ナツキは、自分の短絡的な行動を心の底から悔いていた。
無鉄砲な突撃、目潰しに反応できなかった一瞬――その全てが今の状況を招いたのだ。
「…はぁっ……はぁっ……く、くるしい……」
荒れた呼吸を必死に整えようとするが、胸は焼けるように熱く、酸素は肺に届かない。
腹部は不自然なほど膨張し、脈動を繰り返すたびに皮膚の内側から突き破られるような感覚が走る。
血管が浮き上がり、波打つ鼓動はまるで別の生物が内側で生きているかのようだった。
「ギャハハハ!!!! 惨めだなぁ、器よぉッ!!」
目の前で哄笑を轟かせる魔獣。
カボチャの頭部が不気味に光り、胴体には無数の触手が滴るように伸び、艶めかしい粘液を垂らし続ける。
蠢く胴体の触手は蛇の群れのようにナツキの身体を這い回り、脚を絡め、腰を締め上げ、彼女の腹の動きをいやらしく観察していた。
「ひっ……ぁ……ぐっ……うぅっ……お腹が……苦しい……っ!!」
呻きながら必死に腹を抱え込む。
内部から弾けるような音が耳にまで響き、脳裏にまで圧迫が広がっていく。
筋肉が勝手に痙攣し、下腹部を突き上げる脈打ちは、恐怖と羞恥とで頭を真っ白にした。
「お菓子を渡さなかった罰だァ! さあ、たぁぁぁくさん、産んでくれよなぁぁぁああッ!!」
カボチャ頭の裂け目がいやらしく震え、赤橙の光を放ちながら下卑た声を響かせる。
その光景は、祝祭の仮装とは程遠い、淫辱の祭典そのものだった。
「いや……いやぁっ!! こんなの……絶対に……っ!!」
声を振り絞るが、か細く掠れた音しか出せない。
抵抗する力はもう残っていない。それでも、震える指先は必死に床を掻き、否定の言葉を繰り返し続ける。
目の奥は涙で滲み、だがその視界に写るのは魔獣の無慈悲な笑いだけだった。
「ギャハハハ!!! 楽しいなぁ!!! 祭りは、まだまだこれからだぜぇぇぇぇ!!!!」
夜の工場街を揺るがすほどの咆哮。
祭囃子のように響くその嘲笑は、救いを求めるナツキの意志を削り取り、ただ“器”としての運命を刻み込んでいく――。
