「えっ!?な、なに!?」
「ナツキ!!落ち着け!!挑発に乗るな!!」
俺は咄嗟にナツキに目隠しをした。
ナツキが暴走した時のために、と念のため用意していたものだ。
「ちょっ、やめ……」
「落ち着け」
「あ…うん……」
ナツキの肩を掴み、落ち着かせる。先ほどの興奮がどこへやら一気に大人しくなる。
やはりナツキに目隠しの効果は大きいようだ。
トラウマを利用して申し訳ない気持ちと、ナツキを単独で行かせないで良かったと安堵する気持ちが混じり合う。
「一度状況を整理して、魔獣の対策をしよう。今回の敵はだいぶ知恵が回るようだ」
「わかった……わかったから……あの…これ…外してくれない…かな……」
「あ、ああ…すまん……」
慌ててナツキの目隠しを解いてやる。
顔を真っ赤にして何かを訴えかけるナツキ。
「これさ……」
「ん?」
「君じゃなかったら…許してないからね……!」
目隠しされた驚きと怒りと羞恥心で心がぐちゃぐちゃにかき乱されているのだろう。
涙目で訴えかけるナツキ。
俺はただ謝ることしかできなかった。
◇
現場検証も終わり、気持ちも落ち着いたナツキとこれからの作戦を立てる。
「今回の敵、現場検証の結果気付いた点が3つある」
「…何?気付いた点って」
「ひとつめは、被害者の股から流れていた茶色い液体。あれは分析した結果チョコレートとのことだったが、あれは魔獣に捻じ込まれたものじゃない。おそらく女性が産み出している」
「え?どういうこと?」
「原理はわからないが、“入れられた”んじゃなくて、”出てきたもの”なんだ。その証拠に、匂いは
チョコレートのようだったが、成分には魔獣特有の特殊な成分が混ざっているらしい。それに加えて近くに会った球体、キャンディも同様の結果が出ている」
「ということは…魔獣が女性を使ってお菓子を産ませたってこと?」
「そうなる」
「なんで?」
「わからない。ただ、今までの魔獣とは明らかに違う行動をしている。この点は覚えておいた方がいいと思う」
「お菓子好きの魔獣ってこと?下品だし、最悪だし…あぁ、またイラついてきた……」
「何らかの攻撃で“お菓子を産ませる”ことが可能な敵かもしれない。その点は気を付けるべきだ」
「わかった。あともうふたつは?」
「体に書かれていた文字だ。ひとつは首に描かれたマーキング。そして体に書かれた落書きだ。
落書きは、おそらく女性自身が書いている」
「えっ!?あれを?」
「おそらく女性が望んで書いたものではないだろう。なんらかの能力で書かされたはずだ」
「なんでそう思うの?敵が書いたかもしれないじゃん」
「そういうケースもあると思ったんだが、気づいたのは字が逆さまだったことだ」
「逆さま?」
「そう。あれは自分の視点で体に書かないとできない字の向きだ」
他の事件の時にあった写真を見比べる。確かに、今回の事件ではない写真には、こちら側から
見て読めるように字が書かれていた。
「ああいった類の見せしめ行為は、加害者側が認識できる向きで書かれるのが一般的らしい。
こういう状況に対して一般的というのもどうかと思うが、まあそういうことだ」
「ふーん……なんで書いちゃうんだろう」
「おそらく強制的に体を動かされる何かがある。そして首のマーキングはそれに関連している
可能性が高い」
首元の黒い文様を指してナツキに説明する。
「だから、魔獣と闘う際には準備をする必要がある。敵の行動を予測して討伐に当たろう」
ストーリー5:選択Aの結末
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