くべきだと頻りに言い合ってくれている。責任者であるあなたでも……共に調教に臨んだ相手でもない……自分こそが罰を受けるに相応しいと……  あなたは思慮ある二人の言い合いを目にし、組んでいた手を解いて肘をテーブルから降ろしていった。そして、キョトンとする二人の目を交互に見て……ゆっくりと頭を下げた。  申し訳ない……  その一言を二人に告げ、謝罪を行った。 「ま、ま、マスター!? な、何でマスターが謝罪をっ??」 「そ、そうですわよ! 悪いのはわたくしなのですから、謝るのはわたしくしの方でしてマスターは何も悪くは……」  頭を下げながら二人の言葉を聞きつつも、あなたは自分の思いを二人に伝えた……  今回の調教は自分の判断の甘さが原因で失敗した事……姉妹は自分の期待通りの仕事をしてくれていたと評価している事……  そして……  この失敗の責任を自分が取る事は出来ず……どちらかに取って貰う羽目になる事……  申し訳なく思っていても……謝罪する事しか出来ない己の不甲斐なさ……  それらの思いを詰めて頭を下げ言葉を紡いだが、姉妹はそんなあなたに対して微笑ましい笑顔を向けてくれていた。 「私達の事でしたら気にしなくても大丈夫ですよ、マスター。むしろ、責任を取らせて貰える事の方が光栄だと思っているのですから……」 「そうですわ。わたくしも……至らない部分が数多くあった事を自覚してます。ですから……罰を受けて……その至らなかった自分を罰によって反省したいと思っておりました……」 「私だってそうよ。もっとああすれば良かったとか……こうすればよりよい成果が出せたとか……考え出したらキリがなかった。そういう至らない点を研鑽するためにも……罰を与えられたいと思っていたんです」 「ですから……マスターは気負いせずわたくしを選んでくださいまし。ルルシア様の屋敷に行くのはお前だと……言ってください」 「いいえ、私が行くべきです! どうか私に罰を受ける権利を与えてください! マスター!」  頭を上げたあなたは申し訳ない表情を浮かべつつも再び二人を見比べた。二人とも真剣にあなたの目を見て判断を待っている。  自分こそが罰を受けるに相応しいと言わんとする様に、目で訴えかけている。  あなたはその真剣な二人の目を見て、フゥと息を零す。  それからポケットから携帯電話を取り出し、履歴からルルシア嬢の番号を探し通話ボタンを押す。 ――プルルルルル……プルルルルル…………ピッ!  『あら、こんなタイミングで電話をしてくるだなんて……珍しいわね? どうしたの? 何か面白い報告でも聞かせてくれるのかしら?』  電話口に出たルルシア嬢の声は、既に調教が失敗したであろう事を察したかのような……高揚のある声色だった。  あなたは躊躇いながらも今日の報告を行い……ルルシア嬢へ改めて謝罪の言葉を伝えた。 『ふぅ~~ん? それは残念ね♥ まぁ失敗したのだったら……勿論覚えているわよね? 失敗した時の条件を……』  あなたは苦々しい顔を浮かべつつ「分かっている」と返事を返す。 『そ? なら良いのだけど……。それで? 私の元へはどっちが来てくれるのかしら? 歓迎の為に準備をしなくちゃならないから……教えてくれない?』  その様に聞かれ、あなたは改めて二人の顔を見比べる。  二人とも……自分を選んでくれと言わんばかりに前のめりにあなたを見ている。  その様子を見つつあなたは唾を呑み込み、覚悟を決め……ルルシア嬢に、 A:エリナを向かわせる……と伝えた→#75へ B:ソフィアを向かわせる……と伝えた→#77へ


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