◇◇1_ファイル◇◇
とある日のこと。
任務を終えて帰ろうとしたそのとき、不意に背後から低い声が飛んできた。
「――待て」
振り返ると、無骨な表情の上司が腕を組んで立っていた。
その眼差しは鋭く、冗談を差し挟む余地など一切ない。
俺の背筋は自然と伸び、靴底が硬い床を鳴らした。
「次の同行任務だ」
抑え込んだ声音。
その一言だけで、胸の奥に嫌な予感が広がる。
通常なら事前に連絡があるはずだ。だがわざわざ帰り際に呼び止めるなど、よほど特殊な事情に違いない。
上司はファイルを手にしたまま、口元をわずかに歪めた。
「あのシティーソルバーと……上手くやっているそうじゃないか」
その呼び名を耳にして、思わず息を呑む。
だが上司は構わず続けた。
「……あの時は命令違反でクビになるかと思っていたがな。上の意向というのは、つくづくわからんものだ。まあ、彼女がお前を信頼しているのは事実らしい」
皮肉とも本音ともつかぬ声音。
胸の奥にざらついた感情が残る。
やがて上司は手にしていたファイルを突き出した。
「シティーソルバー以外にも機関に対抗できる人材が存在するのは知っているな。それもお前に任せろ、と上からのオーダーだ」
シティーソルバー、つまりナツキ以外にも超人的な能力を持った人間が存在する。俺は噂程度に聞いたことはあったが、ナツキに出会うまでは超人的な能力さえ信じられなかった。
一体どんな人物なのだろうか。
受け取ったファイルは薄く、紅色の表紙は擦り切れていた。
まるで何度も扱われながら、結局は持て余された書類のようだ。
ページを開くと、中央に「被験体コトハ」の名が記されている。
年齢、身体能力の簡易データ、いくつかのテスト結果――。
しかし、どれも目を引く特異性はなく、どこか空虚な印象ばかりが残る。
目を止めたのは、余白に赤く殴り書かれた文字だった。
――《不安定要素あり 扱い注意》
その文字は二重線で強調され、警告のように目に突き刺さる。
だが理由の欄は空白。
「……俺に、ですか?」
思わず問い返す。
上司は頷き、表情を崩さぬまま言った。
「上の考えていることはわからん。任務だ、しっかりこなせ」
それだけ。
核心には触れず、背を向ける。
背広の裾が翻り、重い足音が廊下に遠ざかっていった。
残されたのは薄いファイルと、胸に生まれた鈍い違和感だけ。
俺はしばし立ち尽くし、静まり返った廊下で息を吐いた。
任務の疲労よりもずっと重くのしかかるものを抱えながら。
◇◇2_出会い◇◇
翌日。
正午過ぎの街外れ。
廃工場へ続く舗道は、錆びたフェンスと割れたガラス窓が並び、真上から降り注ぐ強い陽射しに白く照らされていた。
日差しを反射した鉄骨はぎらりと光り、空気には熱気が滲んでいる。
その道端に、彼女は待っていた。

白いジャケット。胸元には黒いバンドゥビキニ(ストラップがない、幅が狭い体に巻きつけるブラトップのビキニのことだ。)
赤いデニムスカートの裾からは蛍光グリーンのTバックがのぞき、脚には白い網タイツ。足元は白いハイブーツ。
強い日差しにきらめくその姿は挑発的で目を引くはずなのに、彼女の落ち着いた佇まいがそれを不思議と中和していた。
「……改めまして、コトハと申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします」
彼女は深々と一礼する。整った仕草は舞台の役者のようで、思わず息を呑むほどだった。
「リ・ガーズのサポーターだ。……よろしく」
「防衛隊の方が一緒で心強いです。……正直に申し上げれば、こうして人と並んで歩くのも久しぶりでして」
丁寧で柔らかな声色。ナツキとはまるで違う、落ち着いた雰囲気の女性――それが初対面の印象だった。
俺とコトハは並んで廃工場へ向かう。
強い日差しが容赦なく照りつけ、舗道に伸びた二人の影は濃く落ち、アスファルトの熱気でゆらめいていた。
「久しぶり、っていうのは……仲間と一緒に行動するのが、ってこと?」
「はい。私はいつも単独でしたから。……人と歩調を合わせるのは、どうにも不慣れです」
そう言いつつも、彼女の歩き方はぶれない。姿勢はまっすぐで、弱さを感じさせなかった。
舗道を歩くたび、白いハイブーツの踵が乾いた音を刻む。
網タイツ越しに覗く脚線は挑発的で、赤いデニムスカートの裾が風に揺れるたびに、鮮烈な蛍光グリーンの布地がちらついた。
そのどれもが「戦場の装い」とは程遠いはずなのに、彼女の整った所作が全てを覆い隠していた。背筋は伸び、歩幅は揃い、呼吸は深い。
まるで舞台に立つ役者のように淀みがなく、視線ひとつとっても節度を感じさせる。
もし衣装だけを切り取れば場違いな挑発に見えるだろう。だが、彼女自身の振る舞いがそこに清楚さを添えていた。
「……見慣れない格好でしょう」
不意に口を開いたコトハは、苦笑めいた声音で続ける。
「奇異の目で見られることはよくあります……けれど、それも慣れてしまいました」
彼女は裾を軽く押さえながら歩く。仕草そのものは淑女のように落ち着いていて、衣装との不釣り合いが逆に目を引いた。
「……でも、あなたの視線は違うのですね」
俺が返す前に、彼女は静かに言葉を重ねた。
「好奇でもなく、警戒でもなく。ただ“見よう”としている」
俺は足を止めそうになった。。
「……俺はただ、君のことを知りたいと思っただけだ」
「ええ。そう思ってくださるのなら、それだけで十分です」
丁寧で穏やかな声。
挑発的な装いと清楚な立ち居振る舞い――その落差はますます鮮明になり、俺の胸の内には奇妙な違和感と同時に、コトハへの興味が生まれていった。
◇
真昼の強烈な陽射しが容赦なく照りつけ、二人の影は黒々と舗道に並んで揺れていた。
その光の下で、コトハは小さく息を整え、前を見据えたまま歩き続けていた。
(……“不安定要素”と書かれていた理由は、いったい何なんだ?)
ファイルの余白に刻まれた赤字が、再び脳裏に蘇る。
だが目の前を歩くコトハの姿は、その言葉からあまりにもかけ離れて見えた。
歩きがてら、俺は彼女の横顔を見ながら訊ねた。
「コトハ……君のことを、もう少し知りたい」
「……私のこと、ですか?」
「君はどんなふうに戦うんだ?サポートをするためにも知っておきたい」
「そうですね…私は主に足を使います。手数で相手の弱点を攻める戦い方です」
赤いスカートの裾が夕風に揺れる。白いハイブーツが舗道に乾いた音を響かせた。
「苦手なことは?」
ナツキの目隠しのこともある。俺はあえて聞きづらいことを聞いた。
「……人と長く話すのは少し苦手で。ですから今も……緊張しています」
「緊張してるようには見えないけど」
「ふふ……隠すのは得意なんです」
その声音は清楚で穏やかだった。
「君はナツキのことを知ってる?」
「はい……明るくて真っ直ぐな方というくらいは」
「じゃあ……君自身は?」
短い沈黙ののち、コトハは言った。
「私は……ただの被験体です」
俺は言葉を探しながら、彼女を見やる。
「それだけ、なのか?」
「はい。それ以上でも、それ以下でも。私は奴らにつくり替えられた存在……。
だから、人からどう見られるかを気にしても、仕方がないのです」
「……自分を切り捨ててるように聞こえる」
「ふふ……そうかもしれません。けれど、そう思っていた方が楽なんです」
彼女は前を向いたまま、淡々と続ける。
「私は、機関への復讐を……それだけを考えてきました」
俺はしばらく黙り、歩調を合わせ続けた。
彼女の言葉は淡々としていたが、その奥に深い憎悪が滲んでいた。
◇◇3_魔獣◇◇
割れた天窓から橙色の光が差す廃工場。
俺とコトハは工場の入り口にたどり着いた。
床の黒い染みがじわりと広がり、影が形を持ち始める。残滓だ。
「行きます」
コトハは前に出た。白いブーツがしなり、回し蹴りが影を裂く。
二体目、三体目。網タイツ越しの脚は正確で、動きに淀みはなかった。
「問題ありません」
息も乱れず、落ち着いていた。
俺は残滓を蹴散らすコトハの姿を見て思った。
――何が不安定要素なのか。俺の役目は本当にあるのだろうか。
残滓の群れを一掃したコトハが振り返り、軽く息を整える。
「……片付きました。問題はありません」
俺は頷きながら問いかける。
「疲れは? 無理はしていないか」
「いいえ。動きも乱れていませんし、呼吸も安定しています。この程度であれば、特に支障はありません」
彼女は網タイツ越しの脚を揃え、スカートの裾を軽く払った。
その仕草も落ち着いていて、余裕すら感じられる。
「次の指示を」
「あぁ……」
残滓の状態を確認しようと端末に目をやったその時、腰の通信機からノイズが走った。
ザザッ……ガガッ……。
『……こちら指令室、応答せよ。繰り返す、応答せよ』
かすれた声が混線の向こうから割り込んでくる。
俺は眉をひそめ、即座に受信を強めた。
「こちら現場班。指令室、聞こえている」
『……っ、よし……そのまま聞け。核を持った魔獣が、近隣区画に出現したとの報告だ。住民の避難は未完了、被害拡大の恐れがある。周辺班は直ちに警戒態勢に入れ』
背後の雑音に、人々の怒声や機械の警告音が混じる。
ただならぬ混乱が、受信機越しにも伝わってきた。
『繰り返す――核を持った魔獣が現れた。最優先で警戒を……ッ』
無線の声を最後に、廃工場が揺れた。
鉄骨を割って姿を現したのは、煤のような体表に赤黒い核を宿す魔獣。
呼吸するたび胸部の器官が膨張し、黒い靄が吐き出されていく。
「来ましたね……!」
白いジャケットの裾を翻し、コトハは迷いなく踏み込む。
白いハイブーツの踵が床を叩き、網タイツ越しの脚が鋭い弧を描いた。
連撃。
回し蹴り、膝蹴り、跳び蹴り。
舞うように繰り出される脚が巨体を揺らし、魔獣の影を押し戻す。
「……すごい。圧倒してる」
俺は端末を構えながら、彼女の精密さに目を奪われていた。
だが――違和感は突然だった。
◇◇4_呼吸◇◇
「……っ、はぁ……っ!」
次の一瞬、コトハの肩が大きく震えた。
蹴りの軌道が乱れ、足取りがふらつく。
さっきまで堂々と立っていた姿が嘘のように、膝が床に沈む。一体何があった。
「コトハ! なぜ急に……!?」
彼女の瞳は揺れ、呼吸が荒い。
「……ガス……です……。吸い込んで……身体が……」
黒い靄。
魔獣が吐き出す催淫ガスが、コトハの肺を侵していた。
巨躯の影が迫る。
触手が音もなく伸び、無抵抗のコトハの腕を縛り上げた。
「くっ……放しな…さ…い…」
声を張ろうとするが、彼女の吐息は掠れ、力は抜け落ちていく。
煤のような魔獣が胸を震わせ、脈打つ核とともに下腹の器官を隆起させた。
赤黒い液体を滴らせ、コトハの腹部へと押し当てる――。
彼女の瞳が絶望に染まっていく。
「……いや……来ないで……」
抵抗の声は弱々しく、今にも飲み込まれてしまいそうだった。
魔獣の触手が彼女の腰を開き、精を注ぎ込む寸前――
「やめろ!」
俺は閃光弾のピンを引き抜き、床に叩きつけた。
――ドンッ!!
白光と爆音が闇を裂き、魔獣の影がのけぞる。
その隙に俺は飛び込み、コトハの体を抱きかかえて廃材の影へと転がり込んだ。
「……っ、はぁ、はぁ……」
腕の中のコトハは荒い呼吸を繰り返し、視線を逸らすように震えていた。
「コトハ、しっかりしろ!」
「……私……呼吸が……弱点なんです……」
小さく、だが決定的な告白が漏れた。
「実験で……呼吸を遮られると、抵抗できなくなるようにされて……。だから……さっきも……すぐに……」
悔しさに濡れた瞳。普段の凛とした彼女からは想像できない姿。
俺は肩を支え、はっきりと告げる。
「大丈夫だ。俺の言葉に集中して。今ここで君の隣にいるのは――俺だ」
「……っ」
「吸って、ゆっくり吐いて。俺の声だけを聞いて。これは君自身の呼吸だ」
震える胸が上下し、彼女の吐息が少しずつ整っていく。
俺は背に手を当て、鼓動を刻む。拍に合わせて呼吸を導く。
数度の繰り返し。
恐怖で曇っていた瞳に、再び光が戻った。
「……不思議です。あなたの声に集中していたら……恐怖が消えて……」
「それでいい。君は弱いんじゃない。支えが必要なだけだ。俺がその役をやる」
沈黙ののち、彼女は真っ直ぐ俺を見た。
白いハイブーツで床を踏みしめ、清楚な声音で言い切る。
「……もう大丈夫です。今度は戦えます」
俺は頷き、奥で再び咆哮を上げる巨躯を見据える。
煤けた体表に赤黒い核が脈打ち、黒煙を吐き出す。
「行こう、コトハ。君の蹴りなら核を砕ける」
「……任せてください」
彼女は深呼吸をひとつ置き、胸元を正した。
白いジャケットの裾を整え、脚を揃えて立ち上がる。
赤いスカートが揺れ、白いハイブーツのつま先が床を軽く叩く。
「……恥ずかしいところをお見せしました。けれど、今なら――戦えます」
その声音は再び清楚で、冷静さを取り戻していた。
俺は頷き、視線を前方へ向ける。
「……さっさと終わらせましょう」
コトハの白いジャケットの裾が風に揺れる。
「核が……見えるな」
俺は端末を握りしめる。
魔獣が咆哮をあげ、鉄骨を軋ませながら襲い掛かってくる。
地面を踏み砕き、粉塵が舞い上がった。
「下がっていてください」
清楚な声色のまま、コトハは一歩前に出る。
白いハイブーツが地面を叩き、網タイツ越しの脚がしなやかに弧を描いた。
蹴りが横薙ぎに走り、魔獣の肩口を正確に捉える。
硬質な音と共に巨体が揺らぎ、黒煙が散った。
だが核を宿した魔獣はすぐには崩れない。
赤黒い核が脈打つたび、影の靄が濃さを増し、周囲の空気さえ淀んでいく。
「……やはり核持ちはしぶといですね」
彼女は一歩も引かず、姿勢を正す。
その横顔は、先ほどまで苦悶に歪んでいたものとは別人のように凛としていた。
その強さを確認して、俺はわずかに息を整える。
今の彼女なら、任せても大丈夫だ――そう思いながら端末に目を走らせた。
解析に映る胸部の赤黒い光――核は確かにそこに存在する。
だが外殻は分厚く、ただ見えているだけでは意味がない。
それを叩き出し、露出させられるのは、速さと正確さを持つコトハだけだ。
「コトハ、聞け。核に届くまでの耐久値は……およそ十発。お前の連撃で外殻を砕けるはずだ」
コトハはちらりとこちらに視線を寄越し、凛とした声音で頷く。
「了解しました。……核が露出したら、私が仕留めます」
「任せた」
次の瞬間、魔獣が咆哮を上げて突進してきた。
黒い靄が周囲を覆い、舗道が砕ける。
「はッ!」
コトハは一歩も退かず、白いハイブーツを振り抜いた。
回し蹴りが側頭部を叩き、すかさず膝蹴りで胸部を穿つ。
さらに背中を軸にしての後ろ回し蹴り――連撃は淀みなく繋がり、巨体を揺らす。
俺は端末を握りながら声を飛ばす。
「残り七発……五発……まだだ、もっと叩き込め!」
コトハは呼吸を整えたまま舞踏のように脚を繰り出す。
網タイツ越しの脚が弧を描き、白いブーツの踵が黒い外殻を正確に撃ち抜いていく。

「……あと二発!」
「了解ッ!」
最後の蹴りが核を覆う殻を粉砕し、赤黒い光が露わになった。
魔獣の動きが一瞬止まる。
「今だ、コトハ!」
「任せてください!」
白いジャケットの裾を翻し、彼女は跳躍した。
空中で身体をひねり、鋭い踵落としを叩き込む。
赤黒い核に直撃した瞬間、轟音とともに核は砕け散り、魔獣は黒い靄を吐きながら絶叫した。
そのまま巨体は崩れ落ち、陽光の下で煙のように消えていった。
着地したコトハは軽く息を整え、清楚な声音で静かに言った。
「終わりですね」
日差しが彼女の姿を照らす。
挑発的な衣装と凛とした所作、その対比は戦闘を終えた今なお鮮烈だった。
しばし沈黙が流れたのち、コトハは小さく息を吐いた。
「……言えなかったんです」
俺は彼女の横顔を見やり、静かに言葉を返す。
「……言えないことがあって普通だよ」
その一言に、コトハの肩がわずかに揺れた。
強い日差しに透ける網タイツの脚が、ほんの少し震えていた。
「……あなたは、本当に……」
口ごもる彼女に、俺は続けた。
「ナツキの時にも似たことがあった。だから、俺はちゃんとサポートしたいんだ。コトハ――君のことも」
清楚な声音が、かすかに揺らぐ。
「……軽蔑しないのですね」
「する理由がない。むしろ、支え合えた方がいい」
コトハは視線を伏せ、胸元を押さえるように指先を重ねる。
「…」
言葉を吐くたび、白いジャケットの肩が小刻みに震える。
「私は……弱い自分を知られたくなかった…」
陽光に照らされた彼女の横顔は、強さを纏っていながらもどこか寂しげだった。
挑発的な衣装に包まれた身体よりも、言葉のひとつひとつがむしろ裸に近い告白に思えた。
俺は静かに息を整え、落ち着いた声で返す。
「……コトハ。それを話してくれただけで十分だ。俺は君を支えるためにここにいる」
彼女は驚いたように目を瞬かせ、それからほんの少しだけ顔を赤らめた。
「……そんなふうに言ってくださる方は、初めてです。
不思議ですね……心臓が、ずっと強く鳴っています」

コトハは深く息を吐き、陽の光を仰いだ。
「……私、また一人で戦うのだと思っていました」
清楚な声音にかすかな震えが混じる。
「でも、今は違う。あなたが傍にいてくれるなら……私は冷静にいられる気がします」
その言葉に、俺は自然と頷いていた。
「たとえそうじゃなくても傍にいる。約束するよ」
短い沈黙ののち、コトハは微笑んだ。
挑発的な衣装に似合わぬ清楚な笑みは、強烈な日差しの中でも確かな存在感を放っていた。
「……その言葉、忘れないでくださいね」
その一言に込められた重みは、戦いの疲労よりも深く胸に響いた。