【小説】女子と教師と入れ替わりの日々
Added 2025-05-13 13:07:10 +0000 UTC【こちらはskebリクエスト作品です。ご依頼ありがとうございました】
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「では、ホームルームを終わります。気をつけて帰ってください」
教壇に立ってそう告げたわたしは、逃げるように教室を出た。
職員室へと向かう廊下を歩きながらは、わたしは深くため息をつく。
教師としてみんなの前で話すなんて、全然慣れない。
やっぱりわたしには無理なんじゃないかって不安になるけど、だからってわたしの都合で休むわけにもいかないので今は頑張るしかない。
「……那珂川真美子先生!」
「は、はいっ!?」
「さっきから呼んでいたんですが? 何をぼーっとしてるんですか?」
「す、すみません……」
いつの間にか教頭先生がわたしのことを呼んでいたようだ。
いけないいけない。
わたしは自分の顔を軽く叩いて気を張り詰めた。
「那珂川先生、まだあなたのクラスの三者面談の予定表を提出してもらってないんですが? いつになったら出してもらえますか?」
「す、すみません……! もう少しだけ、待ってもらえると……」
「……はぁ……しっかりしてください。いつまでも若手気分でいられては困りますよ」
「はい……」
嫌味ったらしい小言に対し、わたしは縮こまるように返事することしかできなかった。
教頭先生はそれだけ言うと立ち去っていき、わたしは再び大きなため息をついた。
やっぱりわたしには無理かもしれない。
心が折れそうになりかけていたそのとき、スマホが震えた。
スマホを開くと、そこには『うちの最寄駅のスタブで待ってる』とだけ書かれていた。
わたしはそれを見て少しだけ心が和らいだ。
ちゃんと頑張らないと。
わたしは気を引き締めて仕事に取り組み、優先事項を取り急ぎ片付けると学校を飛び出して待ち合わせ場所へと向かった。
電車を乗り継いで数十分、辿り着いたのは駅前にある喫茶店。
店の扉を開いて中を覗くと、奥の座席にわたしのよく知る男子生徒が座っていた。
わたしは彼に駆け寄りながら声をかけた。
「修くん! 疲れたよ〜!」
「奏、お疲れ様。大丈夫だったか?」
「大丈夫じゃないよ〜……もう、先生って本当に大変なんだから」
席に着くなりテーブルにうつ伏せて疲れを吐露したわたしを、修くんは優しく労ってくれた。
「とりあえず何か頼めば? 俺が奢るからさ」
「え、いいの? そんな、悪いよ」
「気にすんなって。奏が大変なのはわかってるから。彼氏らしく支えさせてくれよ」
「うう、修くん〜……ありがとう〜!」
わたしは目に涙を浮かべながら修くんに感謝を伝えた。
もし修くんがいなかったら、わたしはとっくに心が折れていたと思う。
優しく微笑む修くんを見ているうちに、わたしの中に強い気持ちが湧き起こってきた。
「……ねえ修くん。キス、してもいい?」
「奏。それはダメだって。戻ってからって約束だろ?」
「それは、そうだけど……でもわたしたち付き合ってるんだし……ちょっとくらい……」
困ったような顔をする修くんを見つめながらわたしはつぶやいた。
テーブルから身を乗り出して、秀くんに顔を近づけていく。
「良いわけないでしょ! 何をやってるのよ貴方たち!?」
するとそのとき、いきなり誰かが割り込んできた。
突然のことにわたしは思わずビクッと飛び上がってしまう。
声の方に顔を向けるとそこには、ある意味で、よく見慣れた女子生徒がむすっとした顔で立っていた。
「赤木君、望月さん。百歩譲って勝手に会うことはまだ許すわ。でも、今しようとしていたことはどう考えても教師と生徒のすることじゃないでしょう!? 何考えてるわけ!? こんなとこ誰かに見られて私が教師をクビになったらどうしてくれるの!?」
「ご、ごめんなさい……」
ヒステリックを起こしたみたいに怒鳴り立ててくる女子生徒にわたしは平謝りすることしかできない。
「ま、まあまあ。那珂川先生、落ち着いてください。奏も慣れない教師生活で苦労してるみたいなので……」
「だから何よ!? そんなの働いていれば誰だって苦労してるに決まってるでしょ!? 教師という立場にある人間が不適切な行為をして良い理由にはならないと言っているのよ!」
修くんが宥めても女子生徒の勢いは止まらない。
言っていることは確かに正論なのでわたしは何も言えない。
「とにかく、望月さん! あなたにはちゃんとしてもらわなきゃ困るのよ! 今のあなたは『私』なんだから!」
私の目を見て女子生徒が強く言う。
彼女は、私たちの担任教師の那珂川真美子先生、なのだけれど。
その身体は彼女のものではなく、鏡の中で何度も見たわたし──『望月奏』の姿をしていた。
「は、はい……わかりました……」
一方、縮こまるようにそう言ったわたしの身体は、彼女──『那珂川真美子』の身体となっている。
そう、わたしたちは今、身体が入れ替わってしまっている。
教師と生徒、修くんの担任と彼女、そんな関係もひっくるめて、逆転してしまっているのだ。
きっかけは本当に些細なことだった。
廊下の曲がり角で頭をぶつけてしまった直後、わたしたちは気がつくと身体が入れ替わっていた。
そのとき一緒にいた修くんは、非現実的すぎて最初は信じていないようだったけど、わたしと那珂川先生があまりにも動揺している様子を見て信じてくれる気になったみたい。
その後は何度も頭をぶつけてみたりいろいろ試してみたけれど、結局元には戻れなかった。
結局わたしたちは一旦元に戻るのを諦めて、身体に合わせた生活を送ることを余儀なくされた。
一週間が経過した今でも戻れていない。
那珂川先生のお説教後、そのまま解散させられたわたしたちは仕方なくそれぞれ帰路についた。
ただし、わたしが帰る家は自分の家ではなく、那珂川先生の自宅だ。
修くん以外には身体が入れ替わっていることを話していないので、周りに変に思われないように入れ替わったことを隠しながら過ごしている。
友達や先生たち、もちろん家族に対しても。
わたしは那珂川の住んでいるアパートの部屋の玄関扉を開いた。
「ただいま〜……」
部屋の中は真っ暗でしんと静まり返っている。
当然、お母さんもお父さんも弟もいない。
わたしは誰もいない部屋の中で一人ため息をついた。
「はぁ〜……寂しいよ〜……」
一人暮らしに憧れる気持ちもあったけれど、突然こんな形で一人になるなんて思いもしなかったので、わたしは人肌恋しい気持ちを抱えていた。
「修くん……わたしどうしたらいいのかな……?」
ソファに腰をかけながら、彼氏の名前を呟く。
すると、身体の中でじんわりと疼きが広がっているのにわたしは気づいた。
ああ、またいつものだ。
「……もぉ……どうしてこんな……」
わたしは身体の中で持て余している熱い欲望を抑えきれなくなり、着ていた服を脱ぎ散らかした。
熱がこもってムワッという湯気が立ち上るのを感じる。
わたしのものではない、大人の体臭が辺りを漂い、わたしはクラクラしそうになる陶酔感に包まれた。
「我慢、できない……」
わたしはがっつくように股間に手を伸ばし、割れ目を指で弄んだ。
指が敏感なそこに触れる度、痺れるような快感が迸る。
「ぁ、あぁっ……これ、きもちいい……んっ……」
わたしは頬を紅く染めながら、一人快感に喘ぐ。
今まで、こんなことはしたことがなかった。
一人でエッチなことをするなんて、そんな発想を持ったことすらなかった。
でも、大人のこの熟れきったドロドロとした火照りにあてられてからは、毎日のように自分を慰めている。
今では帰宅後にこうやって一人で快楽を貪るのが日課になっていた。
「んんっ、あっ、修、くん……もっと、欲しい……んあっ……」
わたしはさらなる欲望に突き動かされ、近くのタンスの奥にしまってあったソレを取り出した。
ピンク色をした棒状の玩具。
那珂川先生の家に隠されていた恥ずかしい秘密の玩具は、今はわたしの大切な相棒となっていた。
「んんッ! あっ、奥に、入って……んあっ!」
玩具を股間に深く突き挿すと、身体の中で快感は跳ね上がるように大きくなっていった。
じゅぷっじゅぷっ、という淫らな音とわたしの喘ぎ声が混ざり、わたしはあまりの恥ずかしさに顔から火が飛び出そうだった。
けれど、快楽を貪る手は止めることができず、淫らな音も喘ぎ声も絶えず響き続けた。
「あっ、あっ……修くん、しゅうくん……すきっ、すきぃっ……!」
わたしは大好きな彼氏の顔を思い浮かべた。
付き合ってからずっと清い関係を続けてきたから、未だ彼とはエッチなことをしたことはない。
この身体になってからは当然禁止されて、今はキスすらすることができない。
元に戻ったら絶対修くんとセックスしまくる。
それが慣れない生活に振り回されているわたしの中で大きな心の支えとなっていた。
「しゅうくん、しゅうくぅん……ッ! あッ、イクッ、んッ、ああッ、あああぁぁッ!!?」
ビクッと身体が大きく震える。
勝手に力が入り、わたしは足のつま先をピンと伸ばした。
大きな快感が余韻となって、じんわりと全身に広がっていくのがわかる。
わたしは、未だビクビクと震える身体を抱きしめながらポツリと呟いた。
「しゅうくん……はやく、戻りたいよ……」
込み上げる切ない気持ちは再びわたしを昂らせ、気づけばわたしはまた股間に挿さる玩具を動かしていた。
────────
私、那珂川真美子は教師だ。
アラサーになってそろそろ教師としては一人前と認められ始めており、自分でも生徒を教え導く立場にあることを自覚して責任を持って職務に取り組んでいた。
これからもきっと真面目に教師として生徒と向き合っていくことになると、そう思っていたのだけれど。
「……赤木君。どうして私が貴方と一緒に過ごさないいけないのかしら?」
「その、一応俺と奏は付き合ってるので、一緒にいないと不自然なんですよ。それに、二人の事情を知ってるのは俺だけなんで、俺がそばにいればフォローもできますし」
「その点は感謝しているわ。でも、これは……」
私は渡り廊下の端で段差に腰掛けながら、赤木君と共にお弁当を食べていた。
男子生徒と二人でお弁当を食べるなんて、少なくともこんなのは教師の仕事ではない。
「教師として、一人の生徒にこんな形で入れ込むわけにはいかないのだけれど」
「でも、今の那珂川先生は奏の身体なんだから教師じゃないわけじゃないですか。先生だって自分の身体で変なことしてほしくないっていつも言ってますし、今ぐらい奏の身体に合わせてやってくださいよ」
赤木君の言い分はもっともだ。
望月さんに私の代わりをしてもらっている以上、私には彼女の代わりを務める義務がある。
しかし、一週間経ってもこうして二人きりで会うのは慣れない。
何故自分がこんな彼氏彼女の真似事をしなければならないのかという苛立ちが募る。
しかし、私の中にある感情はそれだけではなかった。
赤木君の顔を見ていると、何故だか胸の中がドキドキして落ち着かないのだ。
「那珂川先生? どうかしましたか?」
「な、なんでもないわよ。それより、貴方なんでそんなに馴れ馴れしいのよ? 普段は別に教師に積極的に話しかけるようなタイプでもないじゃない」
「そうですね……やっぱり奏の身体ですからかね。中身が違うっていうのはわかってるんですけど、奏と話してるような気分になるんですよ」
赤木君が優しい表情で微笑む。
それを見た瞬間、顔が熱くなっていくのがわかった。
何?
なんなのよこの気持ちは。
私が、こんな年下の生徒相手にドキドキするなんて、あり得ないに決まってる。
これはきっと私の感情じゃない。
望月さんの身体になった影響を受けて、変な気分になっているだけだ。
そう思ってはいても、私は身体の中から湧いてくる胸のときめきを抑えることができなかった。
その夜、私は望月さんの部屋のベッドの中で布団にくるまりながら一人悶々としていた。
「こんなの、違う……私は……でも……」
自然と手が股間に伸びる。
自分のものではない、望月さんの身体の秘所に手を這わせた。
まだ未熟な身体が、私の愛撫でピクッと震える。
「駄目……なのに……んっ……」
目から涙が溢れる。
普段の熟れた性欲を発散するためのオナニーとは違う。
感傷的な気持ちをどうすることもできず、ただこの寂しさを埋めたくて私は自らを慰めていた。
「う、ううっ……わかってるのに……でも、それでも……んっ……赤木君……」
最近よく共に過ごす男子生徒の名前を呼ぶ。
彼の笑った顔を思い出すと気持ちが昂る。
彼の優しい視線を思い出すと心が震える。
彼を愛おしく想う気持ちが次から次へと溢れておかしくなりそうだった。
「あっ、赤木君……すき、すきなの……うぅっ……」
でも、そんなのは許されない。
赤木君は私の彼氏ではなく、望月さんの彼氏なのだ。
それに、教師が生徒とそんな関係になるなんて絶対にあり得ない。
私は不安定に揺らぐ心と、教師としての自分の板挟みにあっていた。
「あっ、あっ……もう駄目っ、イッちゃ、あっ……んんッ……!!」
身体がビクッと震える。
望月さんの身体が絶頂を迎えたようだ。
自分の身体で感じるような快楽を貪る絶頂とは全然違う、ただ自分の感情の奔流に流されるような絶頂。
私の胸の中は、絶頂の余韻に浸りながらもなお愛しさと切なさで満ちていた。
「んっ、ふぅ……赤木君……これは、違うの……私は……」
私は自分の感情に無理やり蓋をしようと布団を被った。
けれど、押さえつけた想いはすぐに心を揺らがせ、私は涙を浮かべながら自分を慰めることしかできなかった。
────────
わたしは職員室を出てトイレへと向かっていた。
どうも職員室にいるのは落ち着かない。
周りがみんな大人ばかりというのもあるけれど、何よりあの教頭のじっとりとした視線に耐えられない。
「ふぅ〜……やっぱり先生って大変だよ〜……ん? あれ……」
廊下を歩いていると、人が集まっているのが見えた。
その中心にいるのは、修くんと『私』──那珂川先生だった。
何をしているんだろうかと思い、遠巻きに軽く眺めてみる。
「うっわ、熱いねぇ二人とも〜」
「ほんとお似合いっていうか〜」
「い、いやあ……あはは……」
「…………」
困ったような顔をした修くんと、顔を紅くした那珂川先生がわたしの友達に囲まれて囃し立てられている。
それを見て、わたしの胸はずきりと痛んだ。
「やっぱ二人で帰るときは手とか繋いじゃうの?」
「そ、そんなことするわけないでしょう!」
「え? 前はウッキウキで手が繋げた〜って喜んでなかったっけ?」
「え、いや、それは……えっと……」
那珂川先生が戸惑ったような顔をしていると、横から修くんが何かを耳打ちした。
すると、二人はなんと見つめ合いながら恋人繋ぎをし始めた。
周りの友達は茶化すように「きゃーっ」と騒いでいるけど、今のわたしにはそんなことどうでもよかった。
身体が震える。
冷や汗がじんわりと染みて、頭痛と悪寒がする。
気持ちが悪い。
わたしは、照れるように笑いながら友達と話す修くんと、満更でもなさそうに修くんの手を握りしめる『わたし』から目を逸らして職員室へと戻った。
黒いドロドロとした何かが、わたしの中で澱みになって積み上がっていく。
なんだろう、この感情は。
怒り?
妬み?
わからないけれど、もう何もかもがどうでもよくなった。
わたしは早退を申し出て学校を後にした。
教頭がごちゃごちゃ何か言っていたけど別にどうでもいい。
わたしの中のドロドロしたものが溢れないようしているだけで精一杯で、他のことを気にかけている余裕はなかった。
わたしは帰りながら修くんにメールを送った。
『うちに来て。早く。』
送信完了すると、程なくして修くんからわたしの身を案じるメールが幾つも送られてきたけど、わたしはそれらを全て無視した。
那珂川先生の部屋に帰りつき、わたしはベッドに倒れ込んだ。
鬱屈とした気持ちを抱えたまま、ただ時が過ぎるのを待つ。
それから数時間後、部屋のチャイムが鳴った。
わたしはゆっくりと身体を起こして玄関に向かう。
扉を開けると、心配そうな顔をした修くんがこちらを見ていた。
「奏……? 大丈夫か? 顔色悪いぞ?」
「……修くん。中に入って」
「え? いや、でも……」
「いいから」
わたしは強引に修くんの手を引っ張り部屋の中に連れ込んだ。
そしてそのまま寝室のベッドの上に押し倒した。
「お、おいっ、奏!? どうしたんだよ、っ……っ!?」
「ちゅっ、んむっ……んじゅるっ、れろぉ……!」
わたしは修くんの口を塞ぐようにしてキスをした。
強引に舌を相手の口の中に捩じ込む、ディープなキスだ。
困惑する修くんの舌に無理やり自分の舌を絡ませ、唾液を交換する。
「んっ、んんーっ!?」
「んちゅっ、れろっ……んっ、ぷはっ……」
わたしが口を離すと、修くんは驚愕したような顔でこっちを見ていた。
わたしは修くんを組み伏せた状態のまま微笑みかけた。
「修くん、気持ちよかった? わたしとのキス」
「な、なにしてるんだよ奏……キスは元に戻るまでおあずけだって……」
「だって修くん、わたしとは全然触れ合ってもくれないのに那珂川先生とは楽しそうに手まで繋いでたじゃない」
「み、見てたのか……? あれは、クラスの奴らに焚き付けられたから……奏なら拒否しないだろうしと思って、仕方なく……」
「ふーん、それじゃあ那珂川先生とイチャイチャするのは楽しくなかったってこと?」
「あ、当たり前だろ、俺が奏以外とイチャイチャなんてしたいわけ……」
「嘘だッ!」
いきなりわたしが怒鳴ると、修くんは驚いたような顔で押し黙った。
修くんは、明らかに恐怖していた。
自分よりも遥かに年上の大人の女性に組み敷かれて、尋問のように問い詰められ、まるで小動物のように怯えている。
そんな顔を見ていると、なんだか可愛いと思えて、わたしは股間が濡れそぼっていくのを感じていた。
「もういいよ。修くんにとっては、別にわたしじゃなくてもいいっていうのはわかったから。それならこっちも好きにしていいよね?」
わたしは修くんに跨ったまま服を脱いだ。
汗ばんで蒸れたワイシャツを脱ぎ捨てると、辺りには大人の女性の体臭がムワッと広がった。
「ねえ、修くんはこの臭いどう思う? わたしね、那珂川先生のこの臭いを嗅いでるとなんだか興奮しちゃうの。フェロモンでも出てるのかな? ねえ、どう?」
わたしはそう言いながら露出した肌を修くんに押し当てた。
わたしのものよりも遥かに豊満な胸を修くんの顔に押し付ける。
修くんが慌てて息を吸おうとしているのがわかる。
「ほら、吸ってよこの臭い。もっとわたしのこと感じてよ」
「んっ、んん……」
修くんの顔がどんどん紅くなっていく。
身体がピクッピクッと震えていて、明らかに修くんの中で興奮が芽生え始めている。
「あはっ、やっぱりいい臭いなんだ。わかるよ。わたしもクラクラしちゃうもん。さあ、もっと吸って」
わたしは、今度は自分の脇を修くんの顔に押し付けた。
じっとりと汗ばみ、芳醇な香りを放つその部位を直接当てられた修くんは、目の焦点が段々とぼやけるぐらいには酩酊状態になっていた。
いつの間にか股間の物が大きくなってしまったのか、ズボンがテントのように張り詰めている。
「ごめんね、苦しいよね。今楽にしてあげるからね」
わたしはカチャカチャとベルトを外し、パンツごとズボンをずり下ろした。
すると、赤黒い立派で逞しい修くんのおちんちんが、ピンと上を向いて勃っていた。
「わあっ、すごい。これが修くんのおちんちんなんだ」
わたしはそっと修くんのおちんちんを握りしめた。
とても熱くなっていて、ドクンドクンッと脈動しているのがわかる。
いつも使っている玩具とは違う、本物のおちんちんだ。
「待ってね。今気持ちよくしてあげるから」
わたしは修くんおちんちんをシュッシュッ、と擦り始めた。
わたしの手コキに合わせて、修くんの身体がビクッビクッと震えるのが面白い。
「や、待っ……おっ……!? 奏、お前、こんな、どこで……んおッ……!?」
「那珂川先生のスマホで見たんだ。ふふっ、那珂川先生ったら、すごいんだよ。スマホの中にエッチな動画がたくさんあるの。他にも、家の中にエッチな玩具もたくさんあって、本当に性欲旺盛なんだね。今はわたしが那珂川先生の身体になってるからよくわかるけど」
自分の身体を触るときに、那珂川先生の秘蔵のコレクションは何度も使わせてもらった。
おかげで性知識もたくさん身について、こうやって修くんを気持ちよくしてあげられる。
那珂川先生の細やかな指で行う手コキに、修くんは骨抜きになっていた。
「あ、やばいっ、奏っ……出そうだっ……うっ……!」
「待って、まだ出しちゃダメだからね」
わたしは即座に手コキをストップした。
イキそうになっていた修くんは急に手を止められたことで寸止め状態になり、切なげな顔でわたしを見上げていた。
「出すなら、こっちに出してよ」
わたしは、自分の股間を見せつけるように指で広げた。
わたしのものよりも少しだけビラビラが伸びて黒ずんでいる、大人のおまんこ。
修くんは顔だけは逸らしながらも、視線は那珂川先生のおまんこに釘付けだった。
「ま、待てって……それは、流石に駄目だ……それは、先生の身体で……」
「なんでよっ!? 別にいいでしょ!? 修くんは誰にだって興奮しちゃうんだから、だったら今すぐわたしを抱いてよっ!」
わたしは未だ煮え切らない修くんに怒鳴り散らした。
鬱屈とした今の感情を晴らすには、もうこれしかないと思った。
修くんのおちんちんの上に、那珂川先生のおまんこを下ろしていく。
「ほら、入るからね。見てよ、わたしたちの初めて」
「だ、駄目だ……奏……」
おまんこにおちんちんの先端が触れたその瞬間。
「ストーーップ!!! 何やってるのよ貴方たちは!?」
突然背後から大声が聞こえてきた。
いきなりのことにびっくりしながら振り返ると、そこには息を切らしながらこちらを見る『わたし』──那珂川先生がいた。
「せ、先生? どうしてここに?」
「赤木君が貴女に呼ばれたって言って学校飛び出してったから嫌な予感がして追いかけてきたのよ。というか、玄関の鍵開きっぱなしだったわよ。まったく……」
呆れた顔で那珂川先生が近づいてくる。
わたしはなんだか急にバツが悪くなり、修くんから離れた。
「それで? どうしてこんなことになってるわけ?」
「それは、だって……わたし……」
冷静に問いかけられると、だんだんと自分が馬鹿なことをしていたような気になってきた。
なんで、わたしこんなことしてるんだろう。
勝手に怒って、暴走して、修くんにも那珂川先生にも迷惑かけて。
そんなことを考えているとどんどん自己嫌悪に陥って、涙が手できた。
「うっ、ううっ……せんせ〜……っ!」
「ああ、もう……そんなみっともなく泣かないでよ。私の身体なのに」
わたしは、『わたし』の身体の先生に泣きついていた。
先生は呆れながらも、優しくわたしの頭を撫でてあやしてくれている。
側から見れば、アラサーの女教師が制服を着た女子生徒に泣きついて慰められているという変な構図になっているだろう。
でも、今はただ泣きたい気持ちでいっぱいだった。
「……望月さん、ごめんなさいね」
急に先生がわたしに謝ってきた。
わたしはなんのことかわからず頭に疑問符を浮かべる。
「急にこんな風に入れ替わって、まだ子供なのに大人の身体になって、大変じゃないわけがないのに、私は自分のことしか考えられなくて貴女のことを思い遣れていなかったわ。これじゃあ教師失格ね」
「そんな、先生は悪くないですよ。悪いのは全部わたしで……」
「いいのよ、そんな風に気負わなくて。貴女はまだ子供なんだから。辛いときぐらい先生に頼りなさい」
先生の言葉に、わたしは胸の中が暖かくなっていくのを感じた。
ドロドロと沈澱していた何か溶けていき、わたしの心は晴れやかな気持ちになっていた。
わたし、入れ替わったのがこの人でよかった。
────────
私にしがみついて泣いていた望月さんは、ようやく落ち着いてきたのかゆっくりと私から離れた。
これで、少しは教師らしいところを見せられたかしら。
こういう非常時こそ、教師は教師らしく振る舞わなければいけない。
私も入れ替わりに混乱して自分を見失いそうになっていたけれど、望月さんのおかげで初心に立ちかえることができた。
これならもう元に戻るまで迷うことなく過ごせると思う。
そんなことを考えていると、目をキラキラとさせた望月さんがこちらに語りかけてきた。
「那珂川先生、一つお願いがあるんですけど」
「何かしら? 私にできることならなんでも言って」
「それじゃあ、わたしの身体で修くんとセックスしてるところを見せてください!」
その瞬間、わたしはずっこけそうになった。
この小娘は今なんと言った?
「……ごめんなさい、わたしの聞き間違いかしら? もう一度言ってもらえる?」
「だから、わたしの身体で修くんとセックスしてるところを見せてほしいんです!」
「……は?」
わたしは本気で目の前の『私』のことを睨みつけた。
まさか自分の身体でこんな馬鹿みたいなことを言われるとは思っていなかった。
何を考えているんだこのアホ生徒は。
「冷静に考えると、初めてのセックスはわたしの身体でした方がいいと思うんです。でも、なかなか元に戻れないので、それなら代わりに先生にやってもらおうと思って」
「何をどうしたらそんな結論になるのよ。だいたい貴女はいいわけ? 自分の彼氏が、自分の身体とはいえ他の女と、その……やることになるなんて」
「先生ならいいです。わたし、先生のこと尊敬してるし大好きなので!」
なんか急に調子のいいこと言い始めた。
なんなんだこの子は。
さっきまで泣いていたかと思いきや今度は明るい顔でセックスしろとか、理解が追いつかない。
「というか、先生だって修くんセックスしたいんじゃないですか?」
「は、はぁ!? 何を言ってるのよ!?」
「わたし、この身体になってわかったんです。性欲がどんどん湧いてきて、エッチなことばっかり考えるようになっちゃったから。だから、わたしの身体になってる先生も修くんのことばっかり考えるようになってるんじゃないですか?」
「そ、それ、は……」
「あ、やっぱり図星ですね?」
生徒に見透せれているようでなんだか悔しい。
せっかく教師らしい振る舞いができると思っていたのに、どうしてこんなことに。
「修くんも、それでいいよね?」
「……それ、俺に拒否権ないでしょ? いいよ、二人が決めたなら、それで」
「ありがとう〜、修くん」
なんか、どんどん話が進んでいく。
ちょっと、これ、まずいんじゃない?
「それじゃあ先生、服を脱いでくださいね」
「きゃあっ!? ちょっと、やめなさいって、こらっ!」
後ろから組みついてきた望月さんが私が着ている制服を無理やり脱がせてくる。
今の私よりも体格が大きく力も強い『私』には抵抗できず、私はなすすべもなく服を脱がされてしまった。
「あれ、先生? 股間濡れてません?」
「え? あっ、いやっ、これは……」
いつの間にか、私の股間は濡れそぼっていた。
これではまるで、私が赤木君とセックスすることを待ち望んでいたみたいじゃないか。
そんなことはあるわけない。
だって、私は教師で、赤木君は生徒で、そんなこと許されるわけが……。
「それじゃあ修くん、あとはお願いね」
「ああ」
赤木君は私を抱き寄せるとベッドの上に押し倒した。
その瞬間、胸がドキッ高鳴るのがわかった。
だ、駄目駄目……こんなの……。
「奏……じゃない……那珂川先生……綺麗だよ」
「そ、そんなこと……言われても……」
私は顔を紅くして縮こまっていた。
もうどうすればいいのかわからない。
ふと顔を横に向けると、目をキラキラさせた望月さんがこちらを見ていた。
「ああ……わたしと修くんのセックス……こうやって見れるって思うと、なんかドキドキするな〜……」
「なんか、そうやって那珂川先生の身体に見られてると、AVとかの性教育の実習みたいで変な気分になるな……」
「あ、それわたしも思った。そういうAV、先生のスマホの中にも入ってたんだよね。やっぱり教師モノ見て興奮してたんですか?」
「あ、貴方たち! うるさいわよ!」
余計なことを喋り始めたので怒鳴って黙らせた。
けれど、そうなるともう後は普通にセックスをする流れになってしまう。
え、本当にこのままするの?
私が?
生徒と?
「ま、待って、赤木くん……? 本当に、するの……?」
「はい、俺、したいです……」
「だ、駄目よ、私と貴方は教師と生徒で……」
「今の身体は生徒同士ですから問題ないです」
「で、でも……駄目なのよ……こんな、私……初めてなのに……!」
「…………え?」
「あ……」
うっかり、漏らしてはいけない秘密をこぼしてしまった。
周りの人たちに隠している私の秘密。
私がまだ、誰ともセックスをしたことがない処女だということが。
「先生、処女だったんですね」
「もう……いやぁ……」
あまりの恥ずかしさに私は顔を手で覆った。
最悪だ。
こんなことまで生徒に知られてしまうだなんて。
「先生、可愛いです」
「もう、那珂川先生ったらそんなあざといところ見せて……妬いちゃうな〜……でも、可愛いからいっか〜」
生徒二人はノリノリで可愛いだなんて宣っている。
大人をからかって、そんなに楽しいのだろうか。
すると、いつの間にか目の前に『私』が迫っていた。
私が驚き戸惑っている間に、髪を触ったり身体を撫で回してくる。
「わたしの身体、改めて見ると綺麗だね。中に先生が入ってるからかな? いつもよりも可愛く見えちゃう」
「ち、ちょっと……やめなさい……」
「ふふ、だーめ」
そう言いながら、『私』の身体の望月さんは、自分の脇を私の顔に押し付けてきた。
「ほら、先生の身体はどう? 特にこの脇とか。いい臭がするでしょう?」
「も、もがっ……」
無理やり押し付けられた脇から、私の身体の臭いが立ち込めてくる。
ここ数日嗅いでいる今の身体とは違う、大人の女の芳醇な香り。
その芳しい香りに私クラクラしそうになっていた。
「先生、舐めてみて? 自分の身体をぺろぺろってするの。とっても興奮するよ?」
「んっ、むうっ……れろ……」
私は臭いにあてられて頭が混濁した状態となり、言われるがままに当てられた脇を舌で舐めた。
温かい肌に染みた汗の味が口に広がる。
気づけば私は夢中になってぺろぺろと舐め続けていた。
「そう。いいよ、先生……あっ……んんッ……」
望月さんは、私に脇を舐めさせながら、自分は股間を弄ってオナニーをしていた。
ふと我に帰った私は望月さんに苦言を呈した。
「ちょっと、私の身体で何勝手なこと……」
「これくらいいいでしょ? わたしだって気持ちよくなりたいんだから……んっ……」
『私』の身体で熱に浮かされたように喘ぐ望月さん。
自分のそんな姿を外から見るのは初めてだった。
私はなんだか変な気分になり、それ以上何も言えなかった。
「……なあ、そろそろ俺も始めていいかな?」
すると、それまでお預けを食らっていた赤木君がおずおずと申し出てきた。
ここまでの私たちのやりとりを見ていたせいか、彼の性器はビンビンに勃起していた。
モザイクのかかっていないこんな立派な男性器を見るのは生まれて初めてだった。
「ごめんね、わたしばっかり。後は見てるから二人仲良くね」
「ああ……それじゃあ入れますよ、先生」
「えっ、ち、ちょっと待って……わ、わたし、初めてだから、やさしく……んッ……!? あっ、ああッ!?」
ずぷりっ、と、私を貫くように熱い棒が挿し込まれた。
玩具を入れたときとは全然違う、生々しい熱を持って脈動する棒の感覚に、私はただ打ち震えていた。
これが、セックスの感覚……!
「すごいっ、締め付けられる……んっ……」
「や、動かさないで……敏感に、なって、てぇ……んあぁッ!?」
膣の内側が男性器に擦られると、それだけで身体がゾクゾクと震え上がってしまう。
セックスがこんなに気持ちいいものだなんて、想像を遥かに上回っていた。
「先生っ、先生っ……すーっ、はーっ……」
私に覆い被さった赤木君は、私の首筋に顔を近づけ、思い切り臭いを嗅いでいた。
「ちょっ、やめて……! 汗、かいてるのに、そんな嗅がないで……んんっ!」
「奏の臭い……那珂川先生の臭いとも違う、甘い香り……俺、やっぱり、この臭いが一番好きだっ……」
「待って、好きとか言わないで……っ、ああっ!」
赤木君が私に夢中になっている。
それが、今の私にどうしようもないくらいの幸福感を与えていた。
嬉しい。
嬉しい。
赤木君が、私のこと抱いてくれてる。
大好き。
愛してる。
そんな気持ちが、私の中をどんどん侵食していく。
私の頭の中は、もうただの恋する少女に成り果てていた。
「先生っ、先生ッ!」
「赤木くんっ、あかぎくんッ!」
腰の動きはスピードを増し、どんどん快感が大きくなっていく。
もう、イッてしまいそう。
そう思っていると、いつの間にか、『私』の顔が再び目の前に迫っていた。
「……ごめん、やっぱり見るだけなんて我慢できない」
そう言うと、『私』は男性器に突かれる私に突然キスをしてきた。
それも、口の中に舌をねじ込んでくる深いキスだ。
私はただでさえ余裕がないところにさらにそんなことをされ、もう限界に達しようとしていた。
もう、これ、無理……っ!
「先生っ、でるっ、うっ、ぐうぅッ!!」
「んっ、んむっ、んんんんぅッ!!?」
身体がビクンッと跳ねる。
私は『私』にキスされたまま、身体を反らして絶頂していた。
膣の中では、赤木君の男性器がビクッと震えている。
どうやら彼もイッたようだ。
初セックスで二人同時にイケるなんて、なんだかすごく幸せな気がする。
「……ぷはっ……あはっ、『わたし』の顔、だらしなく緩んですっごく幸せそう……それじゃあ、次は私の番だね」
そう言うと、望月さんは私の上に覆い被さるように寝そべった。
「はぁっ、はぁっ……んっ……次……? どういう、意味……?」
「わたしの身体と修くんの初体験が終わったから、次はわたしとセックスしてもらおうと思って」
望月さんは、目をキラキラさせながら赤木君に抱きついた。
私の股間から引き抜かれた赤木君の男性器はまだ硬く勃起していて、今すぐにでも第二回戦に挑める状態だった。
「ま、待ちなさい……! それは、流石に……その身体は、教師なんだから……」
私は止めようとしたものの、絶頂直後で身体に力が入らず、起き上がることすらできなかった。
そうしている間に、赤木君は『私』の股間に男性器を挿入してしまった。
「んっ、ああっ! これが、修くんのおちんちん……! これが、セックスなんだぁ……!」
「んんッ! 出したばっかりなのに……那珂川先生の中も、すごく気持ちいい……奏、どうだ……? 俺との、初セックスは」
「うん、修くん! すっごく、気持ちいいよっ! んっ!」
私の上に被さりながら、望月さんと赤木君はセックスを続けている。
教師の身体と、生徒の身体で。
「ああっ、ああ……」
これだけは、止めないといけなかったのに。
でも、『私』が男性器に突かれて喘いでいる姿は、見ているだけでまた股間が濡れてしまいそうだった。
それに、私の上で交わる二人のせいで、さっきから乳首やクリトリスが擦れて、私までまたイッてしまいそうだった。
さっきイッた余韻がまだ残っているのに、さらに快感が重ねられ、私の理性はもはや吹き飛んでしまいそうだった。
「奏っ、奏っ! 今度は、奏に出すからなっ!」
「うんっ、修くんっ! わたしの中で、イッて!」
「んっ、あッ! 私、またイッちゃ、あっ!」
その瞬間、私たち三人は同時に大きく身体を震わせた。
「んっ、出るっ、おっ、おお゛ぉッ……!!」
「わたしっ、イクッ、んッ、イクウゥゥッ!!」
「んっ、あんッ、んああぁぁッ!!?」
爆ぜるような快感と、耳に響く三人の嬌声を感じながら、私はゆっくりと意識を手放した。
────────
わたしが意識を取り戻すと、誰かが上に乗っかっているような重量感があった。
「お、重い……」
なんとか身体をズラして横に逃れたわたしは、身体を起こして立ち上がった。
そのとき、妙な違和感があった。
いや、違和感があるというよりは、今まであった違和感がなくなったという方が正しいかもしれない。
「あれ、これって……」
わたしはベッドの上に横たわるその顔を覗いた。
それは紛れもなく、那珂川先生の顔だった。
「これっ、まさかっ……!?」
わたしは慌てて鏡を覗き込むと、そこには慣れ親しんだわたしの顔が映っていた。
今のわたしの身体は、正真正銘生まれ持ったわたしの身体だった。
「や、やった〜っ! 戻った〜っ!」
「ううん……何よ、うるさいわね……」
「先生っ! わたしたち元に戻ったんですよ!」
「……嘘!? あっ、ほ、本当だ……! 私、戻ってる!」
わたしと先生は手を取り合って喜び合った。
理由はわからないけど、とにかく元に戻れた。
相手の身体で過ごさなくてはならないという不安から解放されたわたしたちは、まるで旧来の親友のように喜びを分かち合っていた。
いつの間にか修くんも起きていて、嬉しそうに頷いている。
こうなったらもう次にやることは一つしかないよね。
「それじゃあ先生、修くん。せっかく戻れたんだからもう一度三人でセックスしよっ!」
「……貴女ねえ……」
先生は呆れたような顔でこっちを見ていた。
でも、わたしは気持ちを変えるつもりはない。
「だって、さっきまでのセックスは相手の身体だったんだから。次はこっちの身体のセックスを味わってみなきゃ。先生だって気になるでしょ?」
「それは……まあ、そうね……」
先生も、なんだかんだで満更ではなさそうだ。
さっきまでのセックスで、先生もタガが外れてしまったのかもしれない。
「ねえ、いいでしょ? 修くん」
「赤木君? どうなの?」
「それ、やっぱり俺に拒否権ないんじゃないの?」
修くんは苦笑いを浮かべながら、やっぱり満更でもなさそうな様子だった。
そうして、わたしたちの第三回戦が始まった。
色々あったけれど、わたしたち入れ替わったおかげで前に進めた気がする。
これって素敵な体験なんじゃないかって、今ならそう思える。
────────
奏と那珂川先生の入れ替わり事件が起きてから数ヶ月が経った。
俺たちの関係はあの日から一変してしまったが、なんだかんだで悪い気はしない。
「おはよう」
俺がいつものように登校して門をくぐると、ちょうど奏も登校するところだった。
奏は俺に気づくと、パァッと顔を明るくしてこちらに近づいてきた。
「修く〜ん! 奏、昨日は修くんに会えなくって、すっごく寂しかったの〜! 今日は、いっぱい愛してくれる〜?」
猫なで声でそう囁いてくる奏を見て、俺は思わず苦笑いになってしまった。
「……あの、那珂川先生ですよね?」
「あ、あら? わかっちゃったの? そう。ならいいわ」
奏の身体の那珂川先生は顔を紅くしながら照れ隠しに咳払いしていた。
そんな恥ずかしがるなら最初からやらなければいいのに。
「また入れ替わったんですか? なんか最近は日替わりで入れ替わってません?」
「仕方ないじゃない、あの子が入れ替わりたいって言うんだから。それに付き合う私の身にもなってほしいものだわ」
那珂川先生は不服そうに言っているけど、本人も楽しんでいるのを俺は知っている。
すると、俺たちの会話を聞いていた第三者が横から現れた。
「こらっ、貴方たち! 朝から不純異性交遊はやめなさいっ!」
そこにいたのは、眉を吊り上げ説教モードの顔をしている那珂川先生だった。
もちろん、その中身は俺の彼女、奏である。
「赤木君、罰として貴方には放課後に先生のところまで来てもらうわ。たーっぷりと可愛がってあげるから、ちゃんと来てね? 先生とたっくさん、いいことしましょうね、赤木くぅん♡」
「ちょっと! 人の身体で何ふざけたこと言ってるのよ!?」
「何って、先にやったのは先生の方じゃないですか!」
二人は俺を放って喧嘩を始めてしまった。
この二人、なんだかんだで仲いいよなって思う。
同じ身体を共有し合う二人だけの絆みたいなものが芽生えているのかもしれない。
元に戻ったあの日から色々と調べた結果、あの二人は同時に強い刺激を受けると身体が入れ替わってしまう性質があることがわかった。
最初に頭をぶつけたときに入れ替わったのはそのためだろう。
だけど、痛みで入れ替われたのはあのときだけで、あまり安定する方法ではないようだった。
一方で、二人同時に絶頂を迎えたときの入れ替わり成功率は100%で、あの日以来二人は好きなときに好きなだけ入れ替わることができるようになった。
それで、ときどきこうやってこっそり入れ替わっては俺にイタズラを仕掛けてきたりもする。
「……修くん、ねえ、聞いてる?」
「んあ? え、なに?」
いつの間にか那珂川先生、いや、奏が声をかけてきており、俺は慌てて返事をした。
「今日の放課後、那珂川先生の家に集合ね」
「はいはい、今日もね。というか、バレたらどうしようとかはもう考えないのか?」
「今更貴方がそれを言うの? 散々私たちとヤッたくせに」
「それを言われると返す言葉もありません……」
奏と那珂川先生はイタズラっぽく笑うと、二人で楽しそうに話しながら校舎の中に入って行った。
なんだかんだで、俺も今の関係は気に入っている。
普通のカップルとは全然違う、かなり倒錯した関係だけれど、でもまあ、こういうのもありっちゃありなのかな。
そんなことを考えながら、俺は放課後の3Pに備えて今日の授業は睡眠時間に費やすことを心に決めた。